休憩その2

「今日までご苦労様。これ、給料な」

「ありがとうございます!」


 お金が入った茶封筒を志穏しおんに渡す。

 夏休み期間限定のアルバイトは、今日で最終日を迎えた。

 少し多めに渡したいと思い、最終日は親御さんの許可を得て、午後7時まで働いてもらった。

 プチボーナスも含めての給料なので、大丈夫かと思う。


「志穏ちゃん、本当にありがとね!」

「こちらこそ、とても楽しかったです!」


 そう言ってもらえて嬉しいよ。


「冬休みも、また良いですか?」

「えっ!?良いの!?」

「はい!もちろんです!春はさすがにダメだったはず…」

「春は仕方がないとして、よし、冬休みお願いします!」


 朝歌あさかは両手を合わせて懇願すると「はい!喜んで!」と志穏は答えた。


「あっ!ケーキの件はボランティアで必ず!」


 それは、ダメだ。


「いんや、お小遣いやる」


 “お小遣い”なら引っ掛からんだろう。


「いいですよ!」


 慌てながら遠慮する志穏。


「ううん、気がすまん」

灯夜とうやさん…」

「俺のポケットマネーから必ずやる」

「よっ!太っ腹!」


 朝歌さん、全く…。


「茶化すな朝歌」

「えへへ♪」


 悪びれることなく、笑った顔で舌をペロッと出す朝歌。


「灯夜さん、朝歌さん、夏休み中はありがとうございました!2学期中は、友達連れてちょくちょく来ますね!」

「ありがとう♪」

「では失礼します!お疲れ様でした!」

「お疲れ様でした~♪」

「お疲れさん」


 志穏は帰って行った。

 静寂に包まれたのも束の間。


「はぁ…また2人だぁ…」


 朝歌はカウンター席に座って項垂れた。


「嫌か?」

「嫌じゃない。寂しいの」

「なるほどな」


 まあ、友達連れて来るって言っていたし、それで良いんじゃないのか?

 と思いつつ。


「ぐうちゃんも寂しいもんね?」

「くぅぅん…」


 ぐうも寂しいのかよ。


「朝歌もぐうも元気出せ」

「はーい」

「ふんっ」


 投げやりに返事をした朝歌と、鼻で答えた(?)ぐうだった。

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