相談事その3
梅雨の時期になり、じめじめしてる今日この頃。
常連客にすっかり愛されるようになった、看板犬のぐう。
今日もケージの中で、すやすや。
よく寝て、食べて、よく寝てる。
散歩は意外と好き。
でも、歩く距離は短い。
木々を抜けた所で、ぐったりするから、結局抱っことなる。
大きくなったら抱っこはキツくなるだろう。
対策を考えないとな。
「さっ!開店の時間だよ!」
「はいはい」
「グゥー…」
バタッ!
ポポーッ!ポポーッ!ポポーッ!
パタン!
午後3時、喫茶 はと、開店です。
※
午後8時。
ぽつりぽつりと、お客様が帰っていく中。
カランコロン…。
「いらっしゃいませ!」
スーツを着た男性、サラリーマンだろうか。
傘を傘立てに入れて入店。
2人用のテーブル席に近づき、窓側の椅子に座る。
「すみません、コーヒーを1つお願いします」
「かしこまりました」
様子を見ると、どこか疲れているようだ。
仕事がキツいのだろうか、何なのか。
「お待たせしました、コーヒーです」
「ありがとうございます」
「おかしい、大丈夫かな?」
「大丈夫には見えないな?」
小声で会話する俺と朝歌。
仕事をしながら、さらに様子を見ていると、男性はスマホの画面を見てため息を吐いた。
肩を落として、ガッカリしている。
朝歌はウズウズしていた。
俺に視線で『声をかけたい!』と訴える。
それに対して俺は首を横に振った。
すると、朝歌はむすっとした顔に。
相手から話さなきゃならんだろう。
ずかずか聞いてはいけない。
ぐうはと言うと、静かに寛いでいる。
珍しい、起きてる。
夜更かしするなよ。
「すみません…」
「はいはーい!」
待ってました、と言わんばかりに朝歌は身を乗り出すように、男性に近付いた。
「ここって、愚痴とか相談とか、話し相手になってくれるって聞いてきて…」
「はい、大正解、その通りです!」
目が輝いている。朝歌、本業は喫茶店な?
「じゃあ、聞いてもらっても良いですか?」
「もちろんです!ねっ、
「おっ、おぅ」
俺に振るな。
さて、どんな話が待っているのやら。
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