第47話マルフード領内㊳初めての教会
「恩恵ってなに?」
「神より賜ったらしい特別な能力や称号のことだ。例えばそのものが勇者と認められれば恩恵のところに勇者の称号がつく。君の場合は転生者と遺物に愛されし者だな。恩恵は増えることもあるし減ることもある。」
なるほどあれのことを恩恵と言うのか。
「聖女ってなんなの?」
「聖女と神聖魔法が特別強く使える女性のことだ。男なら聖人と呼ばれる。ソランジュはヒール魔法にも使えるがそれ以上に攻撃魔法が得意だ。…君も敵に回さない方がいい。少し頭の可笑しい女だが悪いやつじゃない。」
司祭が楽しげにソランジュについて語っている。もしや、
「好きなの?」
「は?…い、いやなんのことだ?だれがあんな頭のおかしい女の事を。確かに美しいしあれでいて優しいところもあるが。あれがどうしてもというなら…コホン、なんでもない。他に質問はあるか?」
聞かなかったことにしといてやる。自分はキュートな上に優しいからな。
「鑑定を防ぐまたは誤魔化すことは出来ないの?」
「鑑定を防ぐこと自体は可能だ魔具を使えばいい。しかし一般人がそんなことをしていれば怪しまれるぞ?君が貴族や上の方の冒険者なら別だが。彼らは鑑定され手の内が知られることを恐れるからな。身分は大事だよ。誤魔化すというのは鑑定を詐称するということだろう?無理だな。そんな魔法があったとしても教会の中で魔法は使えない。私も詳しくは知らないが何かしらの付呪がかけられているらしい。」
「魔具が有ればサンクトゥスに行ってもバレない?」
「聖教会に立ち寄らなければおそらく大丈夫だ。そういえば聖教会は分かるか?サンクトゥスの中の一番偉い教会のことだ。あそこでは許可された魔具以外の仕様は出来ない。クク、私服を肥やした豚共がウヨウヨいるぞ。」
さっきとは別の意味で楽しそうだ。
「最後にこれなんだかわかる?ギガンテスの目をオークションで買った短剣で刺したら青白い光を放った後に短剣がなくなってこれを持ってた。」
鑑定が使えないからなんの卵か分からなかったんだ。卵を司祭の前に置く。
「こ、これは!はぁ次から次へと厄介事を持ち込んでくれるな。」
頭を抱えて大きなため息をついた。なんだか早死しそうな人だ。聖女のお目付け役って言ってたし。
「予想でしかないが君が買った短剣は聖遺物だ。聖遺物とは神が地上に残したとされる遺物のことだ。短剣鑑定出来なかっただろう?聖遺物は基本的に鑑定を出来ない。まさかのオークションに紛れ込んでいるとは…。一般人には公開されていない情報だから仕方ないか。ちなみににどこで出土したものだ?」
「どこかの迷宮。名前は知らない。最近あった商業ギルド主催のオークションで買った。」
「分かった。後はこちらで調べよう。聖遺物は役目を果たせば壊れるらしい。その短剣の役目を正確に知ることは出来ないがこの卵を誰かの手に渡すことが役目だったのだろう。先ほども言ったが聖遺物は鑑定できないと言ったな?それなのにこの卵は鑑定出来た。紙に書いて鑑定結果を教えよう。」
司祭が羽根ペンを持って紙に鑑定結果を書いている。インクをつけてないのに不思議だ。魔具かな?
鑑定結果
【聖遺物の卵
何が産まれてくるかわからない
効果
卵アタックができる】
「卵アタック?なにそれ」
「さぁ?何はともあれ聖遺物の卵なんて初めて聞きいた。いいか。私はこのことを忘れます。何があっても関係ありません。君は自身のステータスもこれのステータスも隠しておきなさい。何が産まれてもわたしは知りません。」
「聖遺物を回収しなくていいの?」
「はっ!そんなことしたら何枚の報告書を書くはめになるか。それに私が昇進したらソランジュのことを見る人間がいなくなる。面倒なことには関わりたくない。それは君が持っているのだから君の物だ。自由にしたらいい。」
吸血の刃といいこの卵といい碌なものがないな。卵誰かにあげようかな。
卵を触りながらそんなことを考えていると卵が手に攻撃してきた。これが卵アタックか。
「おや、この聖遺物は卵の状態でありながら君が考えていることが分かるようだな。誰かにあげてもすぐにリッカのもとに帰ってくるだそうだ。変なものに好かれるなぁリッカくん。」
…やくに立たなかったら目玉焼きにしてやる。
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りっかはなぞのたまごをてにいれた!
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