相談事その4
「土砂降りだね…」
窓の外を見る
今年の梅雨の中では1番の雨量だ。
お客様も全く来ない。
「今日は早く閉めるか?」
「それが良いね」
1時間早めて閉店しよう。
そんなことを考えながら、お客様を待ってみた。
※
「よし、終わろう」
「そうしよっか」
午後7時になっても、誰も来なかった。
隠れ家的な場所な為、来ない時は来ないのだ。
「わん!わん!」
突然ぐうが吠えた。
「どうしたの?ぐうちゃん」
「わん!」
すると、カランコロン…と、音が聞こえた。
出入口を見ると、ずぶ濡れの人が立っていた。
「「えっ」」
驚いて硬直した後。
「大丈夫!?
「おう!」
慌てて朝歌はその人に駆け寄った。
タオルを見付けて、それを朝歌に渡す。
「何で濡れてるの?」
顔は見えないが、制服を着ていて、スクールバッグを持っている、となると高校生くらいだろうか。
「うぅっ…」
えっ?泣いてる?
「うわぁーん!」
「「!?」」
さらに、俺と朝歌は慌てる。
「と、とりあえず、座って?ね?ね?」
カウンター席に座らせた。
※
「ありがとうございます…ぐすん…」
「落ち着いて良かったよぉ」
泣き止んで、今はホットミルクを飲んであったまっていた。
「高校生?」
「はい」
「お名前は?」
「
スカート=女子ではない時代。
だが、この子は女の子のようだ。
声は高くて、可愛らしいから。
おっさんが、こんなことを言うとアウトだよな、ごめんなさい。
「どうして、傘も差さずに濡れちゃったの?」
「折り畳みはバッグにあります…でも…」
「?」
羽柴さんは俯き。
「ぅっ…うぅっ…」
また泣いた。
朝歌は背中を優しく擦りながら「大丈夫大丈夫」と声をかけた。
3分くらい経過し、落ち着いたのか、羽柴さんは顔を上げた。
「見てしまったんです…」
「何を?」
「実は…」
ゆっくりと語り出した。
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