星屑と海月

     あの日、私は海に成ろうと心に決めたのでありました。


 それは、貴方が「僕が死んだら海に散骨して呉れ」だなんて、あまりに悲しいことを云ふものですから、私は海に成ると決心したのです。

 

 貴方にとって、私は何でありましょう。私は貴方の、何になれましょう。私は貴方の海になり、貴方の還る場所になれましょう。


 私の体液は海であります。白血球はプランクトン、赤血球は魚群、涙はミネラルとして流れています。そして貴方は、夜の昏い、底の見えぬ私を穿つ、月星の光なのであります。


 そして紺青の水面に、貴方の燃えた後の星屑と、私のふやけた皮膚だけが、ぷかぷかと波に揺れているだけでありました。

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