相談事その9ー2

 龍雄たつお龍海たつみ親子の様子を見守りつつ、志穏しおんの方にも気を配る。

 何かきっかけがあれば良いんだが。


「険しい顔してるね?」

朝歌あさか…そうか?」

「眉間に皺がグググッとあるよ」

「それは大変だ」


 眉間辺りを親指と人差し指で揉む。


「悩んでるの?」

「うーん…勘違いではないとは思うが…」


 朝歌に耳元で伝えると。


「うほー!面白い!」


 小声でキャッキャッし出した。


「ちょっと確認してくるね♪」


 朝歌はこういうの好きだな。

 様子を見ていると、志穏の顔が赤い。

 やはりそうか。

 満奈みつなさんは、志穏の気にしている方を観察。

 何度か頷き、親指を立てて、背中を押そうとしているようだ。


「私と一緒に行こう?」

「は、はい…」


 朝歌は志穏を連れて、あの親子の元に。


「龍雄さん、ウェディングケーキの絵を担当する志穏ちゃんです!」

「うおっ!挨拶しようと思っていたんだよ!よろしくな!」

「は、はい!こちらこそ!」


 志穏は物凄く緊張している様子だ。

 龍雄はどうでもいいのにな。なんて、ごめんよ。


「はじめまして」


 おっ!龍海君からか!有り難いな。


「は、は、はじめ、まして!」


 志穏の声は上ずる。大丈夫か?


「僕は真垣まがき龍海」

「私は、羽柴はしば志穏、です…」


 言葉尻がしぼむ。自信持て、大丈夫だから!


「へぇー。名前の漢字はどう書くの?」

「えと、その、こうです…」


 スマホで漢字を見せる。


「志に穏やか…良いね!」


 ボフンッ…なんて音が聞こえてきそうなくらいに、顔が真っ赤っかになる志穏。

 頭から湯気も出てきそうだ。


「お2人さん?」


 ニコニコと朝歌は声をかけた。

 何をするつもりだ?


「ぐうのお散歩がだから」

「えっ、朝歌さん、えっ、えっ?」


 おろおろし出す志穏。


「龍海君と志穏ちゃんで、!」


 なんという作戦だ。

 確かに散歩はまだだったから丁度良いが。


「えっ!?でも、満奈が!」

「私はここで待ってるから行ってらっしゃい!」

「えええ!?」


 今にも倒れそうな、よろめきをする志穏。

 それに対して。


「待ってるから、行って来な!」

「うん、そうするよ」


 ぐうはお散歩に行ける格好になっていた。


「はーい、リード♪よろしくね♪」

「分かりました!」

「あぅぅ…」


 志穏と龍海君はぐうのお散歩に行った。

 頑張れ、志穏。

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