Weapon War (短編版)

三枝 優

第0話 選出

「お待ちしておりました」

「へ?」


 夜の7時。

 近道しようと、暗い路地裏を通っていた時に声を掛けられた。


 振り向いて見ると、そこにはメイド服を着たメガネの美女が立っていた。


「はぁ・・どこかで会いましたっけ?」

「いえ、はじめてお目にかかります。わたくしはエムと申します」


 微笑みを浮かべ、会釈してくる。


「ええと・・・それで待っていたって・・?」

「はい、ぜひお願いしたいことがございましてお待ちしておりました」

「お願い?」

「こちらに来ていただけますでしょうか?」


 メイドはレンガ造りの建物の鉄の扉を開けて、招いてくる。

 招かれるままに、その扉の中を入る。


 頭の中が、どこか痺れたように思考がうまく働かない。



 扉の中に入ると・・・そこにあったのは

 どこまでも続く広い空間。


 胸くらいの高さの戸棚が延々と続いている。

 明らかに異常な広さである。


「こ・・・これは・・?」


 近くの戸棚の中を見ると、剣・・・ブロードソードやレイピアが並んでいる。

 他の棚を見ると、長刀や短刀が飾られている。


 向こうの方には、マシンガンと思われる銃が飾られている。


 茫然と眺めていると、メイドが背後に立っていた。

 驚いて振り向く。


「ここは・・一体何なんだ!?」


 にっこりと笑顔で返答してきた。


「私は、武器の神に仕えるメイドでございます。そしてここは武器の神が管理している武器庫になります。古今東西、ありとあらゆる武器がございます」

「ありと・・あらゆる武器?」

「はい、なんでもございます」

「それで、お願いって・・・・?」


 メイドは、両手を広げて武器庫を示した。


「あなた様は、武芸に秀でているとお聞きしています。そこで、この武器庫から3つだけ差し上げたいと考えております」

「え・・・なぜ・・・?」


 すると、メイドはニイ・・・と笑った。


「武器の神様は、知りたいと仰せになりました」

「え・・・なにを?」



「この世で最も強い武器は何かを。ですので、あなた様に最強の武器を選んでいただき・・・その強さを証明していただきたいと思います」


「証明?」

「そう・・・いかがですか?どんな武器でもあなたの物になるのです」



 ずいっと、顔を近づけて来て囁いた。

「このような機会。二度とないと存じます。いかがですか?」


 そのメイドの目を見ると、つい・・・うなずいてしまった。

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