第14話

男爵令嬢が、いや、あの女がわたくしに前に現れました。隣に立っている長身で体格の良い聖国騎士の制服を着た若い男に指示を出すと、その騎士は右手を大きく振りかぶりわたくしの左頬を殴ったのです。しかも、拳で……。

いくらあの女に誑かされたとはいえ、弱き者を守り、誠実であり、神を敬愛し、常に紳士的であれを重んじる聖国騎士が女性を殴るなどありえないのです。


殴られて気絶したわたくしをあの女は聖国へと拉致しました。


気がつくと、見覚えのある部屋でした。部屋を見渡すと聖ルミナス学院の生徒会室だと気付きました。両足と両腕を後ろで鎖で縛られて床に転がされているわたくしの前に、両足両手を縛られて泣いているセシルとアリスの姿がありました。声をかけたくても魔法で封じられているのか、声がでないのです。

すると、学院の制服を着た男が3人が入ってくると、わたくし達の口に白く輝く小さな飴を無理矢理に押し込まれました。飴は直ぐに溶けて熱い塊が喉奥に入り込むと、体内で暴れているかのように身体が熱くなると同時に、自分自身の意思で身体が動かせなくなりました。

そして、着ていたドレスをナイフでズタズタに切り裂かれ、殴られ蹴られ暴行され何度も犯されたのです。


男達が満足するとわたくしとセシルとアリスは、ボロボロに破れて汚れている囚人が着るようなワンピースを着せられ、学院のパーティーホールに連れて行かれました。その間も操り人形の様に勝手に身体が動いてしまい、男の腕に抱きつきながら歩いているのでした。

 

1度目で卒業パーティーをしたホールに着くと、ダンスパーティーが行われていていました。そこには、聖国の貴族が集まっており、国王が座る玉座に殿下が座っていました。玉座の左側の肘置きに座り、殿下に絡み付くように肩に両腕を回して抱きついている男爵令嬢が、涙を流しながらわたくし達を見ていました。


身体を操られているせいで、言いたくないのにあの女を罵る言葉が、わたくしの意思とは関係なく出てきました。

そして、聖女を虐げアーノルド殿下を暗殺しようとした罪で、断罪したのです。

しかも、わたくし達を悪き魔女とし、1週間後に火炙りの刑に処すると宣告たのです。

王城の地下牢に入れられ、朝から晩まで1週間ずっとあの3人に犯され弄ばれたいく間に、わたくし達の身体を操っているのは、わたくしを犯すこの銀髪の男だと分かりましたが、身体も動かせず言葉も発せれないわたくしは何も出来ずに、火炙りにされ死にました。


そして、また、洗礼式で記憶を思い出し、半狂乱になったわたくしは、神殿を守る聖騎士の剣を奪い自分の首元を切り裂くと、噴水の様に赤い血が吹き出して「これで、死ねる……」そう思い瞳を閉じると、王城の客室のベッドの上でした。4回目は誰にも気付かれずに死のうと、魔獣が住む森に行き食べられたのですが、また、王城のベッドの上でした。3回目も4回目も死ねずに最後は2回目と同じく冤罪で裁かれ、犯され火炙りの刑で死んだのです。


5回目の洗礼式の時にはわたくしの心は疲弊してしまい、「もう、いや……、助けて……」と、呟きながら聖泉に倒れそうになった時に、バリーン!っと、ガラスの割れる大きな音がすると、天井のステンドグラスが割れて、色鮮やかなガラスと共にケサランパサランの様なふわふわな真っ白な毛球が、空から舞い降りて来ました。


その綺麗な光景に目を奪われていると、真っ白な毛玉はわたくしの目の前に来ると、小さくてまるで雪の様に白いふわふわな子猫に姿を変えたのです!


『うわー!凄い綺麗な女の子だ!』


「あら、貴方も綺麗な猫ちゃんよ」


わー!!と、喜んだ声を上げながらわたくしの顔に飛び込んで頭にギュッと抱き付いてきました!

あの時のお腹のもふもふさは忘れませんわ!


『俺の声聞こえるってことは、君が僕の相棒だね!』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る