洗浄
ちょっとだけ眠ってしまった。飲みかけの炭酸ジュースを飲み干す。ずいぶんと脱線してしまったが解体を終わらせないと。解体した後、どう捨てるのかは、まだ詳しく考えていない。山奥に埋めるかな。時折、白骨化遺体が山奥で見つかったみたいなニュースが流れるけど、あんなのは氷山の一角だ。年間消えている人数8万人に対して、見つかっている遺体は数体ってところ。毎年年末に買ってる宝くじが当たらないんだから、こんな時だけ当選したりしないだろ。
でも、もう疲れたな。ノコギリの刃もダメになってしまったし、一旦、今日はこんなところでやめておくか。中途半端まみれの部屋で中途半端女が中途半端解体で放置されるのも愉快じゃないか。
シャワーを浴びた。ホームセンターで買っておいたバスタオルを使う。ここに転がっているタオルなんて洗濯してあるかどうか分からないから使いたくない。どうでもいいが、バスタオルって案外高いもんだ。タオル類は現場のお下がりを貰ってばかりだから、買ったことなんて一回もないかもな。下手したら現場のギャラは、貰ったタオルの原価より低かったかもしれないな。
湯舟にお湯を張る。中途半端な肉の塊を風呂場まで運ぶ。重い。解体したパーツたちは非常に軽い。やっぱり山奥に持っていくまでに、細かいパーツごとに解体した方がいいな。
湯舟に沈める。全身を沈めたいのに、死後硬直が始まったのか首だけお湯につからなかった。まぁいいか。何本も買ってきた大量のハイターを湯舟に注ぐ。数日程度であれば、これで臭い消しになるだろう。上にシャワーカーテンも乗せておこう。料理で言う落し蓋だ。
片目がえぐられた顔がウィンクしているみたいで間抜けだ。あっ、目から白色の涙がツーっと流れた。
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