第2話異世界創造

何もない空間から飛ばされた男は緑豊かな森の中、鳥や獣に寄り添われ暖かく満たされた心地よい気持ちで目が覚めました。 

男が起き上がると、動物たちが位置を変え男に自身の存在を主張していきます。

「ここは何処で、お前たちは何がしたい?」

敵意のない優しい目でじっと見つめてくる動物たちに男は嬉しさでついつい話しかけます。

−キャーウ−

一匹の大きな獣が声を上げ近づいてきました。

例えるのなら鹿のようで、立派な角と男が知っている生き物たちの倍はあろうかという体躯でこの中の生き物で一番強いのではと感じ取りました。

じっと見つめたあとどこかへ移動しようと後ろへ向きを変え男をじっと見ます。

「ついてこいと?」

わけがわからず、その獣に声をかけると、その獣は数歩あるいて男を見つめ、また数歩あるいては男を見つめることをくりかえしました。

なし崩しに誘われた男は後を追い、その後ろからは他の生き物たちも続いておりました。

−キャーウ−

「ここ?」

大きな獣が男に振り返り一鳴きするとすっと動くのをやめます。

目に入るのは大きな洞窟があり中にはなにか生き物のいた痕跡がのこっています。

−グゥゥゥ−

森の木々の中から、低い唸り声が上がると周りにいた鳥や小さな生き物たちが一目散に逃げていきました。

「この声は……狼?」

小さな生き物たちがいなくなり、鹿や猪のような見た目をした大きな生き物たちがわずかに残ると、のそのそと男よりも少し小さい狼達が数十匹現れたのです。

「戦うの?」

向かい合うニつの集団に、男が戸惑いわけもわからず、思いついた言葉を口にしてしまいました。

−キャーウ−

鹿のような大きな獣が一鳴きすると男の背中を頭で押します。

「え?俺が餌かなにかなのか?」

大きな獣のいきなりな行動に男が絶望的な想像をしてしまいます。

−グゥゥゥ−

一匹の狼が近づき男を見回します。

狼が男の周りをしばらくうろついたあと、すっと男にすり寄ったのです。

−クゥーン−

甘えたような優しい声で男にすり寄ったあと男の横に座り唸ることをやめてしまいました。

すると他の狼達も唸るのをやめ男のそばまでやってきました。

−キャーウ−

その様子を大きな獣が見届けると一鳴きして木々の中に戻っていきました。

「一体どうすれば?」

男が途方に暮れるているとすり寄ってきた狼とは別の狼がまた男にすり寄ります。

「とりあえず敵意はないみたいだし、よろしく?」

男はわけもわからず、考えることを諦めて、すり寄ってくる狼に、撫でながら挨拶を交わしました。

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