★Step32 破局の傾向と対策
自室の勉強机の椅子に座って南は何時も通り、教科書や参考書を広げています。しかし、どうにも集中できません。リンダの言葉が頭の中でリフレインされて、それが気に成って勉強に集中できませんでした。
『どうしてそんなに冷たくするの?』
――冷たい?俺は俺だ。
『夏子の気持ちをどう思うの』
――別に、変わらないさ…
『変わらないんじゃイケないよ』
――何故だ
ほうっと、南は溜息をつきます。結局、リンダは、俺にとって疫病神なのか…あいつと俺は水と油、育った環境が違いすぎるのは、この前、あいつの星に社会科体験実習に出掛けた時に痛感していた筈だ。
しかし、リンダは自由に生きている。あんな不便な環境にいる人間がとても幸せそうに見えて、何でも有る都会に住む自分が可哀そうに感じるのは何故だ…南は、その事について結論を出す事が出来ませんでした。そして、考えたくは有りませんが、南が夏子に、特に最近に成って冷たい理由の一つは
――リンダに魅かれ始めている…
天真爛漫で屈託が無くて、直ぐに怒るし、でも、後は引かない…
南は、部屋の魔尾を開いて都会の夜景を眺めました。そこは煌めく華やかさが有りましたが、決して温かい物では無いなと、南はそう感じました。
♪♪♪
南と夏子が破局したと言う噂は、学校中に広がりました。学年で成績トップの二人。学校内では有名なカップルです。
憶測に関しても色々な噂が飛び交いまます。価値観の不一致とか、性格が合わなかったとか、そもそも、付き合っていたと言う事実自体が無くて、仮面カップルだったとか。
噂は、人を傷つけます。あらぬ噂が飛び交って、場合によっては、人格さえ否定される様な自体に発展する事も珍しくありません。
夏子は感じていました。学校の廊下を歩いて居る時に遠慮会釈なく浴びせられる好奇の視線。半分は、夏子の成績や生活態度に関するやっかみが主なのですが、それは残酷なものでした。
「気にする事無いよ。夏子は夏子」
そう言ってリンダは夏子を励ましますが、流石に夏子もちょっと疲れている様で、元気も無ければ、冷静な判断力も有りません。励まししてくれている筈のリンダの行動も、ちょっと鬱陶しく感じる事が有りました。
「リンダ、大丈夫だから、少し、放って置いてくれない」
夏子はリンダから逃げる様に席を立つと屋上に向かいました。次の時間はサボってしまおう、そう考えていました。
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