第18話マルフード領内⑨
神聖を使える者が教会に多い理由か。
「鑑定に来た人を勧誘してるってこと?」
「勧誘どころか半強制的に教会に入れるんだよ。家族がいれば脅迫の材料にされるしその土地に居られないようにすることもある。俺たちの村の教会は小さかったし熱心な信徒も少なかったが教会の持つ権力は大きい。教会は神聖を独占することによって権威を保ってるんだよ。神のおかげだーって言ってな」
ふむふむ、どこの世界でも権力を持つのは教会ということか。ん?ということは
「自分はヒールが使えるから神聖を持ってるってことだよね」
「そうだ。俺が把握してるだけでも神聖と特殊は持ってる。そして俺はそれ以上にお前が属性を持っていると考えている」
「なんで?」
「普通お前くらいの子供は魔法を上手く使いこなせない。マナが安定してないからだ。だがお前は身体強化を使いこなしヒールまで使える。冒険者だった頃に聞いた話だが属性を多く持つものはマナの使い方が小さい頃から上手いそうだ。お前いくつの時に身体強化が使えるようになった?」
「3歳」
「俺は11歳の時だ。マナが安定するのは10歳以降が普通だ。」
やはり自分は普通の子供ではなかったようだ。力がないよりはいいが持ちすぎるのも権力者に狙われる危険性があるな。
「お前今魔物を浮かせてるだろ?物を一定時間浮かせるにはマナを消費し続けるということだ。お前は歩きながらマナの多さと属性の多さを周りのヤツに教えてやっていたようなもんだ。」
「検問時をそのまま通っただろ?お前のことは多分領主の所まで伝わる。すまん、このことを教えてなかった俺のせいだ。」
面倒なことになる可能性があるということか。しかしログのせいではない。誰が悪いかという話なら無知だった自分が悪い。今日それを知れてよかった。
「わかったありがと。マジックボックスってどうやるの?」
「マジックボックスは空間魔法とも言われる。別空間に荷物を置くことが出来る。空間に収納したものは劣化しない。今から物を空間に収納するところを見せるから覚えろ」
ログはポケットから銀貨を出した。マナを全身に巡らせている。すると銀貨が一瞬光った後に消えた。空間に収納されたようだ。
「できるだろ?」
誰に言ってんだ。余裕だ。魔法を使うのはイメージだ。浮かしている魔物を空間に収納するイメージをする。すると光だし消えた。成功したようだな。
「出す時も似たようなもんだ」
ログは銀貨を手に出す。
「教会の話は俺の知り合いから聞いたことだ。もしかしたらもっと過激なことをしてる可能性もある。気をつけろよ」
「うん。そういえばマジックボックスが使えない人はどうするの?」
「マジックボックスを付呪したバッグがあるんだよ。マジックバッグっていってな収納量が多ければ多いほど値段が高くなる。あぁそうだマジックボックスの収納量はマナの多さに依存するからお前のはかなり依存するからな。」
「マジックボックスに生きた生物は収納出来るの?」
「無理だ。植物くらいじゃないか?」
かなり便利な魔法だ。かなりいいことを聞いたな。
「これあげる」
「ナマジカか。リズが好きなやつだいいのか?」
「いいこと聞いたから」
「今日は取れなかったんだ。ありがとよ」
何事も無償でしてもらうということはない。これもログに習ったな。
「魔物の素材買取してる店知らない?」
「それなら武器屋のジオルドの店の隣にあるな」
串焼き屋のハングが言ってた店か。ログが知っているということはいい店なのだろう。ついでに覗いてくるか。
「あともうひとつだけ伝えておきたいことがある。魔物の動きについてだ。もしかしたらスタンピードが起きているかもしれない。」
「スタンピードは不規則に起きる魔物が活発になることだ。理由はわかってない。程度はあるが酷い時は都市1つが壊滅することもあるらしい。雑魚も多いがB級の魔物やA級の魔物の出現する。」
スタンピードか、B級やA級となれば高く売れそうだ。
「わかったじゃあね」
さて魔物を売りに行こう。
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