第4話異世界探索

狼達の住処に連れられ、食事が運び込まれるようになるとあとは飲水さえあれば生きていけると男がやる気になると、狼達は嬉しそうに尻尾を振ります。

狼の喜びが男にもうつり喜々として話しかけます。

「じゃあ、水を探してくるよ。またここに戻るつもりだけど、その時もお前達は優しいかな?」

水がないと生きてはいけません。しかし狼と分かれてしまい、もう一度このように優しくされるのか、食べ物がまた手に入るのか、男は不安に押しつぶされて足が動かなくなりました。

−ざわゎゎゎ−

突然風が吹き木々がざわめきました。

「コンニチハ、人間サン」

ぎこちなくもはっきりと言葉が聞こえるが周りには何もいない。男が死んだときに会話した存在がこの場所にも来てくれたのかと大きな声で返事をする。

「今日は、この前お会いした方でしょうか?」

「イイエ、今ハジメテ貴方ト話シテイマス」

「そうですか、貴方みたいに何処にもいないのに確かにいる方と話をしたんです。その方とお知り合いなのかなと、天使様なのでしょうか?」

「念話トハ違ウノデスカ?天使様?知ラナイデスネ」

「ね?電話とかではなく、多分何処にもいない方なのです」

「ヨク分リマセンガ、妖精サンヤ精霊サン達デハナイデスカ?」

「妖精や精霊ですか……どのようにすればお会いできますかね?」

「私ガソノ精霊サンデス、貴方ニ是非会イタイト思ッテマス」

「是非お願いします!」

男が生きていた間、妖精や精霊はお伽噺でしかなく、全く信じていなかったが、何もない空間であった何かが神様で、この世界はおっしゃったように今までとは違うのだと信じて止まない男には疑う気などは一切ない。

「ソウデスネ、水ガ欲シイト聞コエマシタシ、湖マデノ道ノリヲオ教エシマス。ソコデ是非私達精霊トオ話シマショウ」

男が声に導かれ移動しだすと、二匹の狼だけが後を追い群れが離れていきました。

「これは……」

導かれた先には清く澄んだ湖があり、人の形をした半透明ないくつかの存在が自由気ままに空を飛んだり、湖の上に立っていたり、木々をすり抜けたり夢か幻のような光景がへろがっておりました。

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