第22話 《聖リエック女学院》のボス(3)

「では、いくぞ! 我が【厨二病】の神髄を見せてやろう!!

 ----【厨二病】の最強スキル、"異次元ノ煌メキ"!!」


 紅葉がキラッと、瞳を輝かせると共に、彼女の横から助っ人が現れたのである。



「まぁ、行くって☆ 【魔法少女】な、三言の力を今すぐ見せるよね♪」

「……うっ、うん♪ 私も、頑張っちゃいますよ☆」


 現れた助っ人は、魔法少女の姿をした、三言と花子の2人であった。



 魔法少女の姿をした2人は、それぞれの職業ジョブをモチーフにしたであろう杖を持っていた。

 三言が持つのはマイクを付けた星の杖、そして花子が持つのは矢じりを付けた月の杖。

 それぞれの杖を持った魔法少女の2人は、魔法の力で飛ぶと河童メカに魔法をぶっ放して攻撃していた。


「すっ、すごっ!? えっ、わた、わたし?!」


 あわわっ、と、戸惑う花子。

 まぁ、いきなり自分の姿そっくりなのが現れ、しかもフリフリな魔法少女姿でともなると、戸惑うのは無理もない話である。


「----あれ、どう言う訳?」


 そしてそれ以上に困惑して、紅葉に詰め寄る三言。

 ----マぁ、フリフリドレス姿の自分が、「ミラクル☆マジカル、ポエム♡シャワー!!」みたいなことを言いながら、魔法をぶっ放す姿なんて、見たくなかったよな。


「これこそ、我が【厨二病】の必殺スキル、"異次元ノ煌メキ"なるぞ! 端的に言えば、相手と同じ職業ジョブの味方を産み落とすスキルである!」



 ===== ===== =====

 【異次元ノ煌メキ】 【厨二病】専用スキル

 世界に干渉する【厨二病】のみが会得できる専用スキル。別世界の、あり得たかもしれない職業ジョブの仲間をこの世に現界させる

 対象を1つ選択し、その対象の職業ジョブと同じ職業ジョブのパーティーメンバーを生み出す。有効時間は666秒

 ===== ===== =====



「今、我は敵たる《魔法少女》河童メカ----【魔法少女】の職業ジョブとなった2人をこの世にしばしの間、現世に呼び出したのである! 残念ながら、【魔法少女】は女性専用の職業ジョブな故、ブレイドは無理であったが!」

「あんたの、あのバグ効果付きの龍の進化系って感じ? で、その発動条件かなにかが、そのライナーたっぷりの目で見るって?」


 紅葉は黙っていたが、恐らくはそうなのだろう。

 そうでなかったのなら、なんでこんなパーティーメンバーを一気に増やす、戦術の幅を大きく広げる事となるこのスキルを黙っているはずがない。


「でも、これで止めになるんじゃないか?」

「----いや、そんな簡単な話ではないみたいよ」


 と、三言は上空で戦う戦いを指差す。

 河童メカがエフェクトたっぷりの魔法をぶっ放し、魔法少女姿の三言と魔法少女姿の花子もまたエフェクト満載の魔法で相殺していた。

 互いに派手な魔法の応酬で、勝負はつかないのだが、この状況はまずい。


 なにせ、【厨二病】の蒼穹ヶ原紅葉が生み出した、魔法少女姿の2人は時間制限があるのだから。

 お互いにノーダメージで相殺し続けている状況は、長期的に見るとまずいだろう。


「なにか打開策を……うんっ?」

「な、なんなん?」


 オレはふと、三日月三言の姿が目に入って来る。

 三日月三言と言うか、耳に付けてるヘッドホンに視線が入って来る。


「(ヘッドホン……そう言えば、三言だけでなく、河童メカの頭にも付けていたな)」


 【吟遊詩人】の三言は自作ポエムをヘッドホンから流して、自分の身体能力強化に使っている。

 じゃあ、あの河童メカは、なんでヘッドホンを付けているんだろう?


「(そう言えばさっき見た河童メカの説明……)」



 ===== ===== =====

 【《魔法少女》河童メカ with 高宮渚】 レベル;? 《聖リエック女学院》維持担当ボス魔物

 女の子は今を時めく魔法少女となれる世界を閉じ込めた【世界球体=魔法少女世界=】の力を取り込んだ、ダブルエム作成の機械型魔物。倒すと、マナ系統職業の1つ、【魔法少女】を使用することが出来るようになり、《聖リエック女学院》のダンジョン化が解除される

 心のときめき、力に換えよ♪ 愛の心を魔力に換えて、大きな力で敵をずきゅんっ♡ 愛する力が消えない限り、魔法は不滅、パワー全開☆

 ===== ===== =====



「もしかして----」


 オレは1つだけ、あのヘッドホンを付けている理由が思い当たった。

 そして、それを打開する方法も。


 ----だから。


「三言!!」


 ガシッと、オレは三言の手を掴む。


「~~~?! いっ、いきなり、なに?!」


 この勝負に勝つ方法は、これしかないっ!!



「三言! 歌ってくれっ、あの河童メカを褒めたたえる歌を!」

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