相談事その9ー3

 上手く会話出来ているだろうか。

 気にはなるが待つしかない。

 ぐうよ、頼むぜ。



 ゆっくり散歩を始めて、木々を抜けた所でぐうちゃんは止まった。


「あれ?まだ先があるけど?」


 不思議そうにぐうちゃんを見る龍海たつみ君。

 ぐうちゃんは龍海君をじっと見る。


「いつも、ここで止まってしまうの」


 ここから先は抱っこしかない。

 犬用のカートを持ってくれば良かった。


「なら抱っこだね」


 龍海君はぐうちゃんを抱っこした。


「重い、こりゃ大変だ」

「カート持ってくれば良かったよね、ごめん」

「良いよ、可愛いからぐうは」


 安心して胸を撫で下ろす。


「散歩は志穏しおんさんが?」

「アルバイトの時に任されて、今は時々」

「そうなんだ」


 ぐうちゃんを抱っこしたまま歩く龍海たつみ君。

 初対面なのに、なんだか懐いているなぁぐうちゃん。


「ところで、同じ高校生だよね?」

「うん」

「何年生?」

「1年だけど?」


 えっ、もしかして龍海君って…えっ!?


「僕は2

「すみません!」


 反射的に頭を下げた。

 まさか、先輩だったなんて…。

 うかつだった。敬語で良かったじゃん。


「あはは!」


 龍海…先輩は、笑った。

 私は驚いてしまい、口をぱくぱく。


「気にしないでタメ口で良いよ!他校だし!」


 えっ?


「でも、やっぱり…」

「大丈夫!」


 爽やかに笑顔を見せた彼。

 それを見て、私はホッとした。


「分かった…じゃあタメ口で」

「うん!」


 ちょっとだけ、距離が縮んだような気がした。

 もう1歩、踏み出してみようかな。


「龍海君」

「何かな?」


 えいっ!て感じに、私は言った。


「連絡先交換、したい」


 ドキドキと鼓動が激しくなる。

 聞こえてはいないか。

 恥ずかしくて、恥ずかしくて。

 早く、答えて。

 そう思っていると。


「良いよ」


 ハッとした。

 そして、だんだん鼓動が落ち着き、嬉しい感情が沸々と湧いてきた。

 でも、抑え込む。

 家に帰ったら、いや、満奈みつなと2人きりになったら、弾けちゃえば良いや。

 今は我慢我慢。


「ありがとう!」


 喫茶店はとに無事に戻ってから、私と龍海君は連絡先を交換した。



「じゃあまたな!灯夜とうや!」

「また来ますね」

「ありがとうございました」

「また来て下さいねー!」


 龍雄たつおと龍海親子が帰って行った。


「満奈、帰ろっか」

「はーい」


 志穏達も帰るようだ。

 2人は会計を済ませて。


「灯夜さん、朝歌あさかさん、また来ます!」

「私もまた来ます!」

「楽しみにしてるねー!」

「お待ちしております」


 彼女達も帰って行った。


「連絡先交換まで進んでいたな」

「アシスト成功だね♪」


 ルンルンだな朝歌は。


「ところで、どんなパフェにするんだ?」

「ふふん!」


 朝歌は両手を腰に当てて、何故かドヤ顔で力強くこう言った。


「チョコたんまり、フルーツ盛り沢山!」


 てんこ盛り、ですか。


「分かった。果物が余ったらそうするな」

「はーい♪」


 閉店後。

 果物は珍しくそんなに余らなかった。

 だが、朝歌の好きなバナナや苺は残っていたので、それに手をつけていない、キウイも使って、パフェを作った。

 美味しい美味しい!と喜んで美味しそうに食べていたので、作ったかいはあった。

 可愛いな~、なんて思いながら、片付けをしたのだった。

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