第43話マルフード領内㉞異変の始まり
商業ギルドの辺りはを通ると向かい側の冒険者ギルドからログが出てくるのが見えた。
「リッカ!無事だったか、よかった!」
「被害の状況は?」
「魔物の大群が押し寄せている。今はゴブリンだけだが斥候がオークの群れも確認した。都市の上空にはリトルホークの群れもいる。C級のトレントやトロールもいるらしい。それに地震があっただろ?あれはでかいヤツがいる証拠だ。A級まできたら討伐できるか分からねぇ。」
「A級パーティーはいないの?」
「国の要請で今はA級パーティーはマルフードにいない。B級パーティーも依頼で2組しかいないんだよ。今は城壁の上から魔法使いや弓使いが遠隔攻撃をしているがどこまでもつかわからん。」
ふむすなわち何も分からないということだな。とりあえず群れをどうにかするしかない。城壁の上からの攻撃部隊に加わろう。再び走り出すとログに後ろから声をかけられた。
「ログから加勢にいけって言われたと伝えろ!そしたら邪魔されねぇはずだ!」
城壁の上を目指し走る。階段をかけ登り上に着くと沢山の魔法使いや弓使いが攻撃を仕掛けている。ただ魔物が多すぎて押され気味だ。
「子供が何のようだ!邪魔だから避難してろ!」
1人の魔法使いの男が攻撃の手をとめずに怒鳴ってくる。
「ログから加勢に行けって言われた。」
男の隣に並んでマナを全身に巡らせる。これだけ魔物がいるのだから多少地形が変わっても文句は言われないだろ。
「“ エクスプローションウィング”」
加減をせずに魔法を放つ。群れの真ん中に大爆発が起きた。爆風やその後の風の刃で半分くらいは消えた。結構マナを使うなこれ。
「はぁ!?なんだあれ?お、お前がやったやつだよな?エクスプローションであんななるのかよ…。はは、すごいなお前!」
他の冒険者達も自分を見て手を止めている。まだ終わってないぞ。
「まだくるよ。油断すんなよおっさんども。」
「誰がおっさんだー!」「俺は23だぞ!」「お姉さんもいるからね!」「ばばぁの間違い「なんか言った?」
忙しないな。それから魔法を打ちまくったおかげでかなり魔物が減った。回りはぼこぼこになっていったけどね。そのおかげでマルフード上空の魔物の討伐も進んでいるようだ。
しかしデカイのはまだ残っている。トロールだ。トレントは火に弱いからいまさっきの攻撃で燃えたけどこいつらの皮膚は硬く火に強いらしい。奴らは近づけないと分かるとそこら辺の岩を投げてきた。頭悪そうな顔してるのに意外だ。
「“ロックランス ”」
複数の矢が岩を砕き落とした。へぇ土属性の魔法かな?矢を放ったのはショートヘアの線が細たい男のようだ。
「君強いね。僕はB級パーティー猫の目のリーダーのニコルだよ。あ!僕がつり目だから猫の目って訳じゃないからね。僕達は偵察がメインだから子の名前なんだよ!君の名前は?」
どうでもいいな興味無いし。
「リッカ。まだくるよ。」
「おっと、そうだね。みんな心強い味方がいるみたいだから頑張ろう!」
ニコルは仲間らしき奴らに声をかけている。お前らのためにやってる訳じゃないけどな。
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終わりが見えない。魔物が多すぎのだ。雑魚は減ってきたがその分C級の魔物が増えてきた。
「くそ!キマイラが出てきた!この状況で討伐できるのか…」
しし頭で山羊の胴体そして蛇のしっぽをもつ魔物が現れた。
「強いの?」
「B級の魔物さ。強いよ、A級パーティーがいて欲しいところだね。」
ニコルの顔に焦りが見える。キマイラに魔法や矢を放つが動きが速すぎて当たらない。遠距離攻撃が当たらないなら近距離攻撃に持ち込みしかないだろう。
一気に地面を蹴るキマイラが自分に気づいたようだ。引っ掻こうと腕を伸ばしてくるが風鳥を使って速度をあげているので当たらない。何度やっても攻撃が当たらないことにイラついたのか大きく口をあけて咆哮を放ってきた。《ガァァァァァァ!!!》
体が動かない、今の咆哮は魔法か!
キマイラは愉快そうに顔を歪める。蛇のしっぽしっぽで締めあげられた。
骨が軋んで息ができない。一か八かやるしかないか。
「あ、ぐぅ、ネコのくせに、調子にのるなぁ!!」
ゼロ距離でキマイラにエクスプローションウィングを放つ。この距離では逃げることは出来ない。それは自分も同じだけどな。
ドォーーン!!
………何とか生きてたな。キマイラは横で倒れている。ピクリとも動かないところを見ると死んだようだな。思っていたよりダメージを受けがなかった。この服のおかげかな。母親に感謝だな。
「大丈夫かい?」
ニコルが手を差し伸べてくる。
「見ての通りだよ。」
「はは君元々真っ黒だから焦げてるのかわかんないよ。」
ふぅ、ひと段落ついたかな。マナがすっからかんだ。魔物もだいぶ片付いたみたいだし。
ガタガタガタガタ
なんだよ?吸血の刃が震え出したな。抜けというのか?
《ギャァァァァァ!!!》
地震とともに耳を劈く鳴き声が聞こえる。咄嗟に耳を手で塞ぐ。
まだ終わっていなかったのか。地面を揺らしながら姿を表したの信じられない光景だった。先ほどまで山だと思っていたものが動き出したのだ。
「…ギガンテス」
ニコルの顔が凍りついている。あれを殺すことはできるのか?
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