第17話マルフード領内⑧
ツノウサギを1匹丸焼きにして食べた。なんの味付けもされていない肉だがそこそこ美味かった。残りの肉、皮、魔石は直接専門店に売りに行く。
肉は笹のような葉っぱに包んでおく。これは冒険者がやるやり方でログに教えてもらった。この葉っぱに包んでおくと多少痛みにくくなるそうだ。
門に帰ってくるとまた衛兵に声をかけられた。
「お使いにいったんじゃなかったのか!?なんだそれは?」
今日の収穫のことか。収納するものがないからそのまま魔法で浮かせたまま持ってきた。さすがに目に付くか。
「これがお使い」
なんとも言えない顔でみてくる。早く売りに行きたいのだが。
「少し待ってろ!」
男はそう言って検問所の中に入っていった。少しすると複数の男たちが出てきた。その中で多少強そうなやつが質問をしてくる。
「お前お使いに行っていたそうだな?どこに行ったんだ?」
「あっち」
ツノウサギの出現場所を指さす。
「浮かせてるのはおまえが狩ったのか?」
「うん」
なにか言い訳するのも面倒だ。確かに子供がお使いに行った後に魔物を狩ってきたら警戒するのも無理ないか。その後男にいくつかの質問をされた。
「…行っていいぞ。お前のことは他の奴らにも言っとくから次はここまで時間を取らせない」
質問は10分くらいだった。次からスムーズに通れるのか。素直に話してよかったな。自分のプリティーフェイスにやられたか?
さて売りに行くか。
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「隊長!通してよかったんですか!?明らかにおかしいですよ!」
「そんなのはわかってる。ただな、あいつは嘘はついてなかったと感じた。それに」
「それになんなんですか!あんな子供今まで見たことないですよ!危険人物だったらどうするんですか!」
「あいつは俺たちの誰よりもつよいぞ。殺そうと思えば直ぐに殺されただろうよ」
部下たちが静かになる。こいつらは目の前のことしか見えてなかっただろうが俺には分かる。あの雰囲気は明らかに強者のものだ。俺たち衛兵には止められたない。
「領主様の屋敷に使いを出せ。俺たちには対応できん」
危険人物かもしれないやつを通した責任はもちろんとる。だが部下たちの命には変えられない。上に判断を仰ぐしかないだろう。
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とりあえず商業ギルドにいくか。売りに行くにしてもどこに店があるか分からないからな。肉たちを浮かせたまま歩いているとやたらに視線を感じる。
視線を無視して歩いていると前からログが走ってきた。なんだか慌てているな。どうしたんだろうか?
ログを見ているといきなり首根っこを掴まれそうになった。避けたがな。何度しても捕まりそうになかったからかログが小声で
<おまえかなり目立ってるぞ!一旦着いてこい!>
用があったのか。最初からいえばいいものを。
小さく頷くとやはり首根っこを掴まれそう走って連れていかれる。自分は子猫かなにかか?
人気のない路地に連れてこられた。いくら可愛いからって子供に何をするつもりだ。
「あのな!狩ってきた魔物をあんなふうに運ぶやつがあるか!」
「他に運ぶ手段がない」
「あ?そんなもんマジックボックスに入れれば、あれ?教えてなかったっけ?」
マジックボックス?なんだそれ?
「あー悪い教えるの忘れてた」
そんな可愛く言っても誤魔化されないぞ。なんだそれは。
「いやーおまえが特殊だからなんでも出来る気になってたわ」
「特殊ってどういうこと?マナが多いから?」
「それもあるがそれ以前にお前は属性に縛られてない可能性がある」
属性?なんだそれは?
「平民のほとんどが魔法を使えないのは知ってるな?それはマナがあっても使い方を知らないからだ。マナにはいくつかの属性がある。火・風・水・土・光・闇・神聖・特殊だ」
「ほとんどのやつは光魔法が使える。お前もエイミーが使ってるのを見たことがあるだろ?闇魔法の属性を持っているやつは使えないがな。俺は光、火、特殊属性を持ってる」
「属性を持ってなかったら他の魔法は使えないってこと?」
「そうだ。だから俺は水関係の魔法は一切使えない。俺でも多い方だぞ?大体の人間は光ともうひとつの属性だけだからな」
ふむ、これも異世界の常識と言うやつだろうか?何となく以前のあやふやな記憶の中にも似たような話があった。しかし特殊というのが気になるな。
「特殊ってなに?」
「言ってしまえばそのほかの属性に当てはまらないということだ。俺がさっき言ったマジックボックスも特殊属性になる。特殊属性は俺にもよくわからん。持ってるやつは多いらしいがな」
「属性を持ってるか持ってないかどうやって判断するの?」
「教会に言って鑑定してもらうんだよ。そうだ!ここからが本題だ。お前ヒールが使えるだろ?ヒールの属性的は神聖だ。教会の司祭は神聖を持ってるやつが多い?なぜかわかるか?」
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長くなったので中途半端ですが次回に続きます
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