第8話幼少期⑤

食材を確保出来た。リトルバード2匹とクロヘビ1匹だ。今日はいつもよりも多い。今日あたり母親に森に行っていることを言うか。森から家に向かって足を進めると何かが焼けた匂いがしてきた。


?少し急いで村に帰るか。身体強化を使いながら足を進める。


…村が燃えている。


『グギャグャ!』


ゴブリンの集団が村を襲っている。自警団はこいつらが近づくまで気づかなかったのか?とりあえず今はこいつらを一匹残らず殺すのが先だ。


1匹がこちらに気づいた。子供だと思って油断して醜悪な笑みを浮かべている。獲物にしか見えないんだろう。それはこちらにも言えることだが。


ゴブリンごときに送ればとらない。こちらに向かってくるゴブリンたちの首を狩っていく。1匹、2匹、3匹…。


見える範囲のゴブリンは殺した。さすがに魔石をとっている暇はない。この時間なら母親が家に帰っているかもしれない。


家は村のハズレにあるから大丈夫だとは思うが。


家の扉を勢いよく開ける。


「母さん!」


「リッカ!無事だったの…血だらけじゃない!怪我をしたの!?」


返り血のことを考えなかったから酷い有様だ。


「これは返り血。急いでここを離れよう。村はだめだ。」


「そうね。私もリッカが帰ってきたら移動しようと思っていたわ。マルフードなら守りも固いからきっと大丈夫だと思うわ。」


マルフードはこの村から北にある都市だ。ここよりはマシだろう。


「わかった。そこに行こう。」


最低限の荷物をまとめて家を飛び出す。自分ひとりなら身体強化を使ってすぐに着くが母が一緒だとそうはいかない。守りながら敵を倒すのは初めてだ。


村の門までゴブリンに会わずに来ることが出来た。


「リッカ、エイミー!無事だったのか!!」


ログたち自警団が門を守っていたようだ。


「ログさん!無事でよかった。」


「あぁ、なんとかな。マルフードに逃げろ。あそこならこいつらは入れない。俺たちが食い止める。リッカが居れば大丈夫だ」


「…わかったわ。ありがとう。ご武運を」


聡い女性だ。今思えば自分が森に行っていたことも知っていたのかもしれない。自分の子供が普通の子供ではないことも。


「ログさん、死ぬなよ。」


自警団全員にヒールをかけておく。体力の回復や傷の治療は出来ただろう。


「!?、はははっ!ほんとにすごいやつだなお前は!ありがとよ!!」


ログに頭を乱暴に撫でられる。やめろ。


「なぁ、リッカもし俺の家族がいたら出来たらでいいんだ助けてやってくれ。」


「あぁ。」


自分と母は振り返らずに門をあとにした。あの人なら大丈夫だろう。

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