第3話 毎年咲くはずの桜
カクマラソンは、用事があっても書かなければならない。
毎日毎日、淡々と書き続ける。どうして? そこまでして何がしたい?
今日は山梨に行ってきた。
それでも書かなければならないのか。
休みたいこともないこともないけれど、それでもやっぱり書きたい。
書ける時間があるのなら。でも、やれって言われるとやりたくなくなる。
困ったね。
それはいいとして、山梨はなかなか気に入っている。
以前観た桜が綺麗だったから。
そろそろ桜が観たいのだけれど、もう少しで咲くだろうか。
咲いては散り、咲いては散りを繰り返す。春の短い期間に咲く桜。何度でも咲くはずなのに、毎年観たくなる。
なぜだろうね。
毎年毎年、桜は咲くけれど、散るときは淋しい。
来年もまた咲くはずだけれど、そうではないこともある。
ある春の日、マンションの正面の一軒家の桜が見事に咲いていた。
一本はソメイヨシノで、もう一本は
マンションに帰って部屋に入る前、下を見るとそれはそれは綺麗な桜が咲いていた。街灯が花を照らし、夜桜も楽しめた。サクラは大好きだから、散った花びらがマンションのエントランスに入っていても気にならなかった。
満開になったばかりだから、まだしばらく楽しめると思っていたが、その数日後、チェーンソーの音がしていた。
しばらく聴こえていて、うるさいなくらいにしか思っていなかった。部屋から出ていつものように下を見ると、いつも桜があった場所に工事車両があって、ソメイヨシノの樹がなくなっていた。サクラが咲き乱れていた場所には、切り株があった。
よく見ると枝垂桜は民家の庭にあって、ソメイヨシノは空地にあった。
咲いているうちに、ソメイヨシノは切られてしまった。
そんなことが起こるのだと知った。
それから切り株もなくなり、空地には14階建てのマンションが建てられた。
次の年は、枝垂桜も咲かなかった。
切られることがわかっていたかのように、ソメイヨシノは咲き乱れていた。
枝垂桜もすぐ横にガレージができて、昨年も花は咲かなかった。
美しく咲く桜が観られるのは、とても運がいいのかもしれない。
一期一会を楽しんで。
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