交渉

 職業で差別するのは良くないが、スカウトという職業は法で禁じるべきだ。芸能事務所や風俗店が女性と契約するのは理解出来る。中間紹介業者が、働いた何割かを延々に搾取し続ける。時に恋愛感情を抱かせ、時に脅かし働かせ続ける。寝取られた恨みから言っているのでない、違法にすべき仕事だ。

 そのスカウトを名乗る男と口論になったことがある。

「僕らは派遣会社と同じなんです。女の子もクライアントも僕もみんなが儲かって幸せになってるじゃないですか」

 何がクライアントだよ、気持ち悪い。20年前、派遣法を改定して派遣会社という中間搾取の使い捨て上等社会にした結果、こんなの脳みそが昆虫レベルの男が蔓延っている。騙して働かせるヤツは大嫌いだ。滅んだ方が良い。

 思い出し怒りで半勃ちになった。解体作業のため全裸だったので、すぐに乳首を刺激できる。ゆっくりとつねる。あぁ、むかつく。馬鹿にしやがって。つねる力が強くなる。

 手で抜こうかと思ったが、ふと解体途中の肉の塊が目に入る。あぁ、そうか。こいつに散々な目に合わされてきたんだから、最後くらい役に立って貰うか。

 転がっていたローションを雑に塗り付けて挿入してみるが、あんまり気持ちよくない。こいつのは緩い。ガバガバだ。あぁ、なんか冷めてきた。萎んでいくのを感じる。

「使えねぇな」

 つぶやいてから皮肉な事に気が付いた。離婚を決意した時にこいつが言った言葉と同じだ。反応出来ない状態にして言い返しているヤツみたいで、ちょっとダサくて笑ってしまった。

 炭酸ジュースを一口飲む。消化不良。中折れ。モヤモヤする。中途半端の化身みたいな女のせいで。

 あぁ、そうか。思いついた。穴がガバガバなら別の穴に挿れたらいい。

 キッチンからスプーンを持ってきて、乱暴に目玉をくり抜いた。裏の筋みたいなのをハサミで切ると意外と簡単に取り出せた。

 あらためて、ローションを目の穴に注ぎ、挿れてみる。狭くて気持ちがいい。

 乳首も刺激したい。ちょうど、小分けにしておいた手首が転がっていたので、拾い上げ指先を乳首にあてコリコリとする。

 腰を振りながら、なんでこんなクズに人生捧げてしまったのかと悲しくなった。必死に勉強していた浪人生の頃の自分に申し訳ない。いつもヒステリックに騒いでたクソ女。でも人生で唯一、俺を愛してくれたクソ女。スカウトの男ともヤッてた。AV男優ともプライベートでヤッてた。他で子供まで作ってきた。もう愛してくれなかった。悔しい。どんどん勃起していく。目の穴の奥がニュルニュルと絡みつく。クソ。クソ。やってやる。やってやる。

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