第19話 スピリット系統の【青魔導士】
「う~ん、良い感じですね #ぶっちゃけ予想以上 #上手く行ってない?」
ダンジョン迷路----端的に換言すれば、学園の上に生み出したダンジョンの景色に、ダブルエムは心を奪われていた。
今、この
聖リエック女学院は今、そんなダンジョンと同一の状態となっているのである。
「それもこれも、みーんな君のおかげだね #ありがとう #生徒会長」
と、ダブルエムは後ろで
彼女は黒い十字架に磔にされながら、足元から青い謎の魔力を垂れ流していた。
「生徒会長の高宮渚、君の
青魔法は相手の魔法を
そう、このダンジョン迷路は、彼女----高宮渚の
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【天・青魔導士】 スピリット系統職業
相手の魔法を
空間を《スピリット》の力で自分の領域として書き換えるのに多大な力を使うが、書き換えた後の景色は何の制限もなく自分の自由にすることが出来る
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この【天・青魔導士】は、本来はあまり強くないタイプの職業だ。
なにせ、ダンジョンの中はほとんどがダンジョンのボス魔物----と言うか、ダンジョンコアの持ち物。
それを無理やり奪い取っているものなので、魔力全回復した状態でも、せいぜい100メートル四方を自分の領域にするくらい。
しかし、この使えない【天・青魔導士】という職業が、ダンジョンの外でも職業の力を使える幽鬼に備わると----"物凄く化ける"。
ダンジョンの外は魔力とか関係ないので、この【天・青魔導士】の《スピリット》の力によって思う存分、空間を書き換えられる。
100メートル四方どころか、学園全土を自身の領域……ダンジョンに出来たのだから。
「【天・青魔導士】の力によって、この学園はもうダンジョンと化した! 彼らはダンジョンの中でレクリエーションと知らず、倒され、戸惑うでしょうね!
----【不老不死】的には微妙だけど、#模擬テスト なので、#仕方ないよね」
パチパチと、ダブルエムは拍手しながら、後を----
「はぁはぁ……」
「おや、まだ幽鬼になっていないとは #量を間違えましたかね」
高宮渚は腰から下が青紫色に染まっており、顔の右半分も同じように青紫色に染まっていた。
今の彼女は人間ではない、幽鬼という人間を越えた"なにか"である。
ルトナウム----それはダブルエムの知り合いが開発した、人間を変質させる特殊物質。
適正量を正しく用いれば一気にレベルⅤクラスの冒険者となれる便利な薬ではある。
なのだが、適正量を間違ってしまうと幽鬼という、人間ではない化け物になる悪徳な毒となる。
「普通はルトナウムをこれくらいの一定量を入れとけば完全な幽鬼となるはずなのに、まだ意識があるだなんて。
たまにいるんですよね。ルトナウムを受け入れる量が人より多い人間が」
すっと、ダブルエムは懐からルトナウムが入った瓶をとりだす。
そして取りしたルトナウム入りの瓶を、高宮渚の視界に入る所で見せつける。
「今から、ルトナウムをあなたに追加摂取させます。追加摂取すればするほど、あなたが耐えることが出来たら、#物凄い力 になるでしょうね。
----果たしてあなたは、どこまで耐えられるのかな? #楽しみだね #本当に」
「ひっ、ひぃっ……!!」
「----ようやく、人間染みた顔を見せてくれて、#本当に #嬉しいよ」
ニコリと、良い実験が出来そうだと、ダブルエムは笑う。
そして、ゆっくりと、まるで見せつけるように、ダブルエムはたらーりと、ルトナウムを瓶から垂らしていく。
そうして、液がガラス瓶から出ようとしたその時である。
ルトナウム瓶を持った手が、弓矢が射られる事によって吹っ飛ばされたのだ。
「----あへっ?」
手が吹っ飛ばされたことにより、ルトナウム瓶も共に屋上に転がっていた。
「そっ、そそそ、そこまでですよっ!!」
「……はぁー、生きてたんだね。あんた」
屋上へと辿り着き、ダブルエムの手を矢で射ったのは----【弓使い】の山田花子。
彼女は隣に三日月三言を連れて、ダブルエムの元へ現れたのであった。
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