第36話マルフード領内㉗ 初めての市場

エルフたちの服を買った。これで今回の目的は達成出来たな。あとはウィンドショッピングをしよう。


雑貨などがあるゾーンを歩いていると黒い猫が前を横切った。目が細くふてぶてしい態度をしているしデブ猫だ。何故か自分を凝視している。

「大きい猫ね。おいで〜。」


のそのそと母親に歩み寄り腹を見せて誘惑している。…勝ったな自分の方が可愛いに決まっている。

「ふかふかだわ!可愛い!」

ふ、ふん!今回は引き分けにしといてやる!


猫は気が済んだのかまたのそのそと歩き始める。すると母親がフラフラとした足取りでついて行く。

「どうしたの?」


「ついて行かなきゃ。」


おかしい。あの猫なにかしやがったな。母親を引っ張っても反応がない。仕方がないのでついて行く。後であの猫とっちめてやる。

猫は明らかに不審な店に入っていった。ドアを開けると雑貨が沢山置いてある。統一性がないように思える。入る時にまたマナを吸われる感覚がある。またなにかの魔具か。

「おや、帰ってきたのかい?なに?気になる人間がいたから連れてきただと?」


奥からとんがりボウシを被った紫髪のうつくしい女が出てきた。妖艶という言葉が似合う際どい黒のロングドレスを纏っている。


「ふーん、異世界の転生者ねぇ。確かに気になるわけだ。」


!!転生者だとなぜわかる。こいつ自分を鑑定したのか?目の前の女が得体の知れない存在だと認識する。


「ヒヒヒ、そんな威嚇した子猫みたいにこっちを見るんじゃないよ。別に何もしないさね。お前を鑑定したのは私じゃなくてこいつさ。」


女はデブ猫を指さす。


「こいつは私がテイムした化け猫さ。」


女と猫を鑑定してみる。


【ベアトリス 魔女族 82歳

闇、火、水、土、特殊

魔女の館の店主】


【ブー チャームキャット C級169歳

特性

魅力魔法が使える】


魔女族?というかかなりお年を召して「何か言ったかい?」何も言っていない思考を読ませたのは気のせいだきっと。


このデブ猫魔物だったのか。名前がブーだから太いのか?猫の首根っこを掴む。

「母さんにかけた魅力をとけ」

不満そうな顔をしている。毛を毟ってやろうか?


「といておやり。」


「ブャー」


猫ってこんな風に鳴くのか?


「あらここはどこ?」


正気に戻ったようだ。猫を適当に放り投げる。デブ猫のくせに華麗に着地した。今回はこれくらいで許してといてやる。


「なんでここに連れてきたの?」


「面白そうな人間がいたからさ。あんたのステータスは珍しいからね。あんたはこっちにおいで。そこの娘は店のなかでも見てな。」


都合がいいな。母親には聞かせたくない。奥の部屋に案内される。いかにも魔女が使いそうなでかい鍋やよく分からない本などが並んでいる。


「何が聞きたい?」


「転生者のことやあんたの能力について。」


「転生者ってのはアンタみたいな存在のことさね。前世が異世界にいたやつのことだよ。私が見たのは50年ぶりだよ。もう死んだけどね。」


「転生者は一般的には周知されてるの?」


「いいや。転生者は本人が前世のことを覚えてない場合が多いから知ってるやつは少ないね。あんたが珍しいのは転生者なことじゃない。あんたのマナの大きさや属性がおかしいのさ。自分で鑑定してご覧。」


本人が覚えていないこともあるのか。自分を鑑定したことはなかったな。ついつい色んなことがあって忘れてた。


【リッカ 人族 6歳

火・風・光・闇・神聖・特殊

異世界の転生者

遺物に好かれし者】


え?たしか光・神聖と闇両方の属性を持つものはいないって聞いたぞ。それに遺物に好かれし者ってなんだ。


「わかっただろ?こんなのは私も初めて見たよ。あんたは本来あってはならない相反する属性を両方持ってる。光と闇は相性が悪くてね。例えば魔具を作ろうとして光と闇を付呪したらマナが反発して弾け飛ぶんだよ。私の予想だけどあんたはマナの量が以上に多いから光と闇の属性を無意識的に抑え込んでるんだろうねぇ。」


まじか。それってマナがすっからかんになったら時分は弾け飛ぶのか?スプラッタ映画みたいになるなんてごめんだぞ。


「マナがなくなったら死ぬの?」


「それは私にも分からないことさ。まぁ人間死ぬ時は死ぬんだからそんときは諦めな。」


他人事だと思って適当だな。しかしエルフたちの手錠を壊す時にマナの3分の2を使ったが死ななかった。受け入れられる体質ということにしよう。


「なんで自分のマナの大きさを知ってるの?」


「さっき入ってきた時変な感覚がしただろ?あれはマナを吸って相手のマナの大きさを測る魔具さ。これさね。」


細長い温度計のようなものが壊れている。中の液が漏れてるぞ。


「あんたのマナが大きすぎて魔具が壊れちまったんだよ。これはね付呪専門の魔女が作ったもんだよ。それが壊れるなんてあんたほんとに人族かね?」


「知らない。母親は人族だよ。そういえば魔女族ってなに?聞いたことない。」


「魔女族はもともと人族や亜人だったら者が修行してなる種族さ。あんたもなるかい?」


ヒヒヒと笑いながらにやにやしている。ろくなことにならなさそうだからヤダ。


「遺物ってなんのこと?」


「遺物は迷宮から出てきた魔具のことさ。似たようなもんだからどっちも魔具でいいよ。ただ遺物にはたまに変なものがあってね。それこそあんたが持ってるみたいに意志を持ってたり呪いがついてたり色々さ。」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

エルフのナゼールのステータスを少し付け足してます。

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