第13話マルフード領内④
さて今日中にしておきたいことは済ませた。宿屋に向かおう。所持金は残り金貨5枚。稼ぐ見通しはついてるから大丈夫だ。
「ねぇリッカ、なんで商業ギルドに登録したの?金額だ2枚もかかるのに」
母親が質問をしてきた。
「1つ目に年齢制限がないこと、2つ目にギルド員ならぼったくりにあいづらいこと、3つ目に魔物を直接買取してくれる店を紹介してくれることかな。冒険者ギルドは年齢制限があるし他のギルドは専門職だからあまり関係がない。ログも商業ギルドはおすすめだって言ってたしね」
「ログさんが言ってたのね。それにしてもリッカはこの年で魔物を倒せるなんてすごいわ。」
母親が頭を撫でてくる。なんともむず痒い感覚が胸の奥から湧き出てくる。くるしゅうない、もっと撫でろ。
母親の手に頭を擦り付ける。はたから見たら犬みたいかもしれないな。
「あら!ふふふ、リッカがまだ母さんに甘えてくれて嬉しいわ!」
甘えてない頭が痒いだけだ。
「…リッカ、私が考えている以上にあなたが強いことはなんとなくだけど分かるわ。でもね無茶はしないでね」
母さんこそまだまだ子離れができていないな。あえて返事はしない。できないことは約束しない主義だからな。
そうこうしていたらフリージアの茎についた。空きがあるといいが。
母親が宿の人間に話をしている。どうやら空きはあるようだ。
「いくらだった?」
「銀貨3枚よ」
思ったより安かったな。麻袋から金を出そうとしたら母親に止められた。
「今までの分たくさんリッカに出してもらったから母さんがだすわ」
「わかった」
確かに今まで金を出していたのは自分だが必要な事だったからだ。だが子供に金を出してもらってばかりでは申し訳ないのかもしれない。
「普段の生活は母さんに出してもらってたから貯金はまだある。なにかいるものがあったら言って」
おそらく母親よりも金は持っているからな。
母親が宿の人間に銀貨を渡した。
「部屋は2階の3号室だよ。大丈夫だとは思うがあんた美人だから夜はしっかり鍵をかけときな」
強面のおっさんが母親にそう言いながら部屋の鍵を渡してくる。大丈夫だ。知らない奴が入ってきた日には地獄の底まで追いかけてやる。
部屋は窓際に大きめなベッドが1つと簡素な机と椅子が2脚部屋の大きさは6畳くらいかな?簡素だが清潔感がある。
(思っていたよりいい部屋だな)
受付の人がおすすめするだけはある。さて母親と今後の予定を詰めておくか。
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