相談事その4ー2
「友達とじゃあねって言って教室を出たんです」
「うんうん」
「そしたら、そ、そし…たら…」
「はい、ティッシュ!」
「好きな人が…女の子と一緒にいて…」
悪夢を見てしまったのか。
「彼が私に気付いて…」
『あっ!
『
『志穏のおかげで、彼女出来てさ』
『てことは、今まで話していた友達の恋の相談って…夏馬君だったんだ』
『恥ずかしくて言い出せなくてごめん』
『ううん、大丈夫大丈夫!』
『先輩、はじめまして、1年の
『はじめまして、羽柴です』
『じゃっまたな!たくさん相談に乗ってくれてありがとう!』
『ど、どういたしまして!』
「…ショックが大きくて、傘も忘れて…急いで内履きを下駄箱に突っ込んで、ローファーを履いて走って学校を後にして…」
「ここまで来たわけだ」
「はい…」
失恋はツラいな…。
気持ちを伝えられず強制的にフラれるなんて。
耐えられないよな。
「友達の話ってワード、だいたい本人説なのに、何で気付かなかったのか…」
あー、友達の話は、だいたい本人説…確かにな。
力なくシュンとする羽柴さん。
それに
「強制的にフラれたけど、まず、気持ちは伝えたら?」
「えっ?」
キョトンとする羽柴さん。
「言わなきゃ、ずっと、もやもや~ってなるよ?」
時間が解決するけれど、しばらくはもやもやするのを考えると、耐えられないかもしれないよな。
「その彼、悪い人じゃなければ、伝えて損はないと思う!」
ニッと笑った朝歌。
その顔を見て、羽柴さんは、何か決意したようだ。
「分かりました…伝えます!」
「おー、良いよー!」
高2の恋の結末は、気持ちを伝えることから始まるようだ。
※
カランコロン…。
「こんにちは!」
「志穏ちゃーん!」
1週間後のことだった。
「朝歌さん、
これは、もしや、かもしれない。
「あっ、ぐうちゃんも」
「クゥン?」
首を傾げるぐう。
言葉、分かるのか?いや、たまたまか。
「伝えました!すっきりしました!」
満面の笑顔で羽柴さんは言った。
「それは良かったね!」
朝歌は興奮している。
「伝えた後、ギクシャクするかと思いきや、逆によく話すようになって…笑っちゃいます」
相手の男子、もしかしたら申し訳ない気持ちなのかも。
いきなり距離を取ると怖いって思ったのかもだし。
「本当にお2人には感謝です!ありがとうございました!」
「いえいえ♪」
解決して良かった良かった。
「あの、1つ良いですか?」
「何かな?」
すると、羽柴さんは深呼吸をしてからこう言った。
「うちの学校、申請して許可されれば、休み期間中のアルバイトが出来るんですが」
そこで区切って、続けた。
「もし許可されたら、ここでバイトさせて下さい!」
深々と頭を下げた羽柴さん。
「灯夜君、私は良いと思うんだけど?」
俺に委ねる感じかい。
重要なことはいつも俺が決めてるからなぁ。
「接客、お願いしようかな」
「てことは…」
「よろしく。でも、暗くなる前には帰すから、勉強は疎かにすんなよ」
「はい!ありがとうございます!」
喫茶店を開いて、初の学生のアルバイトを期間限定で雇うこととなった。
まっ、ぐうの散歩も任せても良いのかもしれない。
「よろしくね、志穏ちゃん♪」
「よろしくお願いします!」
「わん!」
賑やかになりそうだ。
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