第4話各種処刑蘇生実験

 王城、出入り口付近面会場


 まず王妃や側近と面通しさせられることになって、クソ親父も臣下の礼をして王妃に謁見する。


 種火とか飛ばされないよう、強化アクリルか何かで仕切られていて、会話内容だけ魔道具で通じるみたいだ。


 親父の所にも種火飛ばせねえ。


「こらっ、王妃様の御前である、膝を着いて臣下の礼を取れっ」


 近くで警備?してる兵士が寝言を言ったので、鼻でもほじりながら答えてやった。


「はあ? いやあ、8歳からずっと地下牢にいたんで、礼儀も何も知らないもんで」


「いいから跪けっ」


 槍で膝の裏を叩いて来たので、まず着火してやって歌わせた。


「うわあっ、ああああああああっ!」


 また火が着いたように泣いて、水場目指して元気に駆けて行ったおっさん。居合わせた白魔法士が消してやって、珍しく着火後の生還者が出た。


「やめるんだ、もう殺してはいけないっ、公式の場だから、年長者とか偉い人には頭を下げておくんだよ」


「はい」


 警護役?の聖騎士のおじさんに泣いて怒られたので、跪いて頭を下げた。


 立場関係がバレて、叔父さんには逆らえない、逆らわないのを知られたから、もし人質に取られてもこの人達は燃やせない。



 それでもアクリル板の向こうの王妃は、何事も無かったかのように謁見を開始した。


「まずはハリオデト侯爵、不死の兵士を作ったこと褒めて遣わす。失敗例も多くあったろうがその罪は問わぬ、素晴らしい実績だ」


「ははっ、有難き幸せ」


 クソッ、牢屋で生き残って不死王になったから、親父が褒められる羽目になった。


 犠牲になった子供達(そんな子いません)にどう言い訳すりゃあいいんだ。


 もっかいマヤって号泣してやろうか? まあ、あの王妃には通用しねえ。


 その上クソ親父無罪かよ、汚たねえ、汚い大人からしたら、スラムの子とか孤児なんか、死んだ人数が統計の数字でしかない。


「侯爵の娘よ、お前にも褒美を取らせよう。欲しい物があれば言え、直言を許す」


「はっ、まずクソ親父と母親の命、兄と姉と妹を多人数で凌辱して無能にしてから、拷問するか最低の売春宿で働かせて死なせ、使用人達も出来るだけ残酷に殺して下されば、どんな事でも致します。首から下を挿げ替えて、死なない体を王妃様の新しい体にして頂いても結構です」


「ほほう、血塗られた親子か、まるで我が家のようだな。こちらも両親や家族の顔をした鬼畜生共は、出来るだけ残忍な手段で拷問にかけてから殺した」


 あ、この人私と同じだ、味方チーム?


「家令に侍従、下位の使用人やメイドの一人に至るまで、子や孫を目の前で引き裂いてやり、生まれて来たことを後悔させてやった。あらゆる罵倒と呪詛の言葉を吐かせてから、凄まじい拷問にかけてやり、今度は懺悔や謝罪の言葉を百万回唱えさせてから殺した。お主もそうすれば良い、手を貸すぞ、フフフ」


 クソ親父が青い顔してる、プゲラ。クソババア以下全員拷問付きで死刑判決。


 親父だけ生き残って、ご自慢の跡取り息子二人と、売れ口まで決まってる娘二人。目の前で引き裂かれて凌辱されて、最低の売春宿に送られる。かも知れない。


「ど、どうかお許しを、娘と息子だけは、どうか」


「何を言うか、その娘にあらゆる実験を施し、死ねない体にしたのであろう? 他の息子と娘にも同じ思いをさせてやれ、そうすれば能力が開花するかも知れんぞ?」


「ああっ、そんな……」


 調査の結果、私とクソ親父は血が繋がってる本当の親子だと確定して、この能力は長年白魔法士使いの血が濃縮された力なのだと結論が出た。


 んん? あの阿呆共も地下牢で拷問して、ゴキブリとネズミ食わせて毎日拷問三昧の生活させてると、ピキーンとカクセイして私と同じ化け物になるか?


 クソ姉とクソ妹も前も後ろも犯されて、兄はケツ犯されて魔法使えなくされても、低レベルのうちは家族最強決定戦では私が有利だ。


「実行犯は裁かれました、どうか跡継ぎや嫁入り前の娘には免罪を」


 ああ、そういやあうちって、免罪の証書があるんだっけ?


 聖騎士団とか王家の衛兵が侯爵家攻めて全員しょっ引いて来て、牢番とかは生爪はいで歯を全部抜いてやると、スラムや孤児の誘拐や各種実験は自供?して認め、他のオッサンオバハンの骨も色々見付かったから、実行犯?は大抵高い所に吊るされた。


 クソメイド共も結構な数焼いてやったけど、「私知りません、上の階の清掃だけです、食事の支度や給仕だけです」な~んて言ったのは無罪で屋敷に戻ってる。


 指示監督したはずのクソ親父が言うのもおかしいが、無能じゃない愛する息子と娘は可愛いのだろう。



「さて侯爵? そろそろ娘を死なない体にした研究の成果、提出する気にはならんか?」


「はっ、そ、それは、聖騎士団を呼んだ時に家令が全部焼却させてしまい…… 地下牢の子供達も殺したようですので、証拠も履歴も無く、全てを任せていた家令は、こやつに焼き殺されました」


 悪役がこっちに移りそうなので、一応マヤってみる。


「ああっ、リタッ(そんな子いません)、コリンッ(そんな子いません)エリカ~~~ッ!(そんな子いません)やっぱりみんな殺されたんだっ、鬼っ、畜生っ」


 聖騎士の叔父さんとか、善良な騎士には通じたが、王妃には嘘泣きは通じなかった。


 鬼で畜生で悪魔で悪鬼羅刹で、外道で外法なのは私。



 あ? 親父も拷問受けて「そういう話」で喋ったから、いまさら訂正できないんで、死んだ家令に全部押し付けたか。


 抗弁しようものなら「黙れえぇっ、このうつけがあぁっ!」と言われて殺されるので、もうそっちで話し通すしかないみたい。


「うむ、それではお前の息子と娘は、こやつと同じ扱いをしてやる。まず男達に犯させてズタズタにして白魔法が使えない体にしてから、自殺もできないように歯を全部抜き、ゴキブリとムカデとネズミの赤ん坊を食べさせておけば、もう数人浄化の炎が出せる不死王が出るであろう、それで良いな? 娘よ」


「はっ、ありがとうございます」


 こっち向いて了解を取ろうとしたから、有難く褒美を頂戴したのに、親父が鬼みたいな顔して睨んで来た。


 聖女とか聖人なんか掃いて捨てるほどいるんだから、白魔法使えるアンデッドで、死なない兵士ファミリーが増えた方が光栄だろ?


 クソ姉もクソ妹も、阿呆の兄二人も、流石に不死王になられたら私でも殺す手段が無い。


 なんせ心臓突いた上で、浄化の炎で自分焼却しても、何日かしたら復活するんでやんの。


 クソ親父も私の製造レシピを言えないで、そろそろ見切りを付けられてるから、何なら今までの子供殺しの罪?で拷問死させてやる。



「所で娘よ、私の時はネズミの赤ん坊は食べられなかったのだが、どうやったのだ?」


 おお、ピンポイントで突いて来るねえ、流石地下牢経験者。


「はい、地下牢のオトモダチ、ゴキブリやネズミは最初食べなかったのですが、隣の牢の住人に教えて貰い、平民の間ではバッタやセミはご馳走で、ゴキブリも生で食べると結構美味く栄養もあり、壊血病で死なないと教わりました」


 まず話の枕としてここは外せない。


「ネズミに噛まれると病気に感染して大事になるので、生でも食べないよう注意されたのですが、まだ毛が生えてない赤ん坊なら食べても大丈夫と教わり、ネズミの一家を何家族も飼って、ベッドの下で養殖することにしました」


 クソ親父以下、王宮の衛兵も聖騎士団の皆さんも、とても気分が悪そうにしている。


「ホホホホホホッ、お主の話は面白いっ、下手な道化の話や仕草などより、退屈もせぬしためになる、次に地下に行くときには参考にさせて貰うぞ」


 まだ失脚させられて、地下牢に行くのも想定している伏魔殿の悪魔。


 まあすぐに返り咲く気でいるようだ。


「はあ、ちょっと贅沢ですが、ゴキブリの胴体だけを食べて、頭と羽と足を外して、カビたパンと合わせておくと、ネズミが巣を作って子供を産みます。そしたら親だけ追い払って、のそのそ動いてるネズミの赤ちゃんを摘まんで踊り食いし……」


 そこでクソ親父がゲロ吐いたので連れて行かれた。


「今の言葉には父も感銘をうけたようですので、是非これから同じ生活をさせてやってください。きっと父も不死王になれます」


「うむ、楽しい話であった、お主の父にも同じ思いをさせてやろう。そうすると親族かどこからか、お主を作った時の書類やレシピが出て来るかも知らんでな」


 私の希望も叶えてくれて、クソ親父にも苦痛を与えてレシピを出させるか、駄目なら死なない兵士製造実験を強制。


 結構頭が切れる人かもしれない。



「他にも何か面白い事を聞かせて貰おうか」


 半笑いと言うか、既に笑っている王妃から催促された。


「ムカデの頭を潰して足も適当にばらけたのを使って、「牢屋を出られる、出られない」なんて、花占いみたいなこともやってましたね」


「はははははっ、やったやった、あれは結構数が揃わないからなっ、占いにはちょうど良い」


 王妃大爆笑で、手叩いて腹抱えて笑ってた。え? 地下牢生活とかゴキブリにムカデ食ってたとかバレていいの?


 それからも地下牢あるあるを話し続けると、ドッカンドッカン笑いが取れて、王妃涙流して笑って、辛い頃を思い出したのか、ちょっとマジ泣きになる時もあって、超話し弾みまくり。


「気に入った、お主は我が直接雇うこととする。道化でも良いが折角の不死の兵士じゃ、力士で勇士として雇おう」


「ありがとうございます」


「ああ、良かった」


 聖騎士の叔父さんも喜んでくれたが、側近になるのが忠誠の欠片も無い馬鹿で、アンデッドなど側近に置けないと大反対され、またも政治力で妨害されて、見目麗しくて礼儀正しい、貴族家の子女だけが存在できる場所からは排除された。



 ハリオデト侯爵家


「どうしてこうなった~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」


 今、私は実家の地下牢にいる。


 それでも多少生活が改善されて座敷牢の方に入って、水道も風呂もあって、食事も素晴らしくカイゼン。


 貴族の食事も許されて、茶も茶菓子も出て、専属メイドまで付くことになった。


「初めまして、これからお嬢様のお世話をさせて頂くイケリアと申します。以後お見知りおきを」


 オイ、メイド服とか着やがって、良い匂いとかさせて誘ってんのかよ、ハアハア。


「平民の娘、それも魔法も使えない者が、侯爵家で働かせて貰えるなんて、夢みたいです」


 そりゃあ、浄化の炎出す化け物なんだから、ご機嫌損ねたらすぐ燃やされるし、命が幾つあっても足りない。


 危険手当とかちゃんと貰ってるんだろうな?



 結局「やだ? 私の政治力低すぎ」と言う訳で、クソ親父はほんの数日で地下牢を脱出してきて、親族が捏造したと言われる不死の兵士製造レシピを提出して無罪放免。


 そんな簡単なもんで出来たら「スタップ細胞はありまぁす」で、理研のオボちゃんムーミンも苦労しないし、所長が便所で首吊らなくても済んだ。


 できないとバレたら、誰か首吊るかハラキリ物だろう。


 その数日の間に、王妃命令により兄二人が修道士会のガチホモ達百人に、ガン掘りされて無能力者になり、どっかのなかやまきんにくんみたいに「アメリカとは恐ろしい所だ」と言ってパンプアップできなくなって帰国したみたいに、修道士会を追放されて実家に帰って来た。


 魔道具で一部始終を録画した映像を見て、悲鳴とかタップリ聞かせて貰ってご満悦だったのと「ホモが嫌いな女の子なんていません」なので、イケリアも鼻血出して興奮、貴族家の子息が犯される所を見て、目をキラキラさせていた。


 クソ姉とクソ妹の方は、男は修道女会に押し入れなかったのと、引き渡しを拒否していて籠城中なので、王妃の勅令で出て来次第グチャグチャにレイプ。


 前も後ろも使い物にならなくなるまで壊して、オムツ生活になる予定だ。


 兄二人は既に百人のガチホモ戦士にケツ壊されて、ガバガバの垂れ流しの刑に処されたようだ。



「おお? 兄ちゃんらもこれから地下牢生活か? 聖人なんぞ腐るほどいるから、これからゴキブリタンマリ食って、不死の兵士で不死王目指すんだぞ?」


「殺してやるっ、無能がっ」


「お前だけは許さんっ」


「いんやあ、これから兄ちゃん二人も無能仲間だ。その上私から(聖騎士団経由)瓦版屋に言っておいたから、ハリオデト侯爵家の跡取りと次男、揃ってガチホモバリウケに調教済みで無能力化されて、白魔法使えなくなったから生き恥晒して修道士会放り出されて、婚約相手からも断罪イベントで婚約破棄されて、国外追放とか処刑されない代わりに、私からの恩情で地下牢で生きて行けることになったって寸法だ、ギャハハハハ」


「くっ、殺せっ」


 何故会話が成立しているかと言うと、立ち位置として、私が端っこにある祖父も利用した座敷牢で居住。兄たちはちょっと離れた地下牢で監禁されていると言う状況。


 兄にもゴキブリの残骸とか頭残して、パンのカビた所も使ってネズミの養殖をして、まだ毛も生えてない赤ん坊を食べると栄養も行き届いて、壊血病にもかからないと伝授して置いた。



 これまた政治闘争に敗れて、王宮勤めが始まる前に負けてしまって、貴族学校にも幼年学校にも魔法学校にも通っていない無能が、王妃様に仕えるなど有り得ないし不敬であると、実家で謹慎処分を食らって座敷牢生活。


 浄化の炎を使える不死王を、王宮や街中に放り出す訳にも行かないそうなので監禁拘束。


 それなら聖騎士団に置いて貰って、予備戦力とか魔物討伐に使ってくれたらいいのに、クソ親父か誰かの政治力と、謹慎の文言通り実家の座敷牢。


 あの親父大した強さも無いのに、政治力だけは百人前あるんだよなあ。


 せめてもの慰めが、王妃様からのありがたいお言葉で「娘を殺すことなど決して許さぬ、なにせこやつは我がメル友だからな。これからは親子仲良く仲睦まじく、幸せに暮らすのだぞ(笑)」と言う脅迫をしてくれたので、クソ親父も諦めて座敷牢に移してくれた。


 折角の不死の兵士で不死王なので、殺し方を見付けたり、誰も知らない出られない所に埋めたりすると、侯爵家ごと根絶やしにすると言及されて、次世代の当主は私に決定した。


 フフン、これで私は侯爵様になれるのだよ。


 今は王妃様から魔道具を直接拝領して、困りごととか地下牢仲間の会話とか、女子会としての地下牢出身派閥グループ?ざまあ会に加入させてもらい、毎日魔道具で会話している。


 これからは毎日のように錬金術師や魔法士や鑑定士が来て、私の体を調べられる予定だ。


 ヤダ、私の体、オジサンたちに全部見られて、隅々まで調べられチャウ。



 翌日から、王宮派遣の錬金術師や魔法士たちがやって来た。鑑定士の護衛に聖騎士の叔父さん、この人がいれば多少ご機嫌を損ねても、燃やされないと分かったのだろう、流石王妃。


 もし種火を発生させたり、手から炎を出したら、叔父さんの博愛固めで止められ、間違っても発火させるといけないので、悪意の放出まで止められる。


「お嬢様の怪我がすぐ治るのは確認できました、自己修復能力も素晴らしい。髪の毛は浄化の炎を長く永く点灯させる燈明であり、正教会でもガラスの中で展示されています」


 お嬢様って誰だ? 私か。


「浄化の炎を出せるのもスキルですので、蘇生や不死もスキル。この能力に至るまでのスキルツリーが見たいのです」


 シッカリガッツリ鑑定され、兄やクソ親父も生命の危機に陥らせ続けると、同じ能力が発揮されると判明。


 親父は登城する仕事があるが、兄たちは入浴不可、食事はカビたパンと水みたいなスープの、ゴミだけと言う私製造時のレシピが採用された。


「ああ、壊血病で何度か死にかけにするか死なせて蘇生、ゴキブリとムカデとネズミの赤ちゃん食ってでも、どうにかして生き残るのが必須です」


 牢越しに「美味しいゴキブリの見分け方」も伝授して、わざわざ便壺の蓋を開けておいて、中から大量に這い出して来たのを踏み潰す方法も伝授したが、王都にいると私の神聖結界で殺されて出られないので、ゴキブリが出る場所に移住させられて行った。


「必ず復讐してやるっ、お前だけは生かして置かんっ」


「俺の友人達にも父の友人にも相談している、必ずお前を地獄に落としてみせる」


「へっ、もう地獄には行ったよ、殺せるもんなら殺してみろ、不死王の殺し方って無いんだよ」


 さらば兄達よ、せめて神聖結界が張れるようになるまでは、ゴキブリとネズミタンマリ食って、スキルツリー成長させるんだぞ。



 そうこうしている間に、クソ姉とクソ妹が泣き叫びながら、首千切れるんじゃないかと言うぐらい左右に振って抵抗して、グチャグチャにレイプされる映像が送られて来た。


「イヤーーーーーッ、やめてっ、それだけはっ、聖女じゃなくなっちゃう、お嫁にも行けな…… ぎゃあああああっ」


 無限ループで見ていると、イケリアはゲーゲー吐いていたが、私はタップリと楽しませて貰い「姉妹の不幸で飯が上手い」のでとても食が進んだ。


「イヤッ、イヤッ、いやあああああああっ」


 奴等はどこかの離島に隔離され、原住民とか兵士とか、誰の子かも分からない子を毎年実験体の予備として産まされるそうだ。


 ケツを犯された兄達が出した汁も、原住民か誰かの腹を借りて、死なない兵士の元が大量生産されるらしい。


 クソ親父とクソババアの食事も、産地直輸入の生きているゴキブリの胴体と、ゴキブリで養殖したネズミの赤ちゃんが主体になるそうだ。とても素晴らしい成果だ。



 第一回蘇生実験


 おい、どうなってやがる? これから絞首刑だよ。


 どの程度不死なのか確かめておきたいと言うリクエストの元、まずは絞首、次に獄門貼り付け、火炙り、釜茹で、あらゆる処刑方法が試されることになった。


「あの、叔父さん、皆殺しにして魔の森に逃げていいですか?」


「許してくれ、これも王妃様の独り言で「あの娘、どこまで死なない?」と言うのをメモした家臣がいて、帰ったら大号令をかけて一大計画を立てさせて、結果を王妃様に聞かせるためだけに、棚上げになっていた君の処刑が行われることになった。一度失敗すれば無罪になる話になっているから、死なないよう我慢してくれ」


「はあ……」


 まあ一回死んでも生きかえるんだけどね、墓場から魔の森に逃げる用意でもして貰おう。


 いつものように殺しまくりにならないよう、ちゃんと聖騎士のおじさん帯同。


 この役目があるから、叔父さん降格されたりしないで男爵のまま。


 熱いとか痛いとかになって、ブチ切れて火種全方位に放出しないよう、叔父さんが博愛固めで押さえてくれる。


「用意、実験開始っ」


 高い所から蹴り落とす方じゃなくて、下で首に縄掛けて、ゆっくりゆっくり持ち上げる方の絞首刑。


 これで私も犯罪者の力士とか勇士みたいに「一回絞首刑にされたけど、死ななかったから放免された」というキャッチフレーズで、スモウレスラーとしてデビューできるわけだ。


 毎回対戦前に首吊って、瓦版屋の前で死なないアピールとパフォーマンスするのか?



 まあこのぐらい余裕。呼吸止まっても大丈夫みたいだし、首から上に血が通わなくて、紫色の顔色になっても平気。


 ソッチはレベル90だから、首に力入れて耐えてたらどうにでもなる。数分耐えて暇なので、ロープに浄化の炎点火してやると、燃え尽きて地上に生還。


「おお、本当に生き残った」


「恐ろしい」


 アンブレイカブルでダイハードなのを見せつけてやると、王宮の魔法師達とか錬金術師もビックリ。


 お次は十字架型の木の柱に張り付けられて、ロンギヌスの槍?で串刺しにされて、三日以内に復活するのかの実験(テスト)。


 しまいに手とか足から聖痕出してやるぞ。


「始めっ」


 両側から腹の下あたりから串刺し。槍が来るのが分かってるから、物理攻撃に抵抗してレジスト。


「エリ、エリ、ラマ、サバクタニ(神よ、何故、我を見捨てたもうた)」


 跳ね返されると何度も刺してくるから、ちょっと差し込めるように手加減してレジスト。


「おお、これでも死なない」


「神よ…… 許したまえ」


 こんなの作ったのクソ親父だからな、私は被害者、無辜の市民。親父が悪魔崇拝者。



「次っ」


 貼り付けられたまま、下に藁束置いて火炙りの刑。


「着火」


 こっちも着火してやろうかと思ったが、叔父さんが泣いて止めるよう目で語って来たの中止。


 それでも火が盛大に上がってきたら、赤い炎が一瞬で白い炎に切り替わり、お得意のカテゴリーになったので、熱さすら感じずいつもの展開に。


「そんな馬鹿な?」


 白い炎を手で触ろうとしたバカがいたので、着火して踊り出した。


「ああああああっ」


 また居合わせた白魔法士が消化して、事なきを得た。


 それでも、火を着けると火の粉が舞う。普通なら温度を保てずに勝手に消えるが、この炎は人体の穢れで燃え続けるので、火の粉が着いた奴全員が延焼して地獄絵図。


「ぎゃああああっ」


「うわあっ、ああああああっ」


 これも白魔法師がどうにか消火して回り、火の粉の範囲から全員外に出して、どうにか終息した。



 ムカツクので木の柱で十字架ごと燃やしてやり、これまた地上に生還。


 腕と足に刺さってた釘も抜き取って自動修復。


「ああ、あの少女? アンデッドではなく、神の遣いでは無いのか?」


「人の愚かな手段など、何の意味もない」


 恐れから神聖化の道へ、これで光る翼と光る輪でも出せたら大勝利なんだが?



 お次は一番の難関、釜茹で。流石にゆっくりコトコト具だくさんで煮込まれると一溜りも無い。


「実験開始っ」


 私は吊り上げられて、グツグツ言ってる湯の中に? いやあれ油じゃないかよっ。


 茹でられるかと思ったら、テンプラにされるか唐揚げへの道へ「塩でお召し上がりください」って、二度漬け禁止じゃない串カツ屋かよっ!


 ドーナッツでボンデリングにされて、お砂糖タップリでチョコまで掛けられそう。


「うげえっ」


 煮え滾った油は多少不快で、それでも慣れると熱い風呂みたいで汚れが落ちた。


「浜の真砂(まさご)は尽きるとも、我が命尽きる事無し」


 どっかの五右衛門さんみたいな事言って、釜茹での熱さを耐える。


 まるで「ネ右一さんの愛で焼かれて、今までの弱い私が消えて行くようで、強い私が生き残ったんです」的な、どっかの栞チャンみたいな感じで、ストロングボディでマッスルボディが完成した。


「私、復っ活~~~つ! バンガオ--」


 鉄人みたいな声を上げる私を見て、魔物とか魔獣でも見るような目をしてる観客とか、もう神の遣いを見る目で見たり、膝から下が生まれたての小鹿になったり、結構色々いた。



 後日、結果と映像は王妃様にも伝えられ、独り言をメモして大号令掛けた馬鹿な忠臣は、私と同じコース全部をやらされたらしい。


「もう、姫ちゃん(私)ったら、無茶ばっかりして、命が幾つあっても足りないわ」


「えへ、カザリンちゃん(王妃)ったら、独り言まで聞いてる家臣がいるんだから、気を付けてよね、プンプン」


 メル友なので魔道具で王宮と通信。魔法少女的な魔法のコンパクトで、マリンナーサかプリムブモビーレと対話。


 地獄の世界から来たお付きの淫獣はゴキーとネズーだ。変身すると全身から白い炎を吹きだして、シュワシュワ言いながら浮いてる、スーパーサイヤ人的な感じになる。


 それにしても愛子姉ちゃんに告白した憧れの先輩の声が草薙くんだったから、30年間再放送できなかったよっ!


 ついでにチャチャの方は慎吾くんがレギュラーのリーヤだったから、これも30年再放送できなかったよっ!


 相手は大魔法峠の女王様ぐらい怖い相手だが、何故か女子会言葉でちゃん付で呼んでる。


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