第21話
まさか、こんな事になるとは思ってもいませんでした……。
――――――
「ヤバ――イ‼︎圭ちゃんとマサが揃った――‼︎」
ヤバイヤバイヤバイヤバイ‼︎‼︎‼︎
バスから川村圭介様の相方でサークルのボーカル浅水雅弘こと、マサが降りて来た――――‼︎‼︎‼︎
魔術師は陰気な雰囲気をした人が多いのに、キラキラ輝いてる!
漆黒のローブで身体を覆い隠しているが、長身でスラリと長い手足に程よい筋肉の付いたパーフェクトボディは隠し切れていない!
軽くウェーブかかった少し長めのブラウンゴールドの髪の毛が、日に焼けた褐色の肌と濃い茶色の瞳を引き立たせている!
絶世期のホストなマサじゃないかーい‼︎
なんですか‼︎私を殺す気ですか‼︎
この世界に来てから5年半。念写が出来る様になってから沢山のポスターや写真を作ったわ!アクスタも作って旅にも一緒に行ったけれど、やっぱり彼等に会いたい気持ちは無くならない!逆に増すばかりよ!
トーマス様が居るだけで幸せだけれど、やっぱり2人に会いたい。2人に会いたくて暴走寸前だった……
そんな私の前に……マサと圭ちゃんが揃った――‼︎‼︎
「総長様。彼等を王城へ、連れて行けばよろしいのでしょうか?」
ウギャ――‼︎‼︎声までマサやないか――い‼︎‼︎
って!何をやってるのよ私は!しっかりしなさい!
取り乱してなんかしないで、ちゃんとやる事をやるのよ!
「マサ……、いえ、魔術師様、貴方様のお名前を教えて頂けませんか?」
「私の名前ですか?」
「はい!貴方様のお名前を、この下僕にお教え下さい!」
「私は、魔術国家第1魔術師団の団長を務めます、ハミルトン・D・グリーンベルと申します。姫はコーデルハイム卿のご息女のマナミ・コーデルハイム嬢ですね?お会いできて光栄です」
右手を胸に当てて、私に礼をしてくれる姿がカッコいい!見た目はチャライのに紳士的な所も、マサと同じじゃないか!
「ハミルトン…様。初めてお会いして失礼だと思いますが……、お願いが、あります……」
「私にお願いですか?」
「はい!ハミルトン様にしか出来ない事です!」
「姫のお願いとは、どんな事でしょう?」
「トーマス様を、後ろから抱きしめて‼︎」
「えっと……、コーデルハイム卿を……」
「後ろから抱きしめて‼︎」
「マナミ……。今、ハミルトンに私を抱きしめろと聞こえたのだが……」
「はい!トーマス様!ハミルトン様にバックハグをお願いしました!」
「お姫様。これで良いのかな?」
そう言いながら戸惑うトーマス様の肩に両腕をスルッと伸ばし優しく抱き寄せながら、そっとトーマス様の頬に唇を触れさせる姿は正しくサークルのサードシングルのジャケ写そのままやんけ‼︎‼︎
「はあ、はあ、ヤバい……。はあ、はあ……、幸せ過ぎて息が、出来ない……」
ああ、このイチャコラ姿を見れたなら、私に悔いはないわ!2人が尊過ぎて窒息死しても本望よ!
「お姫様のお願いを叶えてあげたから、次は俺のお願いを叶えて欲しいな」
あ――!一人称が私から俺に変わって、悪巧みをしている悪代官な顔に――‼︎あ――‼︎そんな顔もカッコいい‼︎
「この下僕めに何なりとお申し付け下さい!お金ですか?永遠の若さですか?それとも国が欲しいですが?お2人の願いなら、なんでも叶えて差し上げましょう!」
「本当に?なんでも?」
「はい!トーマス様の忠実なる下僕の名にかけて、なんでと叶えて差し上げましょう!」
「ま、マナミ……。君は私の娘であって、下僕ではないのだ……」
―ドーーーーン‼︎‼︎―
少し困り顔の素敵なトーマス様が話してるのに、ドーン!っと大きな音と共に王城から天に向かって白銀に輝く光の大きな柱が伸びていった。
トーマス様がまだ話していると言うのに!誰だ邪魔したのは!許すまじ!
この時、怒りに燃えていた私は気付いていなかったのだ……。アリシアがある計略をめぐらせている事に……。
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