相談事その9

 カランコロン…。


「いらっしゃいませ!」

「やあ、朝歌あさかさん!」

「あー!龍雄たつおさん!」


 来店したのは、まさかの龍雄。


「よっ!灯夜とうや!」

「どうした?」

「うちの店、臨時休業だから遊びに来た」

「なるほど」


 ゆっくりしてけ、と言って、カウンターに座った龍雄の所に、水を提供した。


「何にする?」

「アイスコーヒーで、シロップ3個良いか?」

「良いよ」


 コーヒーは好き、ブラックでは飲めない、シロップは多め、ミルクはいらない。

 ある意味、わがまま。

 なんてな。


「はい、アイスコーヒーとシロップ3個」

「サンキュー♪」


 シロップを開けて、1つずつコーヒーに入れて、ストローでかき混ぜた。

 一口飲んだ所で。


「その内、倅がくるから」

「息子さんか」

「イケメンだぞ~俺に似て」

「ふっ」

「鼻で笑うな!」


 まあ、しっかり眉毛に目鼻立ちはハッキリしていて整ってるからなぁ。

 龍雄の嫁さん、綺麗だし、イケメンかもな。


 カランコロン…。


「こんにちは!」

志穏しおんちゃん♪」


 久しぶりだな。


「お友達の満奈みつなちゃん♪」

「はじめまして!」

もり満奈です!」


 約束、ありがとう。


「灯夜さん、お久しぶりです」

「おう」


 夏休みが成長させたのか、少し顔つきが変わったな。

 子供っぽいんだけど、大人に近付いている感じ。


「何にする?」

「ミルクティーと…満奈は?」

「えとー…カプチーノで!」

「分かりました」


 作っている間に、2人用のテーブルに仲良く座って、談笑を始めた。

 10分後、少し時間をかけすぎたかな。


「朝歌」

「はいはーい!」

「お願いします」


 ミルクティーとカプチーノを朝歌に任せて、俺はまた作る。


「お前、忙しないな」

「そんなことないさ」


 龍雄の方が忙しいくせに。

 俺なんて、というか、俺の店はのびのびしているから、忙しさとは無縁だよ。

 さらに10分後。


「朝歌」

「はーい!」

「これ、志穏達に」

「了解♪」


 ちょっと背伸びをしたかもしれない。

 大丈夫だろうか。


「洒落たやつ作りやがって」

「お前の店に行って参考に」

「なるほどな!」


 龍雄はアイスコーヒーを飲みながら、志穏達の方を見守る。


「てか、志穏って、絵を描くのはあの子か?」

「そう。会ってないもんな」

「あとで挨拶しとかないとな!」

「はは、そうだな」


 なんて会話をしていると。


「「良いんですか?!」」


 目をキラキラさせて、彼女達はそれを見る。


「良いよ、どうぞ♪」

「「ありがとうございます!」」


 作ったのは、パフェだ。

 と言っても、ミニサイズ。

 通常サイズまたはデカイのは無理なので。

 出来る範囲がミニサイズなわけで。

 シェアを考えて、1つはチョコレートバナナパフェ、1つは苺パフェにした。

 様子を見ていると。


「シェアして食べよっか♪」

「そうだね♪」

「小さい器あるから、助かるね」

「だね」


 良かった、読み通り。


「灯夜君」

「ん?」

「あとで、私にもぉ…」

「分かった」

「やったぁ♪」


 好みを聞いて、作ってやるか。


 カランコロン…。


「いらっしゃいませ!」


 見知らぬ男子高校生が1人来た。

 彼を見て、龍雄の表情がみるみる明るくなり。


「遅いぞ!」


 声をかけた。てことは。


「遅くなってごめん、


 龍雄の息子さんだった。

 父親の隣に座るなり、俺のことを見てハッとし。


「父の友人の…?」

「あぁ、親友の昼仲ひるなかです」

「はじめまして、真垣まがき龍海たつみです」


 良い名前じゃん。


「灯夜、俺の倅、イケメンだろ?」

「確かにな、自慢してしまうの分かる」

「父さん、恥ずかしいから」

「良いじゃないか!」


 仲の良い親子だなぁ、なんて見ていると、遠くから視線を感じた。

 こっそりと、どこからだろうと、確めていると、志穏と目が合った。

 ん?もしかして?

 なんて、思っていても、知らんぷりすることにした。

 何かあれば話しかけるだろうし。

 大人は介入してはいけない。

 少し様子を見守ることにした。

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