四鳥之別

二頭の馴鹿じゅんろくが荷車を引いている。

(注:馴鹿はトナカイの別名だが、ここでは類似するシカ科の動物の事を指す)

二本の手綱で器用に馴鹿を操るのは、荷車の先頭に座る中学生ぐらいの少年だ。

荷車には保存の利く食べ物や水樽に簡易テントが積まれ、三人の乗客が座っている。

乗客の一人は少年の妹で、荷車の一番後ろに座り手を振り続けていた。

少女に応えるように遠くの方で、少女の両親が手を振り返している。

親元を離れ新しい世界への旅立ちに少年は心を輝かせ、少女は両親との別れに不安を抱き、悲しんでいた。


強い戦士になって両親を助けるんだと少女は誓う。

多くの事を学んで両親を助けるんだと少年は誓う。


でもそれは叶わない。

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