相談事その8
残暑が長引いているからか、汗が出てしまい、タオルは手放せない。
「だいたい、良いですかね?」
「メモをとったし、大丈夫かと」
「何かあれば、聞いて下さい!」
「ありがとうございます」
今日は畑について、
奥深いものだと思いつつ、しっかりやらないとという痛感が心に響いた。
「戻りましょう。暑いですから」
「確かに、そうしますか!」
2人で店に戻ると、
「清水君、お野菜ありがとう!今回も凄いね!」
「はい、自慢の野菜なんで!」
また野菜を持ってきてくれたのだ。
今回はトマト、きゅうり、茄子がぎゅうぎゅうに入っていた。
「トマトなんか大きいし!きゅうりは太くて長め、茄子はブクッと!」
「これでも訳ありらしいですよ」
よく見ると、キズやらちょっとした小さな穴やら、歪な形があった。
「よく見ないと気付かないや!」
「確かにな」
俺と朝歌は、野菜を見ながら言った。
「清水さん、これ」
「あっ、お預かりします!ありがとうございます!」
野菜のお代をお支払いした。
安く買えるから、本当に助かる。
「来年に向けて準備進めて下さいね!」
「はい、頑張ります」
「んじゃ、また!」
「「ありがとうございました」」
爽やかな笑顔で、清水さんは店を後にした。
※
「自給自足の喫茶店、良いね♪」
「朝歌も畑の手伝いしてくれよ」
「やるよー!むしろ、率先してやりたいくらい!」
だと思ったよ。
「
「ん?」
朝歌は恥ずかしそうに頬を赤らめている。
「何だ?どうした?」
さらに赤くして、俯いてしまった。
顔を覗き込もうとすると。
「ダメダメ!」
俺に背を向けてしまった。
「言わないと、分かんないんだけど?」
それからは、朝歌から言うまで黙って待った。
待つこと10分。長いな。
「灯夜君…」
やっと俺の方を向いた朝歌。
まだ俯いている。
「ゆっくりで良いから、言ってみ?」
すると、朝歌は深呼吸をして、息を大きく吸ってから言った。
「家に帰ったらなんだけど…」
と区切って、俺の耳元に近付いて、小さな声で続きを言った。
聞き取り、理解した瞬間、心臓が早くなるのが分かった。
「分かった」
「言うことじゃないのは分かるんだけど、なんとなく…」
「う、うん…」
いくつになっても、緊張するもんだ。
俺と朝歌だけかな?
「よろしくお願いします」
「こちらこそ」
お互い、頭を下げた。
顔を上げると、目が合い、笑い合った。
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