第16話マルフード領内⑦
窓から陽の光が差し込んでくる。もう朝か。5時くらいかな?
ぐぅー
腹が減った。魔物を狩ってくるか。隣で眠る母親に一言伝えて部屋から出る。
宿から出ると少し寒さを感じる。この地方は年間を通して気温が低めだ。そのうちもっとあたたかい防寒具が欲しい。
領から出るための門に向かう。既にこの時間から人のながれがある。早起きだな。母親が特別お寝坊なのではないし普段は自分もこの時間に起きることはない。村の生活はのんびりだ。
門から出ようとすると衛兵に止められた。
「坊主、この時間から外に出るなんてどうしたんだ?」
「お使い」
本当のことを言って時間を割くのが勿体ない。適当な理由をつけておけばいいだろう。
「そうか。魔物の動きが活発だから気をつけて行けよ」
他には何も聞かれなかった。楽でよかった。
さて昨日の資料のおかげでここら辺の魔物は頭に入っている。食べれる魔物で手頃に狩ることができるのはツノウサギやナマジカなどだろう。
ツノウサギやナマジカが生息するとされる場所まで来た。早速居たな。あれはツノウサギだ。
身体強化をかけてナマジカの首を手刀で折る。しまったナイフがない。木刀はマルフードに来る途中で折れてしまったから捌けない。朝食が…。
どうしようかと考えていると近くに人の気配がする。木の上に避難して警戒する。
「リッカ!降りてこいよ」
この声はログか。やはり生きていたな。
木の上から降りログの前に行く。
「リズたちから聞いたぞ!入場料を出してくれたんだってな。ありがとよ!」
「別にいい。それよりナイフとか持ってない?」
払った金以上のことをリズやログにはしてもらったからは。
「これでいいか?」
ログからナイフを受け取った。これでやっと朝食がとれる。
ツノウサギの血抜きをする間にログとこれまでの話をした。
どうやらゴブリンの群れにゴブリンキングがいたそうだ。ゴブリンキングはD級の魔物だ。腕を壊しているログには自警団を守りながら狩るのは少しきつかったのではないだろうか?
「ゴブリンキングってつねにゴブリンの群れの中にいるの?」
「群れの中にはいるが巣から出てこないのが基本だ。もしかしたら巣から出てこざる得ない理由があったと俺は考えている」
やはり何か起こっているのは確実だろう。
血抜きが終わったな。皮を剥いで内蔵を土のなかに捨てる。そういえばこの世界で内蔵は食べたことがないな。そのうち食べてみたい。
肉、魔石、皮が手に入った。血で汚れた手を川の水で洗う。
「お!美味そうだな」
「あげないよ」
「ははっ!自分で取ってくるさ。リズたちの入場料は金貨2枚と銀貨4枚だろ?ほら返しとくぜ、ありがとな」
ログが金を渡してくる。
「いらない。借りにしとくから早く返してね」
「そっちの方が高くつきそうだ」
ログと別れたあとにもう少し狩りを続ける。5匹のツノウサギと2匹のナマジカを狩った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます