VS 虎徹・包丁藤四郎 (二刀流)

 ぜい・・・ぜい・・・



 河沿いの大きな公園。


 その中の林の木の陰に隠れて、真治は息を整えようとした。



「逃げても無駄だ!!出て来い!」


 大きな声を上げて、ゆっくりと歩いてくる男性。

 おそらくは40歳くらいだろう。


 その右手には日本刀が握られている。


「お前が、Weapon Warの参加者だってことはわかっている!勝負しろ!」


 どうやら、真治が武器持ちであることはばれてしまっていたようだ。

 逃げ切れないと判断した真治は、木の陰から出て男と対峙した。


「ほお・・若いな・・」


 高校生の真治を見てにやりと笑う。


「だが・・・手加減はせん。いざ尋常に・・・勝負!」


 男は、右手に刀を構える。

 そして・・・左手で・・・腰に差した短刀を抜いて両手を広げるように構えた。


「二刀流!?」

「そうだ・・・二天一流。天下の名刀である、虎徹と包丁藤四郎。この二つの刃で切れぬものなどない・・・」


 左手を前に、右手を上段に構える。


「運が無かったと、あきらめるんだな」




 真治は背後に隠し持っていた武器を腰だめに構えた。

 白木の鞘。


「ほお・・おぬしも刀か・・・。どちらが切れるか・・・」


 にやりと笑った男。





 そして、構えたまま・・・突進してきた。

 異常な速度。


「いやあ!!」

 気勢を上げ、刀を振りおろしてくる。







 真治は・・・

 刀を抜き放った。




 居合である。


「無駄だぁ!二刀流の本質は守備と攻めの攻守一体!」


 短刀で真治の居合を受ける。

 いや・・・受けようとした。





 キン





 涼やかな音。




 真治は、鞘に刀身を納めた。



「え・・・・?」






 男の持っていた包丁藤四郎の刃が中ほどからポロっと落ちた。



 だが落ちたのはそれだけでない。



 男の右手も、ひじのあたりからぽとりと落ちた。



「ぎゃあああああ!!!」


 男は、激し血しぶきを上げながら腕を左手で抑える。




「そ・・・その刀は!!いったい!!なんなんだ!!」



「斬鉄剣」



 叫ぶ男に対し。真治は一言告げて、その場を去った。

 振り向きもせず。


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