第12話マルフード領内③
大通りを歩いて商業ギルドに着いた。お高い店のような雰囲気をかもしだしている。一般人なら入るのを躊躇しそうだな。
「行こう母さん」
「わ、わかったわ」
こころなしか母親が緊張しているように思える。別にカチコミに行くわけじゃないから大丈夫だ。
「今日は登録をするだけだから大丈夫だよ」
ギルド内に入ると商人のような出で立ちの人達がみえる。店内に似つかわしくないおっさんからどこぞの大商会にいそうなおっさんまで様々だ。
受付まで一直線に歩く。受付の女性は愛想良く話しかけてくる。
「本日はどのような御用でしょうか?」
「商業ギルドに加入したい。」
母親ではなく自分が声を発したことに驚いた顔をしたあとにまた笑顔で対応してくる。顧客が誰かわかったからだろうプロだな。
「かしこまりました。こちらの資料をご覧ください。名前や年齢はこちらの用紙に記入してください。」
受付の女性から資料を受け取る。それには加入する際に必要な金額やメリットなどが書いてある。
必要な金額は金貨2枚。他のギルドは知らないがそれなりに高い。
メリットを要約すると
○都市に入る際に入場料がかからない
○商品の買取に商業ギルドが間に入ることで安全安心に取引出来る
○商業ギルド開催のオークションへの参加券を得る(年会費によって参加出来るオークションのグレードが違う)
○年会費を多く払えばサービスの質が向上する
年会費兼加入料 金貨2枚
銅級 一般の店 複数店舗を持っていない
年会費50枚
銀級 商会 複数店舗を持っている
年会費200枚
金級 大商会または貴族が運営をしている 複数店舗を持っている
○商業ギルドに加入していれば商人から信頼が得られる
こんなところか。ログにギルドに加入していればそれ以上の恩恵が得られると聞いていた。
買取に商業ギルドが入っていればぼったくられることがない。またギルド員であれば店に直接商品を売っても大幅に値段を下げれることがない。ギルド員であるということは年会費を払えるだけの金と責任をおうということだ。ギルド員からぼったくればギルドから注意喚起がでる。逆に言えばギルド員以外からはぼったくってもいいということだ。
上の方の冒険者たちの多くは商業ギルドにも加入しているそうだ。目的はオークションらしいがな。
それにしても金級の年会費は贅沢をしなければ平民が40年くらいは働かなくてもいいくらいの金額だ。これを年会費として出せるのだからすごいとしか言いようがない。羨ましい限りだ。
しかし自分の1番の目的はこれらではない。商業ギルドは年齢制限がないのだ。金さえ払えば顧客となる。まさに金が全てを解決する。なんなら赤ん坊でも金さえあれば加入できる。
このおかげで商人から信頼を得ることが出来る。直接売り込んでも大幅にぼったくられることはない。冒険者になれる年齢までは商業ギルド員として活動しようと思う。
「これで大丈夫です。手続きを進めてください」
「かしこまりました。最初の3ヶ月は必ず銅級ですのでご了承ください。3ヶ月以降に昇級を望まれますか?」
「銅級のままで大丈夫です。」
なるほど最初は銅級なのか試用期間のようなものかな。
「ではこちらのカードに血を垂らしてください」
指に針をさしてカードのようなものに血を垂らす。するとカードに自分の名前や年齢が記入されたあとに銅色のカードになった。
「これで登録は完了しました。お疲れ様でした。」
受付の女性が姿勢よくお辞儀をした。スムーズに進んだな。
「ここら辺の魔物の情報を得るにはどこに行けばいいですか?」
「それでしたらこちらの資料を銀貨1枚で販売しています」
少し割高だが仕方ない。買っておこう。商業ギルドの資料なら適当なことは書いてないだろ。
「これを1部ください」
銀貨1枚を渡す。
「あとおすすめの宿屋はありますか?」
「フリージアの茎という宿屋がお手ごろでオススメですよ。ギルドを出て左手を真っ直ぐ行けば見えてきますよ」
ギルドに職員おすすめなら変なとこではないだろう。
「他にご要件はございますか?」
「ありません。ありがとうございました。」
フリージアの茎に向かおう。
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