第44話マルフード領内㉟異変の始まり

ギガンテスか。山だと思っていたものが魔物だったとはな。

「ギガンテスってA級?」


「あぁ、A級の魔物さ。はは、はA級パーティーがいくついたらコイツを討伐できるのかな?」

恐怖で少しおかしくなってるな。膝あたりに蹴りを入れた。膝カックンというやつだ。ニコルは唖然としていたが自分の意図がわかったのか笑っている。マゾかな?

「ははは!こんな時でも君は冷静だね。ありがとう。」

「別に。あいつの弱点は何?」


「分からない。ギガンテスなんてこの目で見ることはないと思ってたしなぁ。冒険者ギルドの資料にならのってるかも…なにか様子がおかしいな。」


ギガンテスのいる方向を見てみるとやつは立っていないのだ。理由は分からないが腕だけでもこちらまで移動してこようとしている。もしかして…

「何かしらの理由で足が使えないのかもしれない。」

「そうだね。やつの機動力が封じ込められているなら勝機はある!かも。」

そこは最後まで言いきれよ。

「他のB級パーティーはどこ?」

「うちのパーティーは残党処理と偵察してるからどこにいるか分からないな。もうひとつのB級パーティは城壁の上いたよ。お、来たね。」


「おーい!ニコル無事か!あと真っ黒なガキも!」

自分はついでか。男が3人と女が1人走ってきた。

「やぁ、トビ生きてて何よりだよ。」


「そっちのやつのおかげでな。こいつがざこを減らしてくれたお陰でC級の魔物に専念出来たよ。って世間話してる場合じゃなかったな。あいつをどうにかしなきゃな。誰かあいつの弱点とか知ってるか?」


〈 あいつの弱点は目玉さ。まぁ皆死ぬんだから知ってても仕方ないけどね。そうさみんな死ぬんだ。ははは、〉

トビの仲間であろう男の1人がボソッと大事な事を言ったのは気のせいか?はっきり話せ。

「目玉か、しっかし立ってなくてあのでかさはやばいなぁ。なぁ真っ黒ガキまだエクスプローション出せるか?」

「これ飲むからいける。」

クリームから貰った毒薬のような上級マナポーションを飲む。…まずい、腐った牛乳の匂いがするし味は臭い魚を飲んでる感じだ。しかし効果は確かなようでマナが全回復している。

〈 そ、それは上級マナポーション!お高くて僕だって飲んだことないのに…。いいなぁ羨ましいよ。〉

「やめとけエミールそいつ強いからぶっ飛ば去れるぞ。」

エミールが顔をこれ以上のないくらい近づけてくる。顔色悪いなちゃんと寝た方がいいよ。

「いけるよ。クソまずかったけど。」


「ポーションなんてそんなもんさ。あいつの顔面目掛けてエクスプローションを打ってくれ。爆発が起こってあいつが気を取れているうちに俺らが目玉を直接潰しに行く。じぁやるか!みんな死ぬなよ!」


トビと他の男1人、女1人が走り出す。エミールはこちらに残るようだ。

「あんたは行かないの?」

〈僕はあいつらみたいに頑丈じゃないのさ。魔法使いだからね。 〉

トビたちの剣が炎を纏っている。なるほどこいつは魔法使いかいかにもだな。

トビ達がポジションについてからマナを集中させる。

「“ エクスプローション”」

ギガンテスの顔面に当たった。やつは顔についた火をけそうとやっきになっている。そのすきにトビ達がギガンテスの目玉目掛けて斬りかかった。

ダメだな。ダメージが入っている感じがしない。

〈な、なんで!確かに文献では剥き出しの雫に剣を刺せって書いてあったのに! 〉

剥き出しの雫?しずく…濡れているまたは粘膜ということか。

「このままじゃトビ達が危ないな、ギガンテスの動きが良くなってきている。」

ギガンテスは火が消えて冷静になってきたのかトビ達の存在を認識してイラついているようだ。あ、そういえば

「あいつの足ってもしかして怪我してるんじゃないのかな?血液だって雫でしょ?」

今までなぜ気づかなかったんだ。あいつは立たないのではなく立てないと考えれば説明がつく。

「剥き出しの雫は傷のことか。いやなら怪我をしてない時はどうなるのさ?」

「さぁ?その時は目玉が弱点なんじゃない。」

これは予想でしかない。だがやってみる価値はあるだろう。

「自分はあいつの後ろ側に向かうから注意を引き付けておいて。」

「分かったよ。地味な嫌がらせをしてみるよ。得意分野だ。」

〈 トビたちの姿を見えなくさせる魔法をかけよう。マナを大量に消費するけど嫌がらせにはうってつけだよ。長くは持たないけど。〉

…この2人腹黒だな。さて作戦を開始しよう。

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