第897話 「DOCTOR PRICE」を読む男 2
(前回からの続き)
さて、この漫画では求人する病院側からの視点よりも求職する医師側の視点がメインだ。
主人公の
オレも知らなかったが紹介料は当該医師の年俸の20%が相場だということだ。
だから年俸が1000万円なら200万円、年俸が2000万円なら400万円にもなる。
この漫画に登場する医師の中には4200万円の年俸を勝ち取った者もいるので、その場合には紹介料だけで840万円!
それやこれやで鳴木金成の売り上げは年間2億円にも達しているのだ。
そうなると鳴木はいかにも強欲な社長という印象だが、ニセ医者を見破る勧善懲悪ぶりや、悪徳医者に専攻医からやり直させる人情味のあるところなど、読者をスカッとさせるエピソードもある。
この漫画をオレが読んで「なるほど!」と思った部分を2つばかり挙げたい。
その1 医療行為の価格は国が決めている
国民皆保険制度の日本では、国が診療報酬を使って政策誘導している。
この漫画で示された例として、地域包括ケア病棟がある。
本来は在宅患者の受け皿として期待されたものだが、厚労省の意に反して各病院の患者囲い込みに利用されてしまった。
当然、次の改定では地域包括ケア病棟に対する診療報酬が
これに対して地域包括ケア病棟を回復期リハビリ病棟に転換した病院が生き残るというわけだ。
診療報酬改定は2年毎なので、医療機関が思い切ったことをするには時間が無さすぎる。
しかし、時流に乗らないと生き残れないのもまた事実。
その2 身体障害者手帳を取得すれば医療費が安くなる
身体障害者手帳は1級から6級まであるが、その中で1級と2級の重度障害者には医療費助成制度がある。
自治体にもよるが、この制度を利用すれば医療費は1日に500円まで、そして1ヶ月に3,000円までとなる。
オレもよく身体障害者手帳の診断書作成を頼まれるが、あくまでも「頼まれれば書く」という姿勢であり、患者に積極的に勧めるという事まではしていない。
このような制度の周知義務は自治体等に有り、医療機関には無いからだ。
そもそも勤務医という名前のサラリーマンにとって、わざわざ自分の仕事を増やす事をしたいはずもない。
が、この漫画に登場する
この漫画は医療のど真ん中というよりも周辺を描いているところ、絵が個性的でありながら嫌味のないところ、そして最終回でようやく明らかにされるであろう主人公の闇の部分など、興味深い部分はまだまだ沢山ある。
最終巻である第5巻は2024年9月に発売されるそうなので、今から楽しみだ。
というか、
自らの創作活動にも力を注がなくては!
(「『DOCTOR PRICE』を読む男」シリーズ 完)
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