第9話 絶望の第2形態
----初めから、2回あるという事は示されていた。
ダブルエムが《蟹》歯車兵長の付属品となって召喚する際、ダブルエムは確かに二度言った。
『----さぁ、楽しませてくれよ。 #黄金召喚 #黄金召喚』と、二回、繰り返して行っていたのだ。
それは無意味に繰り返し、行った訳ではなかった。
腹に入れた機械型魔物達の残骸のほとんどを用いて完成した1体目のボス魔物。
それを守るための盾代わりとして、使わなかった残骸なんかで、あの2体目----《蟹》歯車兵長を作ることが出来たのだから。
「つまりは、ここからが本番……と」
吹っ飛ばされ、さらには【継ぎ接ぎ】で無理やり右腕に合成しまくったツケなのか、全身が悲鳴を上げている。
身体が痛いが、休んでいる訳には行かないだろう。
オレの決死の一撃は、ただの盾としての役割くらいにしか考えられなかった《蟹》歯車兵長を倒しただけ。
この第2段階も、なんとかしなければ……ダンジョンから帰れないだろうしな。
『蟹の相方と言えば、勿論これ!! 《かぐや姫》の力、今こそ見せつけてあげましょう!!』
ふわふわと、月の模様が描かれた黒い着物を着た格好の歯車兵長。
黒い着物の裾は長く、宙に浮かんでいるのに地面の上すれすれまで伸びている。
身体の真ん中に、兎耳を生やしたダブルエムの顔が、大型スマホに映し出されていたのであった。
===== ===== =====
【《かぐや姫》歯車兵長 with ダブルエム】 レベル;? 《虚無の封印遺跡》ボス魔物
重力を関係なく動く月世界の姫君たる【世界球体=かぐや姫世界=】の力を取り込んだ、ダブルエム作成の機械型魔物。倒すと、マナ系統職業の1つ、【かぐや姫】を使用することが出来るようになる
月が宿す重力魔法の力をその身に宿しており、相手と自分の重力を自由自在に操ることが出来る。また月世界の技術によって作られた着物は、本人の意思によって自由自在に動き、硬さを変える事が可能である
===== ===== =====
『さぁ!! ここからが本番だよ、#冒険者諸君 !!
この攻撃に耐えてみてよ、#着物ぶっ叩き攻撃 #ポチッとな』
そうして、ダブルエムの命令と共に、《かぐや姫》歯車兵長が動き始める。
長い裾が鋼のような金属質な光沢感が出たかと思ったら、その裾を地面に叩きつける。
----バコンッ!!
地面は裾が触れた部分を中心として、大きくへこんでいた。
そのまま《かぐや姫》歯車兵長は、硬くなった裾で地面を叩いてへこませながら、ゆっくりと、オレ達の方に向かって来る。
「くそっ……【換装】! 《機械兵長》!」
オレは2人を助けようと、《機械兵長》の着ぐるみを着る。
右腕は先程の攻撃でボロボロになっており、着ぐるみなしであり、全体的にボロボロになっているが、着ていない時よりもマシだ。
《機械兵長》の着ぐるみに変わった時に出てくる、槍を持つ。
《彷徨う騎士団長》の時も剣や盾が出てきたように、ボス魔物の時に使っていた武双も着ぐるみと同サイズで出てくるらしい。
と言う訳で、《機械兵長》の槍を左手で持った状態で、これで突こうと、しんどい足を動かして、槍をボス魔物に向けて、投げつける。
「わたし、もっ!!」
と、オレと同じように、花子も爆弾付きの弓矢を、ボス魔物に向かって放つ。
『はい、#無駄だYo』
しかしそれは、相手の周囲に近付いた途端、地面に向かって落ちて行く。
オレの放った槍も、花子の爆弾付きの弓矢も、見えない壁にでも当たったかのように下へと落ちて行った。
『残念! 私の周囲には、重力の結界が作られていましてね。
飛び道具系は、全て#無効 ! と言う訳で、#第2弾 !!』
ビシッと、ボス機械の足元がへこむと、それがだんだん大きくなって広がっていく。
『フロア全体を襲う、重力魔法の重み!
必殺!! #かぐや姫インパクト !! GAMEOVER、ですよね?』
そして、オレ達は重力の重みに押し潰され、そのまま地面と一緒に沈んでいくのであった。
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