第21話マルフード領内⑫

姿が見えたのは一瞬だったがあれは首長竜のようなものだった。首までしか見えなかった。あれは強そうだ。マジックボックスを覚えたから自分で解体せず出来るやつに依頼すればいいのだ。


問題はどうやっておびき寄せるかだな。水の中に引きずり込まれるのは面倒だから外に出てきて欲しい。そういえばログはマジックボックスの収納量は使用者のマナの多さによると言っていたな。


より湖の水を収納しよう。少し離れているができるだろう。湖に向かって手のひらを向ける。


「“マジックボックス”」


湖が光だす。光が収まると湖の水は全て無くなっていた。まさか全て収納出来るとは。熊が飲み込まれたとこらへんに首長竜がいた。ビチビチと動いている。その他にも色々な生物がいる。


首長竜に近づき買ったばかりの短剣で首を思いっきり叩く。痛がっては居るが致命傷にはほど遠いな。首長竜はこちらを睨みつけながら首を膨らませた。直後水の大砲を放つ。


しかもひとつではなく複数打ってきた。全て避けながら首長竜に近づく。あと数メートルのところで尻尾が飛んでくる。死角からの攻撃を予想出来ず吹っ飛ばされる。痛い。バリアを張っているが肋骨が折れたんじゃないか?相手は水がない状態なのに攻撃を貰ってしまったことにイラつく。


「くそがっ」



吹っ飛ばされた時に腕も怪我したようだ。肩から血が出ている。腕を伝って短剣に血がつく。買ったばかりだぞ。その間も首長竜は待ってくれない。水の大砲を打ち続ける。


攻撃を避けながら考える。自分の腕力であいつに致命傷を与えることは出来ない。このままいけば自分の方が力尽きるだろう。痛む体にヒールをかける。?短剣が震えている。まるでその存在をアピールしているようだ。抜けない剣でどうしろというのだ。


ためしにさやを引いてみる。抜けた!なぜか分からないが今はやつを狩ることが先だ。


水の大砲を避けながら足に力を入れる。今大事なのはスピードだ。やつが反応できないくらいのスピードが必要なんだ。マナを全身に巡らせる。自分が風になったかのようにイメージする。周りに砂埃が舞う。


「今だ!」


前身に風をまといながら走る。飛んでいるかのように錯覚する。気づいた時にはやつの首まで来ていた。


《ブシャッ》


首から大量の血が吹き出す。首長竜は最後の力を振り絞って噛み付こうとしたが当たらない。既に移動できる範囲外に自分が移動したからだ。


無駄だと悟ったのか首長竜は大きな音を立てて倒れる。強かった。今まで戦ってきたどの魔物よりも強かった。自らの力を過信していたな。自分より強いやつはこの世に沢山いるのだろう。もっと強くならなくては。


首長竜をマジックボックスに収納する。さて他の生物たちも収納しよう。



あまりちんたらしすぎたら魚が全て死んでしまう。そんなことをすればこの辺りの魚を食べている生き物が困る。辺りを見渡して良さそうなやつを狩る。


お、でかいカニがいる。あっちには貝がたくさんだ。カニは体長1mくらいだ。甲羅は高く売れるかもしれないから関節部分を切り刻んでいく。大きなハサミを持っているが当たらない。

貝は手のヒラより少し大きいくらいだ。貝に解体用ナイフを隙間から突き刺す。これは流れ作業だ。思ったより簡単に開く。ん?中に小さな真珠が入ってるやつがある。1cmにも満たないものがいくつか出てきた。貝の中に特別大きいやつがいた。50cmくらいだ。

やはり自分はまだ子どもだ。こんなでかい貝がいたらこう思ってしまう。


(開けてみたい!)


解体用のナイフでは無理だ。小さすぎる。この短剣はどうだろう?大きさ的にはナタに近いかもしれない。これならいけるか。隙間から突き刺してグリグリと動かしていると開いた。でかい!真珠もでかい。3cmはありそうだ。

これはいい収穫だな。その他にも魚やエビなどを素早く閉めて収納する。うなぎみたいなにょろにょろの魚もいる。これくらいでいいか。あまり長居しては水のない湖の生物達が死んでしまう。


湖のほとりに立ってマジックボックスから水を出す。


《ザバァ》

大きな水音を立てて水が出てきた。少しすると落ち着いてまた静かな湖になった。


今日は大漁だ。暗くなる前に帰ろう。門までは身体強化を使って10分程だ。


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短剣は某人気ゲーム○Fにでてくる王の○をイメージしてます。


戦闘シーンって難しいですね。

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