読みやすく癖のない文体で、ぐいぐい引き込まれていきます。
多少硬質な文体がお好きな方にはたまらないでしょう。

物語に登場するキャラたちは、どれも愛すべき存在で、各人が強い意志のもとで動いています。際立って誰が主人公という感じでもなく、どのキャラにも焦点が当てられているところもまた本作の魅力でしょう。

プロローグとエピローグ含めて全27話で完結、一気に読んでしまえるのも良いですね。いったん完結ですが、主要キャラの物語はこれからが本番、作者様によると「長い旅路の序章なので今後も続いていく予定」とのこと。

続編に期待したいところです。その前に是非とも本作の一読をお薦めします。

まず、冒頭の六年前のお話に出てくる人物、事項をしっかり覚えておくことをおすすめします。本作のメインはこのエピソードの謎を解いていくことになっており、少しずつ謎が繋がっていく様子が見事です(その都度最初のエピソードに戻って吟味するのも楽しいです)。

メインの謎解き以外にも、この世界の興味深い設定を味わってください。聖女と魔女が共存する世界、聖女の見た目についての偏見(これを利用したコメディもあります)、そして、聖女でも魔女でもない謎の存在……続編がありそうな予感がします。