第3話戦国魔神ゴー〇ョーグン無双

 修道士会、聖騎士団裏口


 折角救い出して貰ったけど聖騎士団でも牢屋入り、政治力でクソ親父が勝って、親父は無罪放免でこちらは死刑。


 何処かに逃がして貰えることになったけど、待遇が良かったのは数日。遠い聖国行きか、王国に捕まることになった私。


 表向きは処刑だけど、私の製造レシピが欲しい奴か、実験体その物が欲しい奴が総取り。


「国軍の方よ、この哀れな実験体にされた子をどうしようと言うのか?」


「決まっておろう、不死の兵士を製造したり、王族貴族の皆様にも白魔法が使える不死の体を献上しようと言う訳だ。既に侯爵は押さえてある、後は槍で刺しても生き帰ると言う本人も持ち帰る」


 牢番とか地下に来てたメイドが、侯爵家の敵やら盗みでもした使用人とか、孤児の子供達が大勢実験体にされていて、沢山殺された「事実」は認めたそうなので、拷問とは素晴らしいなと思った今日この頃。


 次は自分が拷問されて、どの程度死なないか実験されるでござるの巻。


 何なら首吊らされて火炙りにされて、市中は引き回されないけど獄門貼り付け? 


 正義の味方でも来て、90分スペシャル?ぐらいの活躍で、どうにか救いだしてくれないかと長年思ったが、来てくれないので後で見付けたら苦情を言ってやろうと思う。


 多分「じゃあどうしてあの時の僕を助けてくれなかったんですかっ?」みたいな、時系列を認識できなくなるぐらい混乱した宗次郎きゅん(誰?)的なセリフを、日髙のり子の声で言ってやるつもりだ。


「渡さんぞ、この子は聖騎士団が保護した、もう手放さぬ、この子を再び闇の底に落として溜まるものかっ?」


 うわ~、かっこいい~~、こんなセリフ言ってみてえ~~


「もういいんです、騎士様、私は国の軍隊について行きます」


「良いのか? それで」


 ここで私が泣いてたりしてたら、聖騎士も引き渡さなかっただろう。でもその時の私は、凄い下種な顔で笑っていたので意味を分かってくれたようだ。


「まさか? やるのか、この人数相手に」


「ええ、それはもう盛大に」


 もう数時間したら夜明けだろう、聖騎士団で英気を養ったからやる気十分、白い炎を出す栄養も満タン。


 あとはどこまで戦ったら体力が尽きるかだけど、騒ぎになって商業地区とか貴族街がどうなるのかが見もの。



「それではこの書類にサインを、聖騎士殿? ご協力感謝する。ここで一戦交えて聖騎士団を全滅させるのも楽しみにしていたのだがな、フフッ」


「ふん、今の言葉、後悔することになるぞ」


 こうして円満解決、「戦争は数だよ、兄貴(ドズル中将)」と言う訳で騎士団は滅びず、処刑されるのに何故かニコニコした私は国軍に引き渡された。


「いやあ、聖騎士様方、お世話になりました。地獄から救っていただいてありがとうございました。何年かぶりに美味しい物食べて元気になりました、それでは」


 数日拘束具が無かった私は、手枷と足枷と魔封じの首枷の魔道具を付けられ、荷馬車に繋がれてドナドナされて行く。


「聖騎士団はこれより国軍を王城まで警護するっ、出立っ!」


「ふんっ、儀仗兵の聖騎士団の護衛など不要」


 嫌味は言われたが、後ろ付いて行くのまで断られなかったのか、最後尾からお見送りで護衛開始。


 でもこの場合「見ないでっ、これから化け物になる私を見ないで~~」なので邪魔。


 まあ、国軍燃やした後に足が無いから、徒歩移動じゃなくてどさくさに紛れて逃がしてくれるつもりのようだ。



 貴族街に面した表門から出発して、お土産に手渡してもらった食い物齧って腹一杯、水筒からもゴックゴック水飲んで、商業区域に入った所で御者の人にご挨拶。


「あ~、ちょっとご挨拶を、こんばんわ、兵隊さん。ご家族とか大事な人います?」


「何を言っておる? 黙って座ってろっ」


 う~ん、人に挨拶ができない、零点。


 平民なのか、貴族家の三男四男なのか態度も悪い。これで返事してくれて話でも弾んで、「命より大事な娘がいるんだ、ちょうど君ぐらいな」な~んて言ってくれたら、巻き添えにしないつもりだったけど死ね。


「ああっ、うわあああああっ!」


 魔封じの首枷ではスキルは止められませんでした、まず一人。


 普通なら犯人の両側に兵士座ってるだろ? 何で一人なのか、おかしいと思わなかったのか?


 前後左右にいた騎馬兵にも種火飛ばして着火、何で聖別した防具とか魔道具用意しないかな? すぐ着火したじゃん。


「ぎゃあああああっ! うわあああっ!」


 火が着いたように泣く、ってどういう声なのか知らなかったけど、屋敷やここで散々聞いた。


「何事だっ? 止まるなっ」


 先頭切って走ってた、嫌みな中年の隊長にも点火サービス。不死の実験体確保して、お手柄になるはずが、人生最後の大失態になって戦死のおまけつき。


 手枷も足枷も燃え尽きたから取って、魔封じの首枷も取って、馬車に繋がれたぶっといロープも、焼いて引き千切って全力全壊。


「うおりゃああああああっ!」


 おお、出る出る、栄養行き渡ったから種火どころか白い炎の剣か槍よ。イデオンかっ?


 馬車から飛び降りて、両手から白い炎出して、馬でも騎士でも着火して行くけど、馬って原罪も無いから燃え広がらないのな。


 それでも燃えてる兵士乗せた馬が驚いて、嘶いて立ち上がって火を怖がって「暴れ馬だっ」状態で大暴走。


「うははははは、その程度の装備でレベル90のアンデッドに勝てると思ったか?」


 死体から槍でも奪って炎の槍状態。相手はレベル40から50の一般兵士、さっき燃えた隊長でもレベル60、人選を間違えましたな。


 見た目小さな子供(メスガキ)、枷と魔道具で完全拘束。一切手出しできないと思ってたね?


 実はオマエラに対しては無双なんですよ、まあこの中に聖騎士様みたいな善人がいませんように。


「弓だっ、遠巻きにして弓で対抗、ぎゃあああっ!」


 はい、こんな狭い大通りでは弓なんか使えません。燃えてる奴踏み越えられないし「助けてくれっ」って燃えてるのに手を貸したり、抱き着かれたら延焼。


 馬上で燃えてるのとか落馬しても燃えてるので、駆け足で着いてきた歩兵とかも無力。


 死体踏み越えようとしたら足に着火して、靴脱いでも手遅れ。


 何人もの死体で混雑してる道で、馬上からすれ違いざまに槍で刺して来たけど、向こうはたまに刺し傷負わせられるぐらいで、こちらは必ず着火させられるので致命傷。


 相変わらず紙装甲だから弱いけど、本来レベル90もあるから、地獄熊に噛まれても大丈夫なレベル。


 なんで浄化の炎使えるアンデッド輸送するって話なのに、そう言った装備させない?


 聖騎士団か聖女騎士団に依頼して、運ばせるとか思いつかなかったのかね?


 耐火(レジスト)出来る奴って、クソ親父みたいな白魔法士だけなのに、何で連れて来ない? まだ一人も見てないよ?



「化け物っ、不死王(ノーライフキング)だっ! こんなの絶対敵わないっ」


「逃げろっ、逃げるんだっ」


 う~ん、正体に気付かれたみたいで、全兵士恐慌状態で逃亡。


(レベルが上がりました)


 久々に聞くね、人間殺すと効率がいいみたいだ。


 燃えてる死体から鎖帷子はいで、服の上から着て紙装甲状態解除。


 ついでに懐の財布とかも全部回収して、肩から掛ける魔法バッグとかも盗んで、剣も槍もナイフも頂戴して行って「魔法バッグでも財布と武器と防具でパンパンだぜ」になったので、最初に乗ってた馬車と馬でも頂いて逃亡する。



「き、君は悪魔か?」


 最後尾を着いて来た聖騎士達が追い付き、宇宙人でも見る目か、本当に化け物を見る目で恐れていた。


 遭遇初日にも使用人とか衛兵焼きまくって、白い炎の中に立ってた化け物を見たと思うけど、すぐ降伏して、それ以降もただの子供だったから、何か勘違いしてるようだ。


「死なないし殺されても生き返るし、白魔法で浄化の炎使えるんで、不死王みたいです」


 哀れなアンデッドを見る目から、人類の敵を見る目に変わった。


「これからどうする?」


「はあ、魔の森にでも逃げて、金輪際人間と関わらないようにしようと思います。ゴブリンか山賊に襲われたら、ここと一緒で皆殺しにして、洞窟とかアジトでも使わせて貰うか、捕まってる人がいたら解放して…… それでも戻ってきたら駄目ですよね」


 魔物とか魔獣とか、白い炎でジュージュー焼いて食って、川の生水でも平気で飲んで、古着が擦り切れたら葉っぱでも着て、裸鎖かたびら。


 剣と槍とナイフは結構もらったから、何とか生活できるだろう。


「行かせられない、君は人間の敵になった。ここまで平気で兵士を殺せるなんて、それもゲラゲラ笑いながらやっていたね? 聖職者で僧侶として、君を生かしておくことはできない」


 いつもの涙脆い騎士様が下馬して近寄って来て、それも泣きながら言われてしまって、とてもとても傷付いた。


 ああ、私ってもう人類の敵で、存在しちゃならない化け物なんだ。


「どうか死んで欲しい。でも君一人では逝かせない、私もいっしょに死ぬ。神様や天使様には私からもお願いしてあげるから。この子は被害者です、もう人間の世界で生きていたらいけない者にされたから連れてきましたって言ってあげるから、どうか……」


 反則だ、そんな汚い言葉を泣きながら、合掌して祈りながら跪いて笑顔で言うなんて、断れないじゃないか。


 選択肢


1、優しい騎士に殺して貰って、叔父さんと一緒に天国か地獄に行く。

2、このまま魔の森に逃げる。

3、自殺する。


 選択肢3


 ああ、もう死んでしまいたい。でも、叔父さんの言葉を受けると、この優しい聖騎士がこの世から失われてしまう。


 私だけを死なせて、生きていられるような人ではない。周囲が止めても必ずあの世に同行してくれるだろう。


「叔父さんが死なないでくれるなら、この場で自殺します。地獄には一人で行きます」


「一人じゃ駄目だ、迷ってしまうよ」


「叔父さんは天国に行くので一緒には行けません、地獄とは行き先が違うんですから。それでいいですか? 良かったら私のお墓に花を供えて下さい、叔父さんが唱える聖句で、出来れば天国に送ってください」


「ああ、済まない…… きっとそうする。綺麗な花を一杯供えて上げるよっ、毎日君のことを思って読経する、私が死ぬまで、私が死んだ後も子供にも頼んでおく。綺麗なお墓も作ってあげるよ、だから、だから人として死んで欲しいっ」


 物凄い泣き顔で、鼻水まで垂らして泣いてくれた叔父さん。ああ、この人のお陰で私は人間として死ねる。


 人類の敵で虐殺者、不死王として死なないで済むんだ。


「ありがとう、ありがとう…… 私は人間として死ねるんですね? 化け物じゃなくて、不死王じゃなくて、まだ小さな女の子として……」


「ああ、人として送ってあげる、神様に沢山お願いしてきっと天国に送ってあげる、いつか天国で逢おう」


 私が浄化の炎を出しているのに、何の躊躇いもなく抱きしめてくれた。私からの敵意が無いのと、この人には穢れが無いので焼くことはできない。


「はい、さようなら、ありがとうございました。食べ物とてもおいしかったです、できればまた天国で逢いましょう」


 私は自分の心臓にナイフを突き立て、浄化の炎を全開にして自分を焼いた。


 何も残らない塩の柱にまで燃やせば、きっと魂まで浄化されるだろう。


 私達は泣きながら笑顔でお別れした。



 聖騎士団墓所


 目が覚めると石棺の中だった。胸の上に萎れた花束が置かれていて、手は合掌していてロザリオかなんか握らされてた。叔父さんからの手紙まである。


「また墓場の中かよっ? それも今度は石棺の中だっ、消し炭か塩の柱からでも生き返るのかよっ? 生き帰ってもどうやって出るんだっ? 一体どうなってやがるんだ? 人間として死ねなかったよっ、本格的に不死王だっ!」


 これは「土の中にいる」で、石棺の天井永遠にカキカキして暮らすのか? もしかしないでも餓死もしないし、水飲まないでも死なない?


 ベンチリフトしても手で持ち上がらないから、また浄化の炎でも出してみて、叔父さんからの手紙でも読んでみる。


「何々? もし目を覚ましたのなら、君は今聖騎士団の石窟の中にある石棺の中で葬られている。土葬にはしていないから安心して欲しい。魔道具のスイッチを押すと墓の管理人が蓋を開けてくれる手はずになっている」


「あの感動のお別れから、どの面下げて再会するんだよっ、せめて百年ぐらい経ってて、叔父さん亡くなってからにしてくれよっ」


 花が枯れてないから精々数日。 見付からないように抜け出して、鎖かたびらだけでも貰って行って、魔の森に逃げようと思ってたら、魔道具押すまでもなく大声で墓場の管理人が気付いてしまい、上から石棺の蓋を開けてくれた。


「あ、どうもすいません」


「やっぱり生き返ったんだね」


 石棺と中身を監視していた聖騎士の一人とも気まずい再会をしたが、この人はまだいい、叔父さんにだけは顔を合わせられない。


「あの~、優しい騎士様とは合わせる顔が無いんで、見なかったことにして貰えませんか? これから魔の森まで逃げますんで、もう王都には帰って来ませんから、私死んだことにして見逃して貰えませんでしょうか?」


「ああ、君が一人で石棺を開いた時、警報が鳴るようになっててね、今頃騎士団も王国も大騒ぎさ」


 また聖騎士団が独断で行動しないよう、王国側にも通達される仕組みになってた。


 何重にも巻かれた警報の線を断線させずに抜け出す、凄まじいまでのフーディーニマジックで大脱出しないといけなかったんだ。


 一人でコソ~リ抜け出して、魔の森に行かないよう、色々と監視の目と警報で雁字搦め。


「あの騎士様は、王国軍数十人を一人で倒してしまった、君を人間として自殺させた功績で叙爵されて、貴族になれたよ」


「はあ……」


 墓の管理人が教えてくれて、叔父さんが出世したのがせめてもの救いだが、やっぱり合わせる顔が無いし、化け物の方が生きてたら出世取り消されそう。


 管理人さんからの話では、瓦版屋からも取材されて、感動の秘話なので絵物語にもなって、舞台劇化もされるらしい。


 王都を震撼させた白魔法のアンデッド、侯爵家でも数十人の人死にを出し、王国軍の精鋭をも数十人殺戮した恐るべき不死王。


 その化け物を退治した聖騎士団。その理由は剣技でも法力でもなく、愛の一文字。


 一人の僧侶の王都を包み込むような愛こそが、アンデッドを改心させて自殺させたのだと、話題集中の赤丸急上昇中。


 箝口令は出されたのだが、その一部始終を記した瓦版は飛ぶように売れて、増刷重版、他社コピー瓦版の号外まで登場して世間の涙を誘った。


 自分の娘をアンデッドに改造した侯爵は、人否人として蔑まれ、今も貴族街の家には貴族の子から石を投げられて、外出もできない有様なのだとか。


「どうしてこうなった~~っ!」


 売国したい王子とか、魔法大隊の隊長みたいな感じで、悠木碧の声で叫んでみた。



 結局墓所に聖騎士団大集合。


 叔父さんとも再会することになって、外に出たくない、石棺に戻る、暫く出て来ないとゴネてみたが、叔父さんの方が墓所に入って来てしまった。


「ああ、生きてたんだね、良かった」


 いかん、叔父さんガチ泣きでこっちもガチ泣き。


「ごめんなさい、死ねませんでした」


 どこかの一家心中しようとして、家族全員殺せたのに自分だけ死にきれなかった、父親とか母親みたいなセリフも言ってみる実験(テスト)。


 燃やされる危険度大なのに、相変わらず抱き締めてくれた叔父さん。


 こっちも本格的に泣いてしまい号泣。


「今度こそ魔の森に行きます、探さないでください」


「いや、君が生き帰ったら王国が決して手放さない。王妃様にまで目を付けられていて、君の不死や蘇生を欲しがっている」


 牢屋入りする前からも後からも、瓦版とかで伏魔殿の悪魔の悪評は聞いている。


 ロリコン王で虐待や死体損壊大好きな王に献上された、大人しくて真面目で不遇系のょぅじょがいた。


 地下牢育ちで余りにも不遇過ぎる生い立ちを聞いて、流石の王様もドン引き。


 数々のエピソードを毎夜聞くのに生かして厚遇し、人を痛めつけるにはこうするのだと言う見本でモノホンの話を聞いて、サディスト趣味を満足させた上に、話が凄まじすぎてこんなにも人を苦しめてはいけないのだと改心させた大物。


 幸せにする約束をされて正式に第三夫人になったものの、第一子で長男が生まれてしまったのを羨まれ、凄まじい勢いで暗殺暗殺の刺客が大量で、あらゆる呪いの数々を掛けられ、治療魔法なんか一切効かない所まで追い込まれて、毒殺か病死させられたと言う王太子。


 それから発狂して政敵や他の王妃も姫も殺しまくり、約束を破った王も殺そうとしたと噂される悪魔。


 でも長男の蘇生復活には天文学的な賞金が駆けられていて、成功すれば公爵の地位でも王族入りでも可能な好待遇。


 まず似たような状態の死体が沢山作られていて、その亡骸を蘇生させれば本試験だそうだが、いままで仮試験を合格した者はいないと言われている。


 もし私の蘇生スキルや不死を移植できれば、どんな願いでも叶えてくれる王妃。



 今はクソ親父が成功させた死なない兵士の作成レシピと、アンデッドか不死王になった実験体の争奪戦が行われているそうだ。


 まあ「ころしてでもうばいとる」とか、拷問してでも白状させる状態らしく、クソ親父が「分かりません」「知りません」と言い続けているのは、情報を秘匿して公爵や王族になったり、小国として土地を分割して貰えるのを狙っているのだともっぱらの噂らしい。


「君が生き帰ったら王妃様と面会させると勅令が来ていてね、もし気に入られたら君は生き残れる」


「はあ、そうですか」


 まあ、同じ牢屋暮らし同士で、ゴキブリ君親子やネズネズ君親子ともオトモダチ、ムカデ君やイタチ君とも仲良しだったら話も合うかもしれない。



 王城


 もう同じ失敗は繰り返さないのか、今度こそ聖騎士団護衛の下、王城に到着した私達。


「そこで止まれっ、これより先は近衛師団が案内する、アンデッドを引き渡せ」


「これは聖騎士団が直接王妃様に引き渡すよう命令された勅令であるっ、この書状を見てもまだ引き渡せと言うかっ?」


「この件は近衛師団が直轄でやる事業だっ、そのような書類は関係ないっ」


 あ、こいつら手柄パクッって、私で実験体持ち逃げするつもりだ。


「いや、この案件は左大臣様が請け負う為に、既に専属部署を立ち上げておる。直ちに引き渡せっ」


「なにを言うかっ、不死者で蘇生実験は、右将軍閣下の騎士団が管轄する先案事項だっ、不死の兵士実験は騎士団が執り行う」


 そこでも城門で引き渡せだの、左大臣とか右大臣とか、右将軍と左将軍と上将軍だかゴーショーグンだか一杯出て来て、自分の兵団こそが王妃様の元に献上するんだと言い張って、そいつらで交戦中。


「突貫っ!」


「魔法師隊っ、攻撃開始っ」


 馬鹿が聖騎士団にも攻撃して来たので私出陣。


 今度は拾った?鎖かたびらとか槍も装備してたので最強状態。


「うおりゃああっ、クソ共が道を開けろやっ」


「噂のアンデッドだっ」


「ノーライフキングだっ、どうにもならないっ」


 敵方もまさか、拘束されているはずのアンデッド自ら出陣するとは思っていなかったのか、ガンガン焼き殺されて、上位で白魔法耐性ある奴しか耐火(レジスト)できる奴がいないから、噂を聞いてるのは恐慌状態で武器捨てて逃走。


 攻撃魔法とか喰らっても、レベルが違い過ぎるのでこっちは全部レジスト。


 もっとマシな魔法士連れて来い、何回同じ事やらかすんだよっ、学習能力ゼロか?


 長坂橋?みたいに、王城の入り口の橋で私一騎で無双してやり、聖騎士団も引き連れて入場。


 城門辺りまでその様子を楽しみに来た王妃らしき人物が、護衛に囲まれてオホホホ笑って見ていた。


 結構いい性格してるオバハンだよ。


 私を撃退した実績?があるクソ親父まで一緒じゃないかよ、パーフェクトヒールかけて貰ったのか、左腕まで生やしてやがる。

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