第19話マルフード領内⑩
ログに言われた店に来た。いくらで売れるかな?
店の中は魔物の皮や肉が売られている。
「ツノウサギとナマジカの肉と素材を売りに来た」
空間から出してカウンターにのせる。ツノウサギ4匹とナマジカ1匹だ。店主と思われる男が少し驚きいた顔で
「これ全部お前1人で狩ったのか?」
と尋ねてくる。
「うん。いくら?」
「肉の状態がいいな。しっかり血抜きがされている証拠だ。保存の仕方もいい。皮のはぎ方がちと甘いな、油が残ってる。」
店主が川の裏側を指さしながら見せてくる。なるほど次は気をつけよう。
「銀貨3枚だな」
思ったより安い。商業ギルドのギルド証を見せるのを忘れていた。店主にギルド証を見せる。
「商業ギルド員か!なら銀貨4枚銅貨5枚でどうだ?」
やはり安く買い叩かれるところだった。もっと安く買い叩く所もあるかもしれない。ここは今後の課題だな。
「それでいい。多分今後も売りに来る」
「皮のはぎ方が持っと上手くなれば高く買い取れぞ。」
店主から金を受け取る。今度はもっと金になる魔物を狩ってこよう。店を出て隣の武器屋に入る。中は様々な武器が飾られている。奥から背の小さい髭が現れた。
「おい!子供が何の用だ!」
髭だ。顔の大半が髭なのだ。そして小さい。自分と同じくらいか?
「ドワーフ?」
おそらく間違いないだろう。
「それは種族名だ!俺の名前はジオルドだ」
「知ってる。ハングとログから聞いた」
「おぉ!2人の知り合いか!なら少しまけてやる」
「店の中を見ていい?」
「好きにしろ」
ジオルドはそう言って奥に引っ込んだ。許可が出たなら好きにさせてもらう。見たことあるものから使い方がよく分からないものまである。?なんだあそこは。
基本的には武器は見やすく綺麗に飾ってあるが1部樽の中に乱雑に置いてある。失敗作か?
「それは冒険者が売りに来るもんだ。売り物にならんから安売りしとる」
なるほど。ここは買取もしてるのか。売り物にならないものをよく置く気になるな。値段は銅貨5枚と書いてある。武器にしては安い。
何となく見ているとひとつの武器に目を奪われる。さや付きの短剣だ。刀身が少し湾曲になっている。手に持ってみると驚くほど馴染む。さやから出してみよう。
…抜けない。なぜだ?ジオルドの方を見るとニヤニヤしている。これは何かあるな。
「その短剣はなぜかさやから抜けんのだ。どんな力自慢や魔法を使っても無理だった。刀身が錆び付いて抜けんこともあるがそいつは迷宮産だ。何か仕掛けがあるんだろうよ」
仕掛けね。力でもなく魔法でもないギミックがあるのだろう。ただ自分はこいつのことが気に入ってしまった。刀身から抜けないこいつは武器としてどうなのかとも思うが気に入ってしまったものは仕方ない。
「これをくれ」
「こいつでいいのか?さやから抜けんのだぞ?」
「頑丈なら最悪叩き潰すのに使う」
「かっかっかっ!叩き潰すか!ログの紹介ならそれなりの実力があるのだろう。他に必要なものは?」
本来なら防具も必要かもしれないが自分はバリアを使えるし今はいいだろう。
「今はない。そのうちまた来る」
「そうかい」
銅貨5枚をジオルドに渡す。そろそろ昼だ。一旦宿に帰ろう。
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