第264話 地獄から天国に行った男

寝床ねどこの中で目が覚めた。

もう外が明るい。

スマホには「6:29」と表示されている。


遅れる!


もう病院に着いていないといけない時間だ。

それだけじゃない。

カクヨムにも投稿していない。


ガバッと起きつつ素早く頭をめぐらせる。


カクヨムの投稿は1日飛ばしたところで誰にも迷惑をかけない。

ガッカリする読者が少しはいるかもしれないけど。


病院の仕事の方はそうはいかない。

月曜日の朝のけ対象患者は20人前後になる。

金曜日の夜から月曜日未明までに当直部に入院した患者を適切な診療科にける仕事だ。

それぞれの診療科のぶんを調整しなくてはならないので高度な政治的判断と対人スキルを要する。

というか、病院全体の人間関係の問題がここに噴出するわけだ。


オレの他にもけ担当者がいるから、病院に電話して先にあやまっておこう。

四方八方に迷惑をかけてしまうけど、遅刻したからといって誰かが死ぬわけではない。


もうすっかり眠気ねむけが吹っ飛んでしまった。


それにしてもこんな時間まで寝てしまうとは。

よっぽど疲れていたのかな、オレは。


昨日はトヨタのディーラーにいって納車の話とか保険の話とか色々したもんな。

1時間の予定が2時間にもなってしまった。

お蔭で懸案けんあんが片付いたわけでもあるけど。


ん?


土曜日じゃん、昨日は。

ということは、今日は日曜日か!

出勤する必要はないし、カクヨムだって大急ぎで書けば7時過ぎには投稿できるぞ。


一瞬にして地獄から天国だ。

神様、ありがとう!


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