第7話
一回で終わろうとした私にキスをしてきたレナはまるでおもちゃでも見つけたかのように笑いながら舌を絡めてくる。レナはこれを娯楽のように楽しんでいるようだった。性欲のためにやっているようには感じられないレナは私の反応を求めている。私を苦しめてその反応を見て喜ぶために。その結果にしばらくキスをしていたらレナは急に首を方手で絞めてきた。
「はっ……はぁっ!レナっ!」
「ふふふ、苦しい?」
息苦しくなってレナを呼んでもキスは止めてくれない。でもレナは時折指の力を緩めてくる。だけどそれは一瞬で苦しいのには変わりなかった。
「レナ………はぁ、やめて?」
「いや………ねぇ、もっと舌絡めて?」
苦しくてレナから離れようと動こうとしたらソファに押し倒される。これじゃ本当に窒息しそうだ。のし掛かられて抵抗ができないでされるがままでいたら部屋のインターフォンが鳴った。レナはそれに反応を示すと唇を離してモニターに目をやる。
「レナ……離して?」
首を絞めるのをやめないレナの手首を掴んで言うもレナは私に視線を向けて笑うだけだった。
「じゃあ、もっと舌絡めて?私にやらせてどうするの?」
「うん……。分かったから……苦しいから、離して?」
私が主体で強引にやれと言っている。レナは私がただ受け入れていたのが気に入らないみたいだ。首を絞める力が一層強まる。レナは一瞬にして無表情になった。
「じゃあ、もっと楽しませて?死にたいの?」
「うん……。分かった……。分かったから」
苦しい、苦しいからしっかりと目を見て答えたらレナはようやく手を離してくれて呼吸ができるようになった。しかし、呼吸を整えるのも束の間にレナは軽くキスをしてきた。
「瑞希?」
そして催促がかかる。ちょっとまだ息苦しいがこれは応えないと首を絞める以上の事をされてしまう。あんな苦しくて死にそうな思いはもうごめんだ。私はレナの背中に腕を回すと自分から積極的に舌を絡めた。レナに翻弄されるんじゃなくて自分が乱してやるかのように。
「はぁっ、みず、き………んっ」
「レナ………もっと?」
レナの反応がさっきと違うけど呼ばれたから聞いていた。レナは最初余裕満々そうだったけど今はあまり余裕がなさそうにキスに応えてくる。もしかしたら苦しいかなと思って唇を離そうと思ったら舌を噛まれて私は急いで唇を離した。
「いった……!レナいきなりなに?ちゃんとやったじゃん」
舌から少し血が滲んでいる。やれと言ったくせに思いきり噛んでくるとは。レナは不快そうに視線をドアに向けた。
「あいつが来るから離れて」
「え、美穂の事?呼んでたの?」
「呼ぶ訳ないでしょ。たまに様子を見に来るの。もうすぐ勝手に入ってくる」
「はぁ?!ちょっと、早く言ってよ!」
私はレナから体を離すと服を整えてソファに座り直した。さっきのインターフォンは美穂だったらしいが、だったらあの時に終わりにしてほしかった。レナもソファに凭れて座り直すと美穂は本当に玄関を勝手に開けて部屋に入ってきた。
「おっ!やっほー!瑞希。ちゃんと来てくれてありがとねぇ。ていうか、レナ!インターフォン出なさいよ。何でいつもでないの?」
「あぁ、美穂。こないだぶり……」
「…ウザ」
さっきまでキスしてたなんて言える訳もなく私はから笑いだったがレナは機嫌が悪そうだった。美穂はこれ、差し入れね?と言いながらテーブルにコンビニの袋をおく。
「いろいろ買ってきたから適当に食べてね?それよりレナなんか失礼な事しないでよ瑞希に。あんた分かってんの?」
美穂は全く分かってない発言をしていてレナがなにか言いそうで怖い。何も言わないでよレナと心でヒヤヒヤしていたらレナは不快そうに美穂を睨んでいた。
「私がなにしようが勝手でしょ」
「勝手じゃないんです。それより瑞希首どうしたの?」
「え?あぁ…、なんか、ちょっとかぶれちゃってさ。
急に話を振られるがガーゼを貼っていれば当たり前である。だが、レナに切られたなんて言えなくて私は適当に誤魔化した。
「えぇ?瑞希大丈夫?服のせいとか?」
「あ、そうそう…。首に擦れてそれで掻いてたら酷くなっちゃってさ……。最悪だよ…」
「うわー、かわいそうに瑞希。ちゃんと薬とか塗りなね?」
「うん……。そういえば、レナって女優の西玲香だったんだね。知らなかったよ」
「え?瑞希知らなかったの?知ってると思ってたごめん」
私はこれ以上突っ込まれては困るので話を変えようとしたら美穂は驚いていた。
「いや、レナがサングラスだったから気づかなかっただけだよ」
「あぁ、レナはどこでもサングラスだから。レナちゃんと挨拶しなさいよ」
「……ウザい」
「ウザいじゃないでしょ?全くもー、本当にごめんね瑞希。なんか、分かんなかったら何でも聞いて?」
「あ、うん……」
レナは無表情で悪態をつくが美穂は全く気にしていない。美穂は相当レナに耐性があるみたいだが私は美穂と高校の時から仲が良かったのにレナの存在は知らなかった。というかあの日お願いされるまで私にレナの話をしなかった。私は気になって聞いてみた。
「美穂ってレナとは小さい時からの仲?なんだよね?」
「うん。そうだよ。私レナのマネージャーやってるから仕事も一緒だしずっと一緒。運命を共にしてる」
「え?事務じゃなかった美穂?」
美穂は事務職受かったって就職の時言って以来ずっと同じ職場で働いていたはずだが、美穂は頷いて応えた。
「え、うん。ざっくり言ったら事務じゃん?てか、めんどくさいから言ってなかったごめん。言うと皆うるさいから」
「あぁ、うん。まぁ、そうだよね。それはいいけど…」
「あ、瑞希誰かサインほしい芸能人とかいる?いたらサインもらってあげるよ?」
「え、いいよ。あんまり興味ないから」
「じゃあ、欲しくなったら言ってね?」
「うん」
私達はお互いに仕事の話はしないから知らなかったのもあるかもしれないがレナの話はさすがに人を選んでいたのだろうか。美穂は突然真面目な顔をして言った。
「それより本当にありがとね瑞希。レナと仲良くしてくれて本当に嬉しい。感激。レナ今は仕事してなくて暇だから遊んでやって?こいつマジで家から出ないから。なんならここ泊まってってもいいし。ね?レナ?」
え?と思うような提案に断りたいと思うもレナは初めて美穂に同意した。
「確かに。何でもあるから泊まってけば?話し相手くらいにはなれるでしょ?」
「え、レナ久々に私の意見反論もせずに聞いてくれたね?感激だよ」
「は?なに言ってんの?」
顔をしかめたレナを無視して美穂は私に輝く眼差しを向けた。美穂はレナに関しては必死なとこがあって私には毒だった。
「それより泊まってきなよ瑞希?予定なかったらでいいから!ね?私なんか必要な物とかあれば買ってきてあげるし!お願い!」
「え……、うん…………じゃあ、泊まろうかな?」
「ありがと瑞希大好き。寝巻きはレナのがあるから、下着とかは買ってきてあげる!レナが友達を家に泊める日が来るなんて泣きそうだよ私。私の事も嫌がるのに」
美穂は興奮気味で喜んでいたが私は内心普通に嫌だった。なんか、美穂に悪いから受け入れたけどレナに弄ばれるだけだもの。私今日大丈夫かな………。私は不安を感じていたが美穂もレナも笑っていた。
その後美穂は頼んでもない買出しに張り切って行って私のためにいろいろ買ってきてくれた。悪いからお金を払おうとしたらいいからと笑顔で断られてじゃあ、楽しんでね?と出て行ってしまった。本当に様子を見に来ただけの美穂に残された私は切なく感じるがレナは美穂がいなくなった途端機嫌が良さそうだった。
レナは美穂と幼馴染みなくせに全く仲良さそうじゃなくて不思議だ。もう美穂はレナの悪態なんか慣れてる感じだけどあんなんで仕事をする時は大丈夫なんだろうか。
レナは人の言う事を素直に聞く人じゃない。
美穂はどうやってレナに言って聞かせているのかなと内心考えていたらレナは私を玩具でも見つけたかのように見てきた。
「瑞希?こっちに来て?」
「…………うん」
本当は嫌だけど断ると自分の首を絞めるだけ。
私は恐る恐るレナに近寄るとレナはソファに凭れながら綺麗に笑う。それだけで絵になるが私はまるで生け贄にでもなったような気分だった。今度は何をする気だ?レナは手を伸ばして私の頬に触れた。
「ねぇ、瑞希は何したい?したい事してあげる」
「え、そんなないけど………レナと話したいかな私」
「なに話したい訳?私の事なんかテレビで見てるから分かるでしょ?」
「まぁ、そうだけど………。レナはめまいが酷いから休養したの?」
私はいい機会なので気になっていた事を聞いた。たぶん今の関係なら答えてくれそうだから。レナは興味なさそうに言った。
「そうだけど。そんなくだらない事聞いてどうするの?」
「くだらなくないよ。今もかなりよくないの?」
「別に。昔からだし、めまいの頻度が多くなったから休んだだけ」
「そうなんだ」
状態はあまり
「瑞希心配してるの?」
そしてまるでくだらないとでも言うように当然の事を聞いてきた。
私はレナにいろいろやられまくっているがあの倒れそうだったのを思い出すと心配せずにはいられない。
「そりゃ心配するよ。昨日本当に体調悪そうだったし、レナなにも言わないから」
「ふーん……。心配してなにか変わるの?私の代わりにめまいを引き受けてくれる訳でもないのに意味分かんない」
「確かに代わりにはなれないけど気持ちは違うでしょ?」
「は?どういう意味?」
レナにとって世間一般的なものは通用しないが私は心配するのをやめないだろう。また意見は食い違いそうだが私は言った。
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