相談事その6ー2
本人に言ってくれ、と思いつつ。
そんな感じで、午後8時。
バタッ!
ポポーッ!ポポーッ!ポポーッ!
パタン!
「時間だな」
「閉めますか」
今日も働いた。
「
「何?」
たまには良いよな。
「ここで、夕飯にしないか?」
「えっ?」
こっそりと、家からぐうの餌も持ってきているし。
「いつもなら、記念日限定なのに…どしたの?」
怪しんでいる。
やましくはないのに。
「まさか!うわっ…」
「それは違う!」
おっと、大きい声になってしまった。
「と、とにかく!ここで夕飯だ!」
そう言って俺は夕飯の支度を始めた。
「ふっ♪変なの」
朝歌は片付けを再開し、ドアの所に行き、OpenからClosedに看板を直した。
※
「どうぞ、ナポリタン」
「おぉ!」
パスタが余っていて、賞味期限も迫っていたから、これにした。
「食べよ食べよ!」
「うん」
カウンター席に並んで座って。
手を合わせて。
「「いただきます」」
ぐうはというと、俺らのご飯を待っていたのか、食べ始めると、ぐうもドッグフードを食べ始めた。
賢い犬だな、ぐうは。
気を遣っているなら、しないで良いのに。
「美味しいね!」
「美味いな」
互いに目を合わせて感想を伝え合う。
「タバスコ、間違って多めにかけてしまって失敗しちゃう時ってあるじゃん?」
「俺はないけど」
「そこは“そうだね”とか言ってよ!」
「悪い悪い」
同意した方が良いのか。
分からん。
「でも、
「てことは、さっき、失敗したと?」
「灯夜君特製のナポリタンは、タバスコを多くかけても失敗しませーん!」
くるくるとフォークにパスタを巻いて、口に運び、美味しそうに食べる朝歌。
俺もくるくるフォークを動かして、パスタを巻いて食べる。
少し酸味が強かったかな?
次はトマトを調節しよう。
「「ごちそうさまでした」」
少しゆっくりして。
「コンソメスープも野菜に染みてて美味しかった♪」
「ありがとうございます」
ぐうも食べ終えたようだ。
「片付けて帰ろっか♪」
「だな」
食器をシンクに運び、朝歌が洗って、それを俺は拭いて、食器棚にしまう。
食器を洗う妻を横目で見ると、大人になったなと思った。
初めて出会ったのは、妻はまだ大学生。
20歳だったんだから、そこから比べたら、ですよね。
俺はあの時は30歳かぁ…おっさんになったな。
こんなおっさんと、結婚してくれて。
その前に付き合ってくれて。
いやいや、もっと前。
出会ってくれて、好きになってくれて。
ありがとう、朝歌。
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