第11話

わたくしは浮気しないでとは言いましたが、女の子と遊んでなど、一度も言ったことはありませんわ!」


アリシアから放たれた言葉に何を言われたのか理解出来ないような困惑しているようにも見えるが、目の焦点が合っていなく何処か様子がおかしくも見えるアーノルドを、国王は護衛騎士達に連れ出す様に命じた。

アーノルドと初めて会った私ですら何かおかしいと思う程だ。しかし、神殿の連中はそれどころじゃなかった。

大神官や神官達は桃色の光を持つアリシアと神使であるミケラを神殿から帰したくない感じだったが、国王が便宜を図ってくれて魔術国家にあるコーデルハイム公爵家へと向かった。


列車に揺られること6時間、やっと目的地の駅に到着したが新幹線の乗り心地に慣れていた私の骨盤は、見事に粉砕したかの如く悲鳴をあげている。距離的には新幹線だったら3時間もあれば着くし、山道や岩道が多いのにちゃんと整備されてない。それに、私達の乗っている一般客車のシートは薄いクッションが貼られただけの直角のシートなのだ!


なのにアリシアとミリア様は何ともない表情で座っている!何故なら、魔法で身体とシートの間に水のクッションを作っていたのだ!悔しくて私も作ろうとしたが、アムラさんにチート能力を授かった私でも、知らない魔法を直ぐに使えるはずがなかった。揺れとお尻の痛みで集中出来なくて水のクッションは消えてしまうし、魔力の扱い方を知らないから魔力消費が激しくて、余計に疲れてしまう。それなのに薄情なミケラは「これも修行」って、言って手伝ってくれない!そして私の骨盤は粉砕したのだ。

いくら多重属性でHP、MPをカンストしていても、いきなり上級魔法使いになれるはずはなかった。はあ、40歳過ぎて勉強だなんて嫌だな。


魔術国家の首都パルニアには魔術師達を束ねる魔術師団長達と元老院達が集まる議会議事堂のニルバレ塔。新しい魔道具を開発する研究棟と、魔術や剣の訓練をする訓練棟がある魔塔のガルニア塔。魔術国家のトップである魔術師団総長、副総長に団長や閣僚か住む官邸のルニアム塔の3つの塔が中心部にある。(塔の名前は初代の塔主の名前らしい)敵の侵入や攻撃からの防御の為に3つの塔は結界魔術を施された広大な水堀で囲まれている。

 

その塔の正門から塔の名前が付いた大通りが伸びていて、

飲食店、雑貨屋、ブティック、本屋、銀行などが連なる商業区画。病院、薬屋、役所、学校、図書館、公園、などの税金で運営している施設が連なる公共区画。そして、公爵邸のある居住区画は通りに奥には平民が暮らすアパートや孤児院があり、一般の魔術師の寮と公共区画の学校の学生の寮がある。塔に近づくにつれてアパートも立派になっていき、立派な屋敷が建ち並んでいた。塔に近い区域には貴族達の公邸があり、塔の目の前である1番の立地に建っている、昔見た鹿鳴館の様な二階建ての青い屋根の白い館が、これから私が住むコーデルハイム公爵邸だ。

 

アリシアに公爵邸の中を案内されたが、覚えられない程に部屋が多くてビックリだ!そして、私の部屋と案内された豪華な家具に彩られただだっ広い部屋だった。

 

「……アリシア。私、もっと狭い部屋がいい」


「駄目ですわ!お姉様はコーデルハイム家の長女ですのよ!もっと広くても良いくらいです!」


「え……。普通に嫌なんだけれと……」


「いいえ、お姉様はこれから、色々なお茶会や舞踏会に行かなくてはなりませんの。なので……」


アリシアにが手をパンパンと2度叩くと、扉からメイド達がドレスを持って雪崩れ込んできた!


「お前達!お姉様に似合うドレスを選ぶわよ!」


「「「「かしこまりました!お嬢様!」」」」


「いやーーーー!!!!助けて!ミケラー!!」


私はアリシアとメイド達の着せ替え人形にされて全く気付いていなかった。

ミケラが窓の外を睨んでいる事に。


――――――

「ははは!やっぱりミケラ様には気付かれたか」


『なあ、本当に彼女なのか?』


「ああ、間違いないよ。彼女が僕の伴侶だよ!」

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