第333話 究極の頭脳を得た男 2
(前回からの続き)
OpenAI の人工知能、
試しに、診断に手こずった症例の病歴をいくつか入力してみる。
残念ながら、「おっ、なるほど!」とはいかない。
よくお勉強した医学生といったレベルだ。
経験とかセンスが決定的に足りない。
もう少し賢くなってもらうのを待つ必要がある。
次にカクヨム作家なら当然思いつく実験を行った。
ChatGPT に小説を書かせてみるのだ。
「ダメ男が異世界に転生したらモテモテの人生を送ることになった、という小説を書いて」
すると即座にこんな小説が出力された。
**(開始)**
ジョンは、いつものように、仕事から帰って家に帰った。だが、彼は今日は違う。彼は異世界に転生してしまった。
彼は、自分が異世界にいることを信じられなかった。だが、周りに見られるものが全て異次元だった。
彼は、自分がこの異世界で最初に出会ったのは、美少女だった。彼女の名前はエミリア。彼女は美しく、優しく、そして魅力的だった。ジョンは、彼女に一目惚れしてしまった。だが、彼は自分がダメ男だと自覚していた。だが、彼は何としても彼女にモテたいと思った。
ジョンは、彼女に近づくために、彼自身を変え始めた。彼は、自分が苦手だったスポーツにも取り組んだ。彼は、彼女が好きだった音楽にも興味を持った。彼は、彼女が喜んでいることをするために、全力を尽くした。
そして、彼は成功した。彼女は、彼を好きになってくれた
**(終了)**
おい、それは異世界ものを外れているぞ。
主人公が努力してはならないんだ。
そんな事をしなくてもモテモテというのが異世界転生じゃないか。
その後、オレは何度か条件を追加して小説を書かせ続けた。
「主人公は努力しない」
「美少女は1人ではなく複数だ。それぞれに名前をつけろ」
それらの条件に対して ChatGPT が書く小説はイマイチだった。
たとえば、「主人公のダメっぷりを具体的に描写して」という要求に対して ChatGPT はこのような物語でこたえる。
**(開始)**
ジョンは、元々の生活では、ダメな男だったと考えられました。彼は、自分の人生に対して無関心で、仕事も遅れ、友人も少なく、家族からも遠ざかっていました。彼は、自分自身を改善することも考えず、自分にとって最も楽な道を選んで生きていました。彼は、誰にも恵まれない、不幸な人生を送っていた。
彼は、自分に自信がなく、自分自身を責め、周りに対しても冷たく態度を取っていました。彼は、人間関係を築くこともできず、孤独な生活を送っていました。
ジョンは、異世界に転生した後も、自分が持っている能力を使って美少女たちを魅了するだけで、自分自身を改善することはなかった。だが、彼は自分にとって最高の恋愛を楽しむことができることが分かった。
**(終了)**
もっと具体的なダメっぷりをオレは読みたいんだ。
自分の部屋でゲームばっかりして廃人になったとか。
1週間も風呂に入っていないとか。
トイレにいくのも面倒なのでペットボトルに排尿しているとか。
うまく行かない事はすべて他人のせいにするとか。
そいういうのあるだろ!
真面目にやれよ。
さらに、「異世界に転生するキッカケになる事件を追加しろ。たとえばトラックに
**(開始)**
ジョンが異世界に転生するきっかけとなった出来事は、彼が街を歩いているときに、トラックに轢かれそうになったということです。彼は、突然トラックが近づいてきて、自分を轢こうとしているのを感じました。彼は、すぐに身を起こし、トラックから逃れるために急いで跳び越えようとしました。
そして、彼は目を閉じて、跳び越えようとしました。そして、彼は目を開けると、異世界にいることが分かりました。彼は、自分がトラックに轢かれそうだった瞬間に異世界に転生したのだと気が付きました。
**(終了)**
なんかね、オレがトラックを出したら、もうトラックから抜けられないのかね。
だんだん
「異世界での具体的な生活はどうなっているんだ!」
**(開始)**
彼は、異世界で出会った美少女たちと、楽しい時間を過ごします。彼は、彼らと一緒に旅行したり、遊んだり、食事をしたりすることができます。彼は、彼らと一緒に笑ったり、泣いたり、愛し合ったりすることができます。彼は、彼らと一緒に幸せな人生を送ることができます。
ジョンは、自分自身を改善することも考えず、自分にとって最も楽な道を選んで生きています。だが、彼は、美少女たちと恋愛をすることによって、自分自身も成長していくことが分かった。彼は、彼らから愛されることで、自分自身にも自信を持つことができるようになり、人間関係も深めることができました。
**(終了)**
おいおい。
主人公は成長したり自信を持ったりしないの!
分かってないなあ。
風呂は週1回、ペットボトルに放尿する廃人のままで美少女たちにモテるってのが読者の願望だぞ。
まあ人工知能ってのは自己学習する存在だから、そもそも成長志向が強いのかもしれないけど。
そんなわけで ChatGPT に小説を書かせるという試みは見事に失敗してしまった。
ユーザーとしては何とかコイツの得意分野を見つけてやらなくてはならない。
(次回に続く)
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