第33話マルフード領内㉔
えぇ〜〜めんどくさい。これ一つ壊すのでかなりマナを使うしこいつらにそこまでしてやる理由がない。
「やだ。そこまでしてやる理由ないし。」
「そ、そんな!」
「お願いします!」
「助けてください!助けてください!」
後ろのエルフたちが泣き叫んでいる。と言われましてもね。疲れるし。
目の前のエルフは下をむいて考え込んでいる。何かを思いついたように顔を上げる。
「エルフの魔法に興味はありませんか?」
「教えてくれるの?」
「他の者の手錠を壊してくれるなら教えましょう。」
等価交換か。エルフの魔法とはなんだろうとても興味がある。
「それでいいよ。でも自分も1つ壊すのにマナがかなり必要だから1日2つまでしか壊せない。」
「それでは1日2つ壊してくれるごとに1つの魔法を教えましょう。」
手錠は残り7つだから今日も入れて4つの魔法を知ることが出来る。悪くない取引だ。
「わかった。もう1人は誰のを壊す?」
エルフたちは話し合ってひかくてき小柄な美少女の手錠を壊すことになった。これでエルフの魔法を知ることができるなららくなしごとだ。
最初に自分と話した男のエルフはナゼールというそうだ。エルフの魔法はエルフにしか教えていないらしくできるだけ魔法を他の人に教えないようにお願いされた。約束はしないがな。
「どのような魔法を使いたいですか?」
色々欲しすぎて絞るのが難しいな。攻撃用も欲しいし生活用も欲しい。あ!あれがあるかな?
「鑑定ってある?」
「鑑定なら人族にもあるでしょう?それでいいのですか?」
「鑑定は教会が独占してるから。教会には出来るだけ近づきたくない。」
鑑定ができるようになれば自分が何の魔法に適性があるかわかるようになる。教会にいかずにわかるならそれがいい。
ナゼールが納得したような顔をする。鑑定を教えてもらった。さっそくナゼールを鑑定してみる。
【ナゼール エルフ族 215歳
光、風、土、特殊
神官】
え?215歳?エルフは長寿だときくが何年生きるんだ?
「ふふ、驚きましたか?私たちは人族より長生きですからね。どうやら上手くできたようですね。」
ナゼールは人族の青年期にあたるそうだ。ナゼール達は自由連邦のノックシーラから来たらしい。複数人で狩りをしていた時に魔法使いに捕まり奴隷として馬車で運ばれている時にオーク達の襲撃にあったらしい。ノックシーラは自分が住むリジュール国との間にラクナイ国があったはずだ。確かに遠くまで来たものだ。
「また明日くるから。」
「えぇ、よろしくお願いします。衣服や武器をいくつか持ってきてくれませんか?もちろん対価に魔法を教えます。」
「わかった。」
狩りに出ていたらしいから何かあっても戦うことはできるだろう。8人分の服と武器を調達しなければ。
宿に帰って来るのが遅くなってしまった。
「遅かったな。手こずったのか?」
「色々あってね。オーク肉あるから捌いてよ。面倒だから解体してないけど。」
オーナーにいわれたところにオークを1匹だす。
「また立派なのを狩ってきたな!」
「ステーキが食べたい。たくさんつくって。」
オーナーにリクエストはだした。母親は部屋にいると言われた。
料理ができるまで時間があるから母親を呼びに行こう。部屋に入ると母親が集中して布に糸を通している。自分が部屋に入ってきたことに気づいていない様子だ。
「母さんただいま。」
「おかえりなさいリッカ」
「ご飯食べた?オークを狩ってきたから今日はステーキだよ」
「オークのお肉は癖がなくて美味しいのよ。たのしみね。」
母親を連れて下の席にいく。今日あったことを2人で話し合う。エルフの話をした時にとても驚いていた。やはりこの国で人身売買は禁止されているらしい。まぁ金持ちが裏で囲っている可能性はあるが。
「出来たぞ!オークのステーキと野菜のソテーだ。」
小さい鉄板にオークのステーキがのせられている。ジュージューと音を鳴らしながら肉が焼けたいい匂いがする。これは絶対うまい。
肉を食べやすい大きさに切って口の中に入れる。肉汁がジュワッと広がる。確かに癖がなく食べやすい肉だ。オークの肉でベーコンやハムや生ハムを作ったら絶対うまいぞ。オーナーに作って貰えないか相談しよう。
「追加分です!」
オークのステーキが次々と机の上に並ぶ。成長期の食慾を舐めるなよ。まだまだいける!母親はもうお腹いっぱいなようでりんごジュースを飲んでいる。
母親にエルフについて聞いてみる。自分の知らないことを知っているかもしれない。
「エルフってどんな種族なの?」
「そうねぇ、あんまり知らないけど長生きで顔が綺麗らしいわね。私は実際に見たことないわ。耳が尖ってるのが特徴らしいけど。」
だいたい自分のイメージのエルフだな。一般人がしってるのはこんなもんか。明日クリークの店にオークを売りに行くからその時聞いてみよう。
オーナーに渡したオーク肉の3分の1を自分が食べたそうだ。呆れたように「お前よく食うなぁ」と言われた。よく食べることはいいことだぞ。
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ナゼールのステータスを少し変えました。
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