第6話
あら?ここは何処かしら?夢の中かしら?
絹糸のような光り輝く銀色の髪にクリクリの大きなアメジストの瞳をキョロキョロを動かしながら、真っ白な肌のお人形のような少女が花畑の真ん中に、ちょこんと座っていた。
メイドの淹れてくれたミルクティーを飲みながら、ソファに座って明日の洗礼式の事を考えてたのよね?
そう、明日は10歳で行う洗礼式なのです。その準備で一週間前から忙しいかったのです。
ですが、ここ何故?
黄色に水色、ピンク色に白い色の小さい可愛らしいお花さん達が風に揺られ踊っているみたいで綺麗です。
そうだわ!花冠を作りましょう!いつも上手に出来ないけど夢ならばきっと素晴らしい花冠が出来るはずだわ!
そう、出来るはずだった…、こんなぐしゃぐしゃな花冠なんて…。
「ふぉっふぉっ、可愛いお姫様、老いぼれのワシが作った花冠を貰ってはくれないかな?」
上から声が聞こえて顔を上げると、肩までの軽くウェーブが掛かったサラサラでキラキラの白髪に濃い紫色の瞳の目を細めて笑っている五十代半ばにみえるナイスミドルが、花冠を両手で持ち
なんて素敵な殿方なのでしょう!
けれどなんだか懐かしい雰囲気で会った事がある様な…。
「おじ様だあれ?
ナイスミドルは私の前に膝を突きどうぞと、花冠を頭に乗せて可愛いお姫様じゃと褒めてくれて嬉しいですわ。
「初めましてかな、アリシア嬢」
「おじ様は、
思わずキョトンとした淑女らしからぬ顔をしてしまいましたわ!
お妃教育で散々淑女とはと叩き込まれたはずなのに!
「ほほほ、そんな恐がるな、ワシはこの世界の神アムラじゃよ」
何?
「ふぉっふぉっ!宗教ではないから安心おし、お茶とデザートをあげるから、ミケラやー!準備をしとくれなー」
ミケラと呼ばれて白い狐さんが、八角形の骨組には薄いピンク色と淡い水色の糸を使ったレースがピーンと貼り付けているフードカバーの頭上の持ち手わー咥えて、くるんと飛び跳ねて一瞬で隠し芸大会で優勝出来る腕前を披露しました。凄いです!
二組のティーセットとティーポット、三段のデザートスタンドに可愛い形をしたミニケーキが沢山並んでいます。とっても美味しそうですわ。
「おい、狐!こんな可愛い天使いるんだから、もっと優雅にしなさいよ!」
「ええ〜!僕はおもてなししただけだよ〜」
狐さんと黒髪のお姉様が揉めてますが、私をナイスミドルのおじ様が紳士的にエスコートをしてくれて、椅子に座らせてくれました。
向かいの席におじ様が座ると、狐さんがベルガモットの香りがするからアールグレイを入れてくれます。
「ここはアリシア嬢の夢の中だよ、ここにいる真奈美がこれからアリシア嬢の姉になるのだよ」
お姉様の膝の上に白狐さんがぴょんっと乗って、なぜか羨ましいと思ってしまいますわ!
「こんにちわ、アリシア。アラフォーなのに10歳のアリシアの姉になるなんて、変な話だけどね、お話聞いてくれるかな?」
「はい、お姉様。
「まあ!なんて良い子なの!!」
お姉様が
「ねえ、アリシア。本当に私が貴方のお姉さんになってもいいかしら?」
「本当…、お姉様…?」
「そうだよ〜!真奈美をね〜、この先の未来で召喚される聖女のサポーターとしてね〜、アリシアのお姉ちゃんとして〜、コーデルハイムの長女として転移させるんだ〜!」
「聖女?サポーター?」
「そだよ〜!でね〜、実はアリシアは聖力が強いから〜、転移した真奈美の違和感に気付くだろうから〜、はなから味方にしとけば良いんじゃないかってね〜!」
「おい!狐!可愛い天使になんて事を言うの!アリシアごめんね?」
「いいえ、
「アリシアったら、神様と
真奈美さんが思いっきり抱きしめて苦しいですわ!けれど、暖かく良い匂いがして心地良いですわ。
「悪役令嬢って素敵な響きですわ!
「任せて!私がアリシアを最強の悪役令嬢にしてあげる!」
「違うでしょ〜!真奈美は聖女のサポーターでしょ〜!」
「ええ〜!悪役令嬢のサポーターの方が楽しそう!」
「
「アリシアまでやめてよ〜!真奈美は僕と一緒に〜!聖女のサポーターなの〜!」
「私はアリシアをサポートしながら、小料理屋やりたい!」
「
お花畑でお姉様とケーキを食べながら話していたのに、見慣れた白い天井が目に入り
身体を起こして周りを見渡してもお姉様の姿がなく、悲しい気持ちになりました。
(あれは、夢だったのね…)
メイドのジェーンが起こしに来たので、寝巻きからドレス着替えながら夢の中でのお姉様とのお話を思い出して、抱きしめて頭を撫でてくれた暖かく優しい匂いのお姉様が夢だったのねと、気持ちが切なくなりますわ。
(夢でもいいから、もう一度お姉様にお会いしたいわ)と、思いながら朝食を食べに食堂に入ると、テーブルにお父様とお母様が座っていました。
「アリシアったらお寝坊さんね!早く隣に座って」
お母様の向かいに夢の中よりも幼くない会いたかったお姉様が座っていますわ!
お姉様の元に駆け寄り抱きつくと、暖かくて優しい匂いが
「お姉様!もう会えないのかと…、うわ〜ん!」
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