第21話 《聖リエック女学院》のボス(2)

『ピピッ……作戦、開始』


 河童メカの真っ赤な瞳が光り輝くと共に、かの河童メカの頭にヘッドホンを被っていた。

 ふわーっ、とフリフリドレスを着た河童メカは、床を蹴って、飛び上がる・・・・・

 

『スター☆ドロップシューター!!』


 河童メカは魔法の杖のようなものを取り出すと、派手な効果エフェクト付きで星々が放たれる。

 放たれた星々が落ちて来て、オレ達は屋上を逃げ惑う。


 星々は落ちて来て、屋上にぶつかると共に爆発が響く。



「----それっ!」


 爆破を避けつつ、遠距離が得意な【弓使い】の花子が弓矢で河童メカを狙撃する。

 弓矢で狙撃するが、宙を舞う河童メカは軽く上に上がる程度で簡単に弓矢を避けていた。


『ドロップ☆シュガーハート!!』


 河童メカが次に放って来たのは、キャンディー型の波動攻撃。

 波動攻撃は先程と同じように降り注いできて、オレは騎士型ボス魔物の盾で、防ぐ。


「なら、これで----!!」


 三言が懐からスマホを取り出してささっと操作すると、そのまま花子から弓矢を奪い取っていた。

 そして、三言が弓矢を放つと共に、河童メカは再び飛び上がるが、弓矢は突如方向を変えて河童メカの目に突き刺さっていた。


『異常?! 異常発生!!』

「どうですかね、これは。うちの黒歴史ソングの1つ、【相手の瞳に狙い撃ち】の歌、つって。

 まぁ、相手の目にぶち当てるヤツ、的な」


 ----しかし、まずいですね。


 三言の言葉に、オレもまた同意していた。

 今、三言は弓矢を見事に相手の瞳にぶち当てたが、あまり有効打になっていない。


 生き物の弱点として柔らかく、それでいて相手を認識する大事な要素たる瞳は、ほとんどの生物にとって弱点である。

 しかしながら相手は機械、瞳の部分だって普通に硬いに決まっている。


 なにより、相手は宙を飛んでこちらが攻撃を届かない位置に陣取ることが出来る。

 そんな相手に唯一効く、騙し討ちみたいな形での弓矢攻撃。

 もう二度と、この攻撃を喰らわないように、相手は警戒して来るだろう。


「刀祢君、遠距離攻撃が出来そうなボス魔物の着ぐるみって、あります?」

「空を飛ぶ系なら、この間倒した【フレイミングバード】とかだろうな。まぁ、炎を纏って相手に突進する攻撃が、どこまで効くか……」


 あのように天を自由に移動して攻撃する相手は、オレの、オレ達パーティーにとって天敵と言っても良い。


 なにせ、【弓使い】以外に、オレ達に有効な遠距離攻撃手段という物がないからである。

 一応は、【着ぐるみ】という倒したボス魔物の力を自分の武器として使うことが出来るオレの力も合わせれば、それなりのところはいけるかもしれない。

 だが、あくまでもそれなりのところ、なのである。


 オレ達パーティーには、圧倒的に、遠くの場所から遠距離攻撃してくる相手と相性が悪い。


「(ていうか、そもそも機械とは言え河童なんだから、空なんか飛ぶなよ。いや、水の中に入れられても一緒か)」


 どうした物かと悩んでいると、ゴクリと、蒼穹ヶ原紅葉が大きく喉を鳴らしていた。



「みっ、ミキョト!!」

「えっ、なにそのすっとぼけた名前。もしかしてうちの事、呼んでんの?」


 うんうんっ、と首が取れそうなくらいにまで縦にヘッドシェイクをする紅葉。


「なに、今けっこう大変な状況なんだけど。込み入った話なら、後にしてくんない?」

「わっ、我にも今が重要地点ターニングポイントにして戦争地域ヴァルハラである事は百も承知! しかしながら、我に一つ策がある! その承認に貴様の、ディーバ・ミコトの承認が必須なのだっ!!」


 くわっ、と、目を見開いてそう宣言する紅葉。

 それに対して、三言はただ冷静に「じゃあ、使ってよ」と冷たく言っていた。


「---うっ! でっ、では1つ、約束して欲しいのだ!

 我が今からすることに対して、なにも、文句は後で言うと! 今、ここに永劫の契りを結ばんと!」

『ハピハピ☆ハピネス!!』

「あーもう! 速くするっ!」


 ハート形の河童メカの魔法を避けながら、三言が強く言い放つと、紅葉は----



 ----その眼帯を取っていた。



 眼帯を取ると、そこには紅葉の綺麗な瞳が映っていたが、その瞳には何本ものライナー、つまりは彼女の腕に刻み込まれている魔力痕が刻まれていた。


「(なるほど、あのライナーが何本も刻み込まれてしまった瞳。あれが、見せたくなかったヤツ、という事か)」


 オレが一人で納得していると、紅葉はキランっと、ライナーが何本も入った瞳を輝かせる。


「では、いくぞ! 我が【厨二病】の神髄を見せてやろう!!

 ----【厨二病】の最強スキル、"異次元ノ煌メキ"!!」


 紅葉がキラッと、瞳を輝かせると共に、彼女の横から助っ人が現れたのである。



「まぁ、行くって☆ 【魔法少女】な、三言の力を今すぐ見せるよね♪」

「……うっ、うん♪ 私も、頑張っちゃいますよ☆」


 現れた助っ人は、魔法少女の姿をした、三言と花子の2人であった。

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