第41話マルフード領内㉜初めてのオークション

「お次は今回の目玉であるウォータードラゴンです!B級ではありますがドラゴン種が市場に出回るのはとても珍しいことです。全長約15m、体重1トンです!状態はかなりよく外傷は首の傷のみです。スタート価格は今回のオークション最高価格の金貨300枚からとさせていただきます!」


会場がざわついている。金貨300枚からってやばいな。次々と手が上がって値段が釣り上げられている。

「530!」

「1,000!」


「1,000が出ました!他にはいらっしゃいませんか?」


白金貨1枚か…。庶民には想像もつかない大金だ。確かにクリークの店では出せなかっただろう。


「2,000」


会場がシンとなる。意志の強そうな女性の声だ。どこかで聞いたことがあるような。声がする方向を見ると領主の妻であるアマリアか手を挙げていた。隣にはジェラールとゴミがいる。

「2,000は出しすぎじゃないか?A級レベルだぞ。いくらにウォータードラゴンでも1,000がギリギリだろ。」

アマリアはなにを考えているんだ?どうしても欲しいのかそれともこの間の詫びか?まぁ買ってくれるなら理由はなんでもいいか。


「今回の最高価格が出ました!2,000以上の方はいらっしゃいませんか?…それではウォータードラゴンは白金貨2枚での落札です!」

オークション側が1割持っていくから金貨1,800枚か。


「これ似て今回のオークションを終了させていただきます。紳士淑女の皆にはお楽しみいただけたでしょうか?オークションは不定期に開催しておりますのでまたのお越しをお待ちしております。」


ちょび髭が大袈裟に頭を下げる。買った短剣の値段を差し引いても金貨1,740枚になる。今日は母親といいもん食べに行こう。

「お前このあとどうするんだ?」


「報酬受け取って母さんと外食する。いい店知ってる?」


クリークからおすすめされた高級レストランに行くことにした。オークションの報酬は商業ギルドの受付に行ったら貰えるらしい。

ギルドの受付に行くと以前と同じ女性が受付をしている。金額が高いので奥の個室に通された。クッキーとリンゴジュースを女性が運んできた。

「本日のリッカ様の対応をさせて頂くナディアです。よろしくお願い致します。早速ですが今回のオークションの落札価格から商業ギルドの手数料を引いた金貨1,800枚でございます。」

ふむ、計算通りだな。これにしてもこのクッキーうまい。もぐもぐ。

「こちらの書類にサインをお願いします。この書類へのサインは今回のみですのでご安心ください。」

たしか毎回サインサインだと面倒くさいし楽でよかった。もぐもぐ、もう無くなった…。

「出来ました。あとこのクッキーどこで売ってるものですか?」


「ありがとうございます。こちらは貴族街で売っているお菓子でございます。事前にお伝えしていただければこちらで用意致しますがいかがでしょうか?」


「自分で買いに行くから場所を教えて下さい。」


対応が以前に増してかなりいいな。金を運んでくる客にはさらに愛想良くするのか。元々愛想が良かったから嫌な気分はしない。当然の対応だ。

「失礼いたしました。場所は〜」

お、今日行くレストランの向かい側にあるのか。早速買いに行こう。

「本日はお時間をいただきありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。」


「こちらこそまたよろしくお願いします。」


「失礼ですがリッカ様私共に敬語を使う必要はありません。リッカ様が話しやすいように話してください。」


「わかった。またねナディア。」


商業ギルドを後にする。

宿に帰って部屋にいる母親を外食に誘う。白いワンピースコートを着て行くようだ。

「どうかしら?似合ってる?」


「うん。」


母親と一緒に下に降りると赤毛給仕が「わぁ!2人とも決まってますね!素敵です!」当たり前だ。持っと褒めろ。

「エイミーちゃんどうしたのそんな格好してデート!?」「おいやめろ俺らのエイミーちゃんが何処の馬の骨ともしれないやつに取られるなんて…ぐすっ」

下で酒を飲んでるおっさんたちが騒ぎ出す。自分がいるのが見えないのか?節穴どもめ!

「うるさいよおっさんども。あっち行け。」


「なんだリッカも一緒なら大丈夫だな。」「そうだなマザコンだし。」「よかったー!」


「ふふふ。みんな面白いわね。」

…1番の曲者母親かもな。


貴族街のレストランに向かう。扉の前にはドアマンが立っている。店の中に入ると従業員に席まで案内される。メニューを渡されたがいまいち何がいいのか分からない。

「おすすめある?」


「ウォータードラゴンの肉がオススメです。ドラゴンの肉はなかなか出回りません。肉は柔らかく口の中で溶けるように感じられます。」


「じゃそれで。ウォータードラゴンにあうコースをだして。」


「かしこまりました。」


まさか自分で狩ったものが高級レストランに出てくるとは。アマリアが肉をレストランに卸したのだろうか?まぁいいか。

母親に今日のオークションについて話す。かなり儲かったんだぞ。

「まぁ!そんなに高く売れて良かったわね。」


「これからもっと稼ぐよ。」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

次回に続きます。

〇補足

貴族街とは高級店が並ぶ地区のことを言います。入場制限はありませんがあまりボロっちい格好で行くことはおすすめできません。リッカが普段生活してるところが平民街です。領主はマルフードのちょうど真ん中に住んでます。


エイミーの服は銀河鉄道9〇9のメーテ〇の服の白バージョンのイメージです。

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