第24話マルフード領内⑮
隣で母親がうごいている音を聞いて起きた。体が少しだるい。こんなことは初めてだ。昨日の戦闘のせいだろう。
「体調はどう?」
「少しだるい」
母親が手を額において体温を計っている。熱は無いが体の関節部分が熱を持っているのが分かる。おっと今日も忘れずに母親にバリアをかけなくてはついでに自分にもかけておく。
「熱はなさそうね。何か食べたいものとかある?」
食べたいものか。
「りんごが食べたい。」
「下から買ってくるわ」
料金を払う必要は無い。リンゴひとつで銅貨3枚ほどする。果物は高い。しかしここのオーナーには貸しがある。
母親がしたからリンゴを貰ってきた。リンゴの皮を切ってなにかしている。うさぎだ。
「はい、あーん」
《シャクシャク》
甘い。前世のように品種改良されていないから少し甘いくらいだがそれでもこの世界で甘いというのは貴重だ。うさぎリンゴはまだたくさんある。母親にも食べさせよう。
「あーん」
「《シャクシャク》美味しいわね」
そのうちアップルパイが食べたい。チョコやケーキやクッキーもだ。平民には手の届かないものだがいつでも食べたい時に食べれるような生活をしたい。また1つ目標ができた。
リンゴを食べたらだるさが少し収まった。甘いものというのは人に元気を与える。昨日の収穫を売りに行きたいし新しい服が欲しい。母親に服を作って欲しいと伝えると
「じゃあ布を見に行かなきゃね。魔物の素材の服なら今よりもっと頑丈なのがあるわ」
魔物の素材の布があるのか。少し興味があるな。
「一緒に行きたい」
「あら!だったら今日は2人でお出かけね」
母親が嬉しそうにしている。天使のように可愛い子供とお出かけできるのだ。嬉しくないはずがない。
まずは朝食を食べる。その足で収穫を売りに行った後に布を見に行く。さすがに昨日の服でウロチョロ出来ないので他の服に着替える。少し小さく感じるな。成長期か。
今日もオートミールが出てきた。オートミールは一般的な平民の朝食だかどうにも好きになれない。やはり白いパンや米が食べたい。
食べ終わってから母親を連れて魔物の買取店にいく。高く売れるだろうからうきうきだ。
店に着いた。中は昨日と変わらず魔物の肉や皮が売られている。
「貝とか魚の買取してる?」
店主の男が出てくる。母親の方をちらちら見ている。母親は魔物の皮に興味深々で店主のことなどちらりとも見ていない。
「あー、とりあえず出してみろ」
誰に向けた声か分からないが少しいい声を出している。
「これ」
貝28個、魚15匹、でかいカニをだす。カウンターからはみ出たので浮かせておくか。店主は慌てて椅子から落ちた。
「お、お前これウォータードラゴンが住み着いてるところでしか取れない魔物じゃねぇか!一体どうやって!」
店主が息継ぎせずに質問してくる。
「狩ってきた。それで買取してくれるの?してくれないの?おっさん」
その言葉でハッとしたのか。深呼吸をしている。
「是非買取させてくれ。ウォータードラゴンが住み着く以前もそれなりに高買ったが今はそれ以上になる。」
自分はこくりと頷く。それを見て店主は真剣な顔で査定を始める。貝や魚は他にもいたからまた取りに行けばいいがでかいカニは他にいなかったな。カニの肉は3分の1ほどこちらで貰おう。
店主が査定している間母親の傍に行く。なにかの魔物の皮をずっと見ている。その皮は滑らかな黒い皮だ。見ているだけで高級感漂う。商品なので許可なしに触らないが触り心地も良さそうだ。
「これが気になるの?」
「えぇ、かなりいいものよ。多分コウモリ皮だと思うわ。」
翼部分のことか?それにしてはでかいな。縦横2mくらいあるぞ。本体はどれだけでかいんだ。その隣には白地に毛皮がある。青白く光沢がありこちらも高級そうだ。あれは絶対ふわふわだ。
そうこうしていると査定が終わったようで店主に呼ばれた。待ってました。
「シロチョウ貝27枚で中身が金貨54枚、貝殻は1つ銀貨5枚で金貨23枚と銀貨5枚、ヒゲ魚15匹で金貨60枚、ヒゲは1つ銀貨8枚で金貨12枚」
かにの説明に入る前にカニの肉3分の1とでかいシロチョウ貝の中身と貝殻はこちらで引き取ることを伝える。
「わかった。続けるぞ。このカニはオオガニだ。こいつは生まれたばかりの子供だ。成体は全長10mくらいにまでなるらしい。オオガニはC級の魔物だ。肉は金貨10枚、甲羅は金貨13枚。今回の合計は金貨172枚と銀貨5枚だ。大金貨で渡すか?」
大金貨は商人くらいしか見ることのない硬貨だろう。使いづらそうだから全て金貨にしてもらう。店主が10枚単位で金貨を並べる。
しかしこの魚たちの価値はウォータードラゴンが住み着いていて危険な地域でしか取れないという付加価値が着いているからより高いのだ。ウォータードラゴン狩ってるしな…。市場の価格と違ったことで店主から恨みを買うのは避けたいどうするか。
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