第3話 【着ぐるみ】ダンジョン攻略(1)
オレ達のパーティーは、Dランクダンジョン《無限の封印遺跡》をどんどん進んで行った。
前のパーティーで進んだ時よりも、ダンジョンの攻略スピードは速かったと思う。
まぁ、以前のパーティーはバランスが取れたパーティーであって、三言と花子との今のパーティーは、簡単に言えば攻撃特化パーティーだしな。
「----ピピピピッ!!」
ダンジョンを進んで行くと、いきなり一つ目の機械兵が数十体現れる。
この《無限の封印遺跡》を徘徊する、一般的な魔物----《
===== ===== =====
【
太古の世界に生み出された、機械兵の魔物。遺跡型のダンジョンで多く見られる魔物であり、一部分が破壊されても他の機械兵士と挿げ替えるために、簡易的な設計思想により作られている
目の多さによって対応できる情報量が決定されており、目が多いほど強いとされている
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「おっ、らぁぁぁぁ!! 《怪力》発動!!」
出てきた一つ目の機械兵士に対し、アングリーベアーの着ぐるみを着たオレが、《怪力》の力と共に殴り掛かる。
長引くと周囲の、無事だった
「ンゴーッ!」
ボス魔物であるアングリーベアー由来の《怪力》で思いっきり殴られ、機械兵は吹っ飛ばされる。
「秒で黙らすし」
「ンゴーッ!」
三言は背中を丸め、出来る限り体勢を低く屈みながら、鋭くナイフで斬りかかる。
単純な設計思想のため、機械兵士は地面スレスレから攻撃する三言に対処が追いついてないようである。
そのまま、弱点である一つ目の部分に、ナイフを叩きこんで倒して行く。
完全に戦い方が、一撃離脱の【暗殺者】にしか見えんのだが……。
「……ほっ! ひぃぃぃぃ! ごめんなさぁぁぁぁいいいいい!!」
「ンゴーッ!」
花子は後ろの方から弓を放って、後ろの方で魔法を発動しようとしていたり、弓を使って援護しようとする、二つ目の機械兵士達の頭を、クリティカルヒットさせて撃ち落としていた。
相手から魔法や弓矢の攻撃が来るが、花子は謝罪とヘンテコな踊りと共に、全て避けていた。
攻撃しながら、避ける事が出来るなんて、本当に凄い【弓使い】である。
「来ないでぇぇぇぇ!! 勧誘は勘弁でしゅぅぅぅぅ!! 新聞はもう五社取ってるのでぇぇぇぇ!!」
「……マジ受ける」
「「ンゴーッ!!」」
順調に機械兵を倒してくれている、頼りになる2人。
……まぁ、若干、キャラが強すぎる気がするけど。
ともかく、オレ達は順調にダンジョン攻略を進めていくのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そうして、前のパーティーの時の半分の時間で、オレ達はボスの間へと辿り着いていた。
「グォォォォンンンン!!」
ボスの間に居たのは、四ツ目の機械兵……《機械兵長》である。
オレ達の10倍はあろうかというくらい、巨大な槍持ち兵士長は、そのままこちらへと向かってきた。
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【
太古の世界に生み出された、機械の兵士長。多くの機械兵を引き要らせるため、他の機械兵よりも巨体となるように作られており、なおかつ四つの目で機械兵を的確に率いる
目の多さによって対応できる情報量が決定されており、目が多いほど強いとされている
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四ツ目の巨大な機械兵長は、「キキキ……」と不気味な機械音と共に、槍を振り上げてきた。
「----《換装・彷徨う騎士団長》! そして、《大盾シールド》!!」
俺はそれを防ぐために、自分の着ぐるみを《彷徨う騎士団長》というボス魔物の物に変える。
コイツは、卓越した剣術だけでなく、相手の攻撃を防ぐ大楯が特徴の魔物だった。
オレはそんな魔物の、盾による攻撃を使って、2人のダメージを防ぐ。
----ズキンッ!!
「くそっ、盾が……!!」
攻撃は防ぎ切ったが、盾には大きな亀裂が入り、もう使えそうにない。
そう思った瞬間には、盾はオレの手から勝手に離れ、そのまま霧のように消えていく。
これこそが、【着ぐるみ】の職業の弱点だ。
ある程度のダメージは着ていない時に修復してくれるのだが、今回の盾のように完全に使い物にならない状態まで破壊されると、このように消滅してしまうのである。
ボス魔物以外からもドロップがあるのなら、ストックも増やせるが----オレには出来ないしな。
もうオレの着替えられる【着ぐるみ】の中に、アイツの攻撃を止められるような着ぐるみはない。
となると、後は、あれしかあるまい。
「こうなったら、高火力で行くしかないな、2人とも!!」
「うっ、うんっ!! 私、頑張るっ!!」
「……当然」
全身全霊で、防御無視で、ボス魔物を倒すっ!!
高火力パーティー、オレらの力!
見てろよ、機械兵長!!
……そうやって戦いに集中しているオレらは、気付かなかった。
機械兵長の中で、それを楽しそうに見ている冒険者が居るなんて。
「……へぇ、楽しそう。#興味津々 #会いに行きたい #驚くかな?」
そう、佐鳥愛理の仲間の1人----オレ達の前に立ち塞がる事となる、あの女とちょうど出会う前の話である。
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